てくてく
2024-09-14 13:45:14
3999文字
Public 【PFSOZ】
 

【10年後の主と従者】

ムルジムとデモさんの10年後あれそれ…

【10年後の主と従者①】

主(契約者)→ムルジム
従者(精霊)→デモさん

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最初はデモさんに対して友達として接しているけど、時間が経つと『いるのが当たり前』になって更に距離が近くなりがちになると思います(無自覚で)
この『時間が経つ』は人間感覚なので、多分契約して1〜2年くらいでなるかなと思います。
奥さんの件も、ちゃんと別れの挨拶が出来たので前みたいな引き摺り方はしないし、徐々に心の拠り所も奥さんから従者に移って行くんだろうなぁと。



~そして10年後時空~


お互いの奥さんの話になって
「奥さんのこと、心の整理はついたのか」
という話に……

主は少し考えてから
「だけど、それがあっての今だしね。デモともこうして一緒にいられるし」
と、笑いながら従者を見る。

「アタシもシュイのことや身体のことがなきゃ、ムルジムと一緒にいなかっただろうしな何があるかわからないな」
笑い返してお酒のみつつ、主の心の整理がついたことを察する従者。

「ホント、何があるか分からないよね。はは、だから楽しい。きっとこれからも楽しいよ」
(二人一緒だから)と、それを言わなくても相手も分かっているだろうと、のんびりと無自覚に明るく、主は笑った。

「ああ、楽しいことを一緒にしていこうな」
内心で(こいつ)と思いつつ、やれやれと微笑む従者。

「あはは、うん!一緒ならどこにでも行けそうだしね!」
ニコニコとした表情でうなずいた主は、分かっているようで、色々と分かっていないのだった……



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【10年後の主と従者③】

ガシャン!

主のいつもと違う姿にとても衝撃を受けたらしく、従者は持っていたマグカップを手から滑り落した。

「あっつッ!!」
「で、デモ!大丈夫!?」
ッ!!前!前を隠せ!」

それを見て慌てた主は自分の姿の事など気にせず駆けよるが、従者は更に慌てた様子で主に自分の上着を差し出した――


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「それで?なんでそんな姿に?」
「あーえーっと、その……ちょっと失敗しちゃって

言いよどむ主の顔をじっと見つめながら、その先の言葉を待つ。自分が動揺していると悟られないように。静かに、そっと。
そんな事とは知らず、主は目だけを動かしチラリと従者の様子を伺いながら、少し恥ずかしそうに話を続けた。

……お客さんが、何故か魔法道具をくれたんだよ。もう壊れていらないから~って。それでいざ修理してみようと思って魔力を入れたら
「呪いが発動した?」
「うん。まさか呪いの品だなんて思わなくていや、これは言い訳だね。私の不注意だ。パッと見綺麗で、どこも壊れていなさそうだったから変だとは思ったんだけどね……はぁ、イタズラかな」

利き手を額に当て、ため息をつく。その表情はいつも問題が起きた時よりも深刻そうだ……というより少し焦っているようにも見える。
そんな主の変化を見て、(性別が変わって少し印象が変わったか?これはこれで悪くないかもしれない)と、ぼんやり思うなどしたが、流石に不謹慎だったなと、軽くかぶりを振りその考えを頭の片隅にどけた。

……戻る方法は?何か見当がついてるのか?」
「うん。『一応』は解ってる」

主の含みのある言い方に眉をひそめる従者。それに気づいた主が慌てて言葉を繋げる。

「あぁ、いや、その魔法道具を良く調べたら、ちょっと困った解呪方法が刻まれてて
「困った解呪方法?というか解呪方法が刻まれてたのか??」
「あははまぁ……

困惑する従者に、無理もないと苦笑いを浮かべる主。
だが従者がいくら待っても、主はその後の言葉を発しない。

ムルジム?」
「ん?あ、なに?」
「?なんだ?そんなに困るような内容だったのか?解呪方法」
「いや、えーっと、うーん……
「言いづらいなら無理に言えとは言わないが、アタシに出来る事なら遠慮なく頼めよアタシたちの仲だろ?」

ハッとした表情で従者を見つめ、また視線を落とす。頬を少し赤らめ、明らかに照れている表情をしている主を見て、ただならぬ雰囲気を察知する従者。

(え、なんだ?どんな解呪方法だったんだ??)

変な汗をかきながら主の言葉を待つが、今まで以上にその瞬間を長く感じる。
と、ついに主が小さな声でもごもごと言葉を発した。

「せ性行為すると、元に戻れるらしい
………ん???あ、なるほどな

動揺を隠そうとしているが、明らかに目が泳いでいる従者を見て、(困らせちゃったかそりゃそうだよな、友人にこんなこと言われても困るよな……だけど私も困ってる)と、内心泣きそうになっていると、従者が平静を装って質問を投げかけて来た。

……ムルジムは戻りたいのか?」
「えあ、うん。そうだね。不便だから戻りたいけど……
(流石に頼めないよなぁ友達に……うーん。やはりそういう店に行くとかしないとダメかな)

言っておくが、アタシ以外に頼もうとするなよそういうの、一番つらいから」

思いがけない返事に一瞬世界が止まる。

……!?え!だけど……いいの?」
「なんつー顔してるんだ」
「いや、だって……友達に流石に悪いなって思ってたから
「さっきも言ったが、何かあったらアタシを頼れ。ムルジム」
「う……じゃあ、あのお願いします」


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「アタシはお前を想ってするが、もしお前に好きなやつがいるなら、そいつのこと考えてろ」

デモの突然の爆弾発言で、私の思考が一時停止した。

「好きなひと?いや、ちょ、ちょっと待って。その前の言葉!おも、想って?私の事を?え、あえ??デモが私を??」
「はー本当にお前はにぶいなそれが放っておけないし、いいんだけどなそうだ。お前が好きなんだよ。お前の魂は綺麗だと言ったろ」

デモに両手でほっぺをぶにぶにされながらも何とか落ち着こうとするが、流石に理解が追いつかなくて目が泳ぐ。「えっと」とか「うぅぅ」とか言葉にならない言葉を発するだけで精いっぱいだった。
『まさか友人がそう想ってくれているとは』と、『確かにデモなら』という感情がぐるぐると回る。

デモそれはずるいよ……私は私は君のことを……

わからない!なにも分からない!!!
何!?もしかして『想って』くれてたのはずっと前からなのか?私が全く気付いていなかっただけなのかッ!?
確かに地元の幼馴染みと比べると、友人としての接し方が違う気もしていたけど……そんな風に想ってくれてるとは全く気付かなかった……どれだけ鈍いんだ私……

いや、とりあえずその事は置いておくとして、『私は』デモの事をどう思ってるんだ?
気の置ける親友?私とは種族が違う精霊種?契約を交わした従者?それとも……

「無理しなくていいゆっくりでいいからアタシのことはついでで考えてろ」
「この状況で『ついでで考えろ』は無理だよ!??あ、いやだけど……うん。ありがと」

ニコッと笑う彼につられ、私も口元が緩む。が、いかんせん顔というか全体的に暑い。

……ちょっと、水飲んできていい?」
「ああ、ていうかアタシが持ってくるから、落ち着け」

そう言うと隣の部屋からコップに注いだ水を1つ持ってきてくれた。私はそれを受け取り、心を落ち着けようとコップを静かに自分の口元へ運ぶ。

「お前さえ大丈夫なら、別の日でも良い、焦らずにな。急に気持ちを伝えたりして悪かった」

そう言いながらデモは私の頭をポンポンと『優しく』触れる。出会って最初の方なんてかなりぶっきらぼうだったのにな、とちょっと懐かしくなる。そしてそのどちらも『嫌じゃない』と思っている自分がいる事に気づく。
……正直、今までデモの事を『そういう目』で見た事は無かった。だから、わからない。自分の心が、デモの事をどう思っているのかが……

「ありがとうやっぱりデモにはかなわないなぁ。……ごめん、ちょっと頭の整理をしてからでも良いかな?自分の気持ちが、分からないから
「ああ、わかった。くれぐれも無理しないようにな。お前に無理強いだけはしたくないから
「!む、無理強いとかはない!無理もしてないし、そこは大丈夫だから!そもそも頼んだのはこっちだし、君の気持ちだって私は……

言いかけて言葉が詰まる。優しく笑いかけてくれている彼が視界に入る。

「と、とにかくありがとう。……とりあえずご飯でも作ろうか?」

話し込んでしまって、いつの間にか空に星々が輝いて見える時間になっていた。

……ああ。一緒に作ろう。とはいっても、お前が作ったものにはかなわないからなあ。アタシはムルジムの手伝いに専念する」
「ありがとう。じゃあお手伝いよろしくね」
「ああ!特に味見は任せとけ」
「ふふじゃあそれはデモに任せたよ」


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……私は、彼をどう思っている?


一緒にいると楽しい。
たまに喧嘩もするけど、それでもどちらかが謝ってすぐ仲直りする。

楽しい時も辛い時も、この10年、デモは私と共にいてくれた。
だからデモがいない状態なんて考えられない。

それに、デモに想いを伝えられた時……正直嬉しかった。

そうだ私は、10年前のあの日からずっと……
デモと一緒にいたいと想っていたんだ。
だから契約した。
ずっと、ずっと……一緒にいる為に。

なんだ、答えは最初から出ていたのか。
私は、デモの事を――