しゃどやま
2024-09-12 23:03:54
1419文字
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【宗戴?】専務が枕してるのを止められない宗

NTRなのか? モブに連れ込まれる戴です。
愛してるの言葉もないけれど、この二人が利にならないことをした時点でなんらかの感情だよな。

 高塔は怪しい。宗雲はそう当たりをつけて、諜報活動を始めた。虹顔市を牛耳る巨大企業。並外れたテクノロジー。そして、高塔戴天。
 高塔戴天が以前、二年間の失踪をしていた事、その後の高塔エンタープライズの異様な動き。彼らは確実にカオスイズムの情報を得て動いている。ウィズダムシンクスの知らない情報で。握り潰された情報の痕跡を辿りながら、宗雲は猟犬のように後を追う。
 次期社長とみなされる高塔戴天にブラックボックスが集中していることは解っていた。今は「どちら」なのか。誰の味方なのか。考えると微かに脳が興奮を覚える。難易度の高い相手に、情報戦を挑まれている興奮。それだけだと思った。

 高塔戴天はホテルの談話室でにこやかに微笑む。自分より二十は上の取引先に対しても臆さず、柔和に踏み込んでいく。伸ばした髪を指に巻きながら、言った。
「これ以上は平行線になってしまいますね」
「そうだな……決め手があればいいのだが」
 取引先は眉毛を寄せる。難しそうな顔を作っているが、唇はだらしなく笑んでいる。
「どうでしょう? 続きは部屋で、お酒でも」
 ふむ、と取引先は考える。珈琲を手に取り、口元に運ぶ。飲み干し、カップを置いた。戴天は表情を変えない。値踏みは終わっている。
「それはいいね。若い人と酒を酌み交わすのは、いい刺激になりそうだ」
「嬉しいお言葉です」
 にっこりと微笑む戴天に、取引先は頷き返す。
「部屋はとってある。先にグラスの手配をしてくるよ」

 取引先がフロントに向かったのを見て、戴天は微笑みを捨てた。
「盗み聞きですか」
 睨む視線を向ける。戴天の後方の椅子で、珈琲を飲んでいる宗雲に言う。
「やめておけ」
 会話になっていない返事に、戴天は立ち上がる。胸に手を当て、芝居がかった仕草で言う。
「千載一遇。この商談は我が社のプランを三年分は進めることができる、またとない好機です。それを、あなたに止める権利があると?」
「そうは言っていない」
 宗雲が懐に手を入れたのを見て、戴天は身体を硬直させる。写真が出てくることが解っていたのだろう。
 隠し撮りされた写真には、どれも戴天が写っている。ある時は女性の手を取り、ある時は男性に腰を抱かれる。年齢や、写る相手の立場。どれを見ても、真っ当な恋愛の姿ではなかった。
「あの男は以前、セックスドラッグの使用で問題を起こした。金の力で隠しているが、まだよからぬ組織と付き合いがあると見たほうがいい」
「明目張胆。怯えていては何も手に入りませんよ」
「失うものも大きい」
 戴天は、はっ、と短く笑う。鋭い瞳で、宗雲を見下ろす。嘲る。
「残念ながら――今の私に失うものは無い」
 宗雲は目を伏せる。自分の命を何に使うかは、当人の自由だ。戴天がそう思っているのなら、これ以上言うことはない。
 ぽつりと、戴天が言う。
「あなたには、ありますか」
「何?」
「失いたくなかったものが」
 戴天の顔を見上げるが、そこに表情はない。宗雲にはわからない。
「何を、知っている?」
 宗雲の首筋に汗が浮かぶ。思い出してはならないものが、脳の奥で蠢く。
 思い出してはならない。
 思い出してしまえば――知らずにはいられない。

「持たせたね、戴天くん」
 取引先の男が戻る。戴天はくるりと宗雲に背を向け、男に頭を下げた。
「じゃあ、行こうか」
 宗雲の目の前で、戴天は男に腕を組まれた。