けがわ。
2024-09-13 09:06:08
3320文字
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君に触れたくて

シャチョコン

モモくんのことを大事にしたいけど、先に進みたい気持ちもあって……って感じのお話。

 僕の家にモモくんがいる。モモくんとは予定が中々合わないから、こうして会える時間がとても貴重なんだ。だから予定を無理やり抉じ開けたりして、泊まりにおいでって言う事も少なくはない。
 モモくんとは紆余曲折あって、やっとのことで想いが通じ合って晴れて恋人同士になれたんだけど、まだそう言う事はしていない。だって、付き合って一ヶ月も経っていないからね、理性が悲鳴を上げるには早すぎるでしょ……
 僕の家の大きなソファの真ん中でスクリーンに向かってゲームをしているモモくんを横目でチラリと盗み見る。
 真剣な表情で、ぽっかり口を開けてゲームをしていて、とても可愛らしい。お風呂上がりで、僕が貸したバスローブを身に纏っていて、サイズが大きいからか胸がはだけていて、可愛らしいピンクの乳首が隙間から覗いている。
 まずいな、勃ちそう。ダメだ。まだ耐えろ。
 スクリーンに視線を戻してコントローラーの操作を再開するけれど、モモくんの乳首が気になってゲームどころではない。
 無防備な恋人を愛おしく思いつつ、僕のいないところでもこうなのかと心配にもなる。
 再びチラッと視線をやってしまって、やっぱり気になる。僕、変態みたいだな。いや、でも、仕方なくないか? 上裸で僕のバスローブ着て、手を伸ばせば触れられる距離にいて、我慢しろと言う方が無理な話だ。
 一ヶ月恋人をやっていても、キスまでしかしていないし、正直先に進みたい気持ちもある。
 じっ、とモモくんを見つめていると、スクリーンを見ていたマゼンダが僕を映した。
「あの、ユキさん……?」
 コントローラーを操作せずにいた僕を心配したのか小首を傾げて上目で伺ってくる。
 やめて欲しい。我慢できなくなるから。
「っ、ごめん、なんでもないよ」
 コントローラーを握り直して、スクリーンに視線を戻す。
 全然集中できない。お互い忙しくて、イチャイチャできる機会なんてあまりないから、今日だけはゲームとかじゃなくて甘い恋人としての時間にしても良かったかな、なんて今更すぎる後悔に蝕まれていく。
 集中できないまま何とかデイリーのミッションをクリアすると、大人の表情を作って出来るだけ優しい声音でモモくんに話しかけた。
「次はどうしょうか? 他のミッションに挑戦してみる?」
……あの、ユキさん……
「うん?」
 モモくんが俯いて控えめに僕のバスローブの袖を摘んでくる。
 これって……
「モモくん?」
 俯いたモモくんの頬に手を添えて、顔を上げさせる。
「っ!」
 顔を真っ赤にして、潤んだマゼンダが艶やかに光る。
 こんなの、ダメだ。どうしたって耐えられない。
 理性がガラガラと音を立てて崩れ落ちていく。
「んぅ……っ!」
 柔らかい薄紅の唇を奪って何度も角度を替えながら啄む。キスの合間に漏れるかわいい声に煽られて、気がつけばそのままモモくんをソファに押し倒していた。
「はあ、は……、百瀬……
「っ、はぁ、んっ、ゅ、ゆきと、さん……
 夜の情事を思わせる熱の籠った声色でお互いの名前を呼び合う。
 このまま抱いてしまいたい。ダメだ大事にしたい。
 なけなしの理性を振り絞って、モモくんに笑顔を向けた。
「ごめんね。びっくりしたよね? ……もう、しないから……
「っ、」
 ソファに押し倒したモモくんに手を伸ばして抱き起こそうとした瞬間、腕を掴まれて僕の唇にモモくんの柔らかなソレが重なった。
「んっ!? も、んんっ、」
「んぅ!! ゅひさ……っん!!」
 モモくんからキスしてくれるなんて初めてで、いつまでも感じていたくて、一生懸命僕の口を割り開こうとするモモくんに、このまま流されて好きなようにさせてみたくなる。
 少し口を開けると、モモくんの舌が遠慮がちに侵入してきて、いつも僕がモモくんにしている事を真似しようとしているのか、歯列をなぞって、僕の犬歯を根本から舐める。
「ふ、ふふ……
 モモくんの八重歯を舐める僕の行動まで真似してくるのは予想外で思わず肩を震わせて笑ってしまった。
 目の前の瞼が持ち上がって潤んだマゼンダが恨めしそうに僕を映すと、もう一度瞼を閉じて僕の咥内に舌を這わせる。
 口蓋を擽って舌を絡め取られて、ザリザリと擦られる。
「ふ、ん……っ」
「んんぅ……、んむっ」
 モモくんの喉が鳴って混ざり合った唾液を溢さないように必死に飲み下していく。
「ぷはぁ、は……、ん」
 銀糸を繋ぎながら舌を抜いていくと、大きく息を吸って呼吸を整えている。半開きの口から覗く赤い舌に魅せられて、今度は僕からもモモくんにキスをした。
「んむっ、ふぅ、んんっ、ぁ……んっ!!」
「っ、はぁ、んっ
 僕もモモくんの咥内を一通り堪能してから唇を離すと、しまい忘れた舌を晒してハフハフと荒い呼吸を繰り返している。
「ゆきと、さん……
「モモくん大丈夫?」
「ん、きす、きもちかった……
「っ、そう」
 可愛すぎてどうにかなりそうだ。いや、もうすでになってる。こんな、キスだけで蕩けてしまうような子に、この先のことを強いるのはどうなんだ……? もう少し慣れてからの方がいい気がする。いつになるかはわからないけれど。
「ゆきとさん……
「モモくん?」
「なまえよんでほし……
「うん。いいよ、百瀬」
 百瀬からのおねだりが珍しくて、可愛くて、何でも聞いてあげたくなる。
 ソファに横になって微睡んでいる百瀬の頭を撫でて耳を擽ると少し唸って身を捩る。一つ一つの仕草が愛おしい。
「他には? 僕に何かお願いとかある? 百瀬の我儘なら何だって叶えてあげる」
…………、っ、ゆきとさん……
「なぁに? 百瀬」
……えっち、したいです……
「っ!!」
 本気で耳を疑った。恥ずかしがり屋の百瀬が自分から僕を誘って来た。
 固まる僕を見て言ってしまった、と後悔したのか顔を真っ赤にしながら早口で捲し立てる。
「ゃ、やっぱりなんでもないです!! せっかくの休日ですもんね!! 仕事でお疲れでしょうし今日はもう休みましょうか!? ゲームの続きはまた今度遊んでください!! それじゃあ、おやすみなさい!!」
 僕に組み敷かれた状態の百瀬が隙間から這い出ようとするのを、両肩を掴んでソファに押し付けて制止した。
「ぁ、あの!! ユキさん!?」
「いいの?」
「ふぇ!?」
「百瀬が嫌じゃなかったら、本気で抱くけど……
「っ!!」
 耳まで鮮やかな赤に染めて、口をパクパクと開閉させながら薄らと目尻に涙を浮かべるから、ちゅ、と吸い付いて涙を拭う。そのまま耳朶を食んで吐息ごと吹き込むように低く囁いた。
「ね、百瀬。僕だってずっとキスの先もシたかったよ?」
「はぅ!?」
 百瀬から聞いたこともないような素っ頓狂な声が漏れて思わずクスクスと笑ってしまったけれど、百瀬の背中に腕を回してギュッと抱き締めて向かい合う形でソファに寝転んだ。
 額をコツンとくっ付けて、潤むマゼンダを間近で見つめる。
「ぁ、あの……
「ん?」
「ぉ、オレ、そういうの、初めてで……
「大丈夫、全部僕に任せてくれればいいから……、百瀬は気持ちよくなることだけ考えて?」
「ぅ、はい……
「ふふ、いい子。それじゃあ、ベッド行こうか?」
 不安そうに眉を下げて、唇を真一文字に引き結んでコクンと頷く。最後に頭をひと撫ですると、ソファから起き上がって百瀬を横抱きに抱き抱えた。
「ひゃ!?」
「じっとしててね?」
 首の後ろに腕が回されると、ゆっくりと歩き出す。寝室の前まで行って、百瀬が扉を開けてくれると、扉を潜って優しくベッドに寝かせてあげる。
 ベッドに沈んだ百瀬の上に覆い被さって、肩から滑り落ちた銀髪が百瀬を囲った。
 この先何があろうとも、もう手放してなんてあげられない。嫌だって言ったってやめられる自信もない。
「本当にいいの?」
「はい」
 最後の確認にしっかりと返事をしてくれて、覚悟をもった瞳で真っ直ぐに僕を映し出す。長い夜になることを予感して、薄く色付いた唇にキスを落とした。