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バラ肉
2024-09-12 19:08:37
3806文字
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優位簒奪(麺スグ)
【ワードパレット】から
k.さんよりリク
【優位簒奪】翻弄、意地悪、絡ませて
で、麺スグです。
クールな麺さんに翻弄されてるスグルさんを書いてみましたー。
糖度高めです。
スグルはラーメンマンの声が好きだった。
低く深い、まるで無いはずの子宮を震わせるようなバリトン。それが独特の空気感を纏って自分の名前を呼ぶ。
たったそれだけのことなのに、その声を聞くだけで、彼はもうダメだった。
弱点、とは言い得て妙だろう。
リングの上は勿論のこと。プライベートでも、ふざけた場面でもーー果てはベッドの上でさえも、それは覆ることなく。
「キン肉マン
……
」
たった一言囁かれただけで、もう何も逆らえなくなってしまう。
例えば、
「ぁあ゛ッ、いや、じゃッ
……
!もう、指じゃ足りない、からぁッ! おねがッ、ぁんんッ」
グズグズに解された秘部に灼熱の杭をくれと強請ったときも。
「やじゃッ、もうダメッ! むりッ、アッ、やっ、イきた、ッ、んん゛〜〜ッ!」
縛られた根元を、もう限界だから解放してくれと涙と涎でぐしゃぐしゃの顔でせがんだときも。
「ハアッ
……
ラーメンマン、頼むから
……
動いてッ、ハッ、んんぅ
……
」
腹の上に座らされたものの、自分では上手に動けないから動いてくれと懇願したときも。
決して「うん」とは言わず、代わりに一言
「キン肉マン
……
」
そう優しく頬を撫でながら微笑まれたら、そこでもうおしまい。それ以上の泣き事を吐けなかった。
むしろ、ラーメンマンからの『よし』が出るまで耐え忍ぶばかり。それこそ、限界のその先の、目の前が快楽にチカチカしだすまで。
感情の読めないポーカーフェイスからは想像もつかないほど意地悪に、大胆に、翻弄される時間はどれほど甘く苦かっただろう。
結果、自分が自分でなくなるほどの強い快感に溺れた回数は
……
余裕で指の数では足りない。
「やじゃ、ぃやじゃッ! アアッ! ら、ラーメンマンッ
……
!」
「ああ、分かっている
……
」
必死に耐えつつ、それでも抑えきれない激情から漏れた悲鳴が譫言のように彼の名前を呼ぶ。
か細く、まるで力のないそれは、さも迷子の子供のように頼りなかった。縋り付く相手が相手であれば、きっと全力でその懇願を叶えにいく筈だ。
しかし、実際に彼を組みしく男は平素と同じ微笑を浮かべるだけだった。
行為特有の発熱から汗はかいているものの、他は何一つ変わった様子は見せず。顔だけ見れば兵法書でも読んでいるかのような涼しさは、顔から出るもの全てを垂らし、果てしない欲望の中でブルブルと震えるスグルとは大違いである。
(調子に乗りおって
……
!)
そんな、決して口には出せない八つ当たりを抱いたのも仕方ない。
しかし、いくら悔しく感じたところで、己を真っ直ぐ見つめながら攻めててくるラーメンマンの姿は文句の付け所など一切なく。逆に惚れ惚れするほど堂々として、どれだけ相手の肉棒を咥え込んだ肉壺がキュンと疼いたかしれない。超人の中では線の細い部類に入る割に、彼の男臭さは雰囲気だけなら相方のバッファローマンにも引けを取らないだろう。
(全く、この男には敵わん
……
!)
結果、ぐだぐだ考えたところで、好き勝手に揺さぶられる頭が導き出すのはいつも同じ答えだった。
***
某月某日、都内のホテルの一室にて。
事後の独特の空気が漂うホテルの部屋のベッドで眠っていたスグルは、ふと聞こえてきたザァァ
……
ッというシャワーの音にゆっくりと目を覚ました。
ぼんやりとした頭のままのっそりと上半身を起こした途端、一気に全身に気怠さが襲う。どうやら行為の痕をまだ引きずっているらしい。特に股関節の辺りがじくじく痛むのは、無茶な体位で長い時間攻められたからで間違いない。
毎度のことながら、自分の殺人技と同じ数だけ性交体位を取得している男はベッドの上といえぞ容赦を知らないのだ。
「はあ
……
」
倦怠感が残る体を持て余すように頭を掻けば、そこで彼は散々体液でベタついていた自分の肌が綺麗なことに気付いた。また辺りをよく見れば、シーツも綺麗な物に変わっている。
きっと、意識が飛んでいる間にされたのだろう。
「
……
律儀なやつじゃ」
行為の時には好き勝手するくせに、こう言うフォローは欠かさない。
おまけに、事後は疲れて眠り果てるだろうことを想定してか。毎度丁寧に避妊具を装着して行為をする気遣いにも、スグルは今更ながら苦笑を浮かべざるおえない。
(根っこは、本当に優しいんだから)
そんなラーメンマンの心配りを正確に汲み取るならば、今のスグルがとるべきなのはきっと再びベッドで眠りにつくことだ。
ゆっくり体を休め、明日に響かないようにする。
取るべきなのはその選択
……
そう分かっているものの、彼は軋む体をどうにか動かすと、何故か徐にベッドから降りた。
ぺた、ぺた、
そのままま、素足なのも気にせず向かうのは今もシャワーの音がする浴室だ。
ぺた、ぺた、ペタ
……
入り口まで辿り着くと、ドアに嵌め込められた磨りガラス越しに人影が見えた。肌色の背中に長い黒髪が広がっているのがぼんやり滲む。きっと自分の体を清めているのだろうその光景に、ほんの少し唇が尖った。
(独りにさせるなんて、寂しいではないか)
勿論、本当は自分の体を労うため、起こさないように出て行ったのは百も承知だ。シャワーの音も極力うるさくしないよう水圧を弱めにしていることも分かっている。
しかし、素直でないのがこのヒーローの十八番なのだ。
ガチャッ
「ん?」
無造作に扉を押し開けたスグルは、ラーメンマンがこちらを振り返る前に浴室内に入ると、シャワーがかかるのも気にせず、勢いよく彼の背中に抱きついていた。
「は? なッ、キン肉マン!」
思いのほか上擦った声に「おや」と思いつつも、濡れた背中に頬を寄せる。まるで比翼の鳥が相方に擦り寄るように。
「どうしたんだ
……
まだ休んでいていいん「一人にするな、ばか」だ、ぞ
……
?」
そして、嗜める声を遮ったのなんとも幼稚な文句だった。
しかし、その言葉に偽りはない。無意識に抱きしめる腕に力が入る。そうなると必然的に背中に散らばった濡れ髪が頬を濡らすが、特に気にはならなかった。むしろ、ホテルにわざわざ持ち込んだであろう彼愛用の洗髪剤の香りに、スウッと鼻を鳴らす。
「
……
っ」
いつもならここで、「キン肉マン
……
」と嗜められておしまいだ。どんなに可愛い真似をしたって、柳のように受け流すのが得意な男に意味はない。スグルとてそれらを分かった上で動いている。
否、本心だからこそ、素直に伝えたかったのだ。
しかし、何故か彼からの返答はなかなか返ってこず。
「ラーメンマン?」
早々に痺れを切らしたスグルは、堪らず顔を上げた。自分のわがままに呆れたのか?向けた視線は些か不安げな色を纏っている。
しかし、相手の顔を見た瞬間。彼の青色の双眸は信じられないとばかりに大きく見開かれていた。
なぜなら、見上げた先にあるラーメンマンの顔はーー今まで見たこともないほど赤く染まっていたのだ。勿論、黒髪の隙間から覗く耳も、首も、同じように赤い。シャワーのぬるい温度からして、のぼせたとの言い訳は通用しない。
何より、普段は微笑を張り付かせた口元が、なんとも形容し難い形になっている様は彼の動揺をありありと現していた。
いつだって泰然自若な男のそんな照れた姿に、スグルは驚きにポカンと口を開くばかり。
「ら、ラーメンマンちゃん?」
「
……
少し黙っていろ」
言い様のない空気にふざけた口調で名前を呼べば、ピシャリと切り捨てられ肩がビクッと揺れる。
しかし、顔を片手で覆って平静を取り戻そうとしている相手に、今更畏怖は感じられなかった。
「ラーメン、マン
……
?」
逆に、ムクムクと腹の中に湧き起こるそれは喜びで。
スグルは、ラーメンマンの胴体に回していた腕を一度解くと、今度は上半身全体を抱くように絡ませた。すると、ちょうど左胸に当たった右の掌にドクドクドクッと激しい鼓動が伝わってくる。余りの勢いに、スグルの胸もつられて高鳴ってしまう。
それから、暫しの間沈黙が続いた後。
「
……
キン肉マン」
低く、深いバリトンに名前を呼ばれたスグルは、改めて彼を見上げた。首を回してこちらを見る表情は、さっきの赤面など嘘のように平素と変わらず。むしろ、全くお前は
……
そんな年上の笑みを口角に浮かべる有様だ。
それはまるでたじろぐ自分を誤魔化すようで、上手に余裕を繕うようで。
「ふっ
……
はははッ」
スグルは思わず笑ってしまった。
(だって、この右手に触れる鼓動は、未だに速さを落としておらんではないか)
ドクドクドクッ
胸板越しに伝わる心拍の強さに、スグルはこちらを訝しげに見下ろす相手に笑うしかなかった。
ああ、なんだ。
この男も自分と一緒だ。いいや、下手に取り繕っている分、自分より重症に違いない。
「ッキン肉マン」
大好きな声に名前を呼ばれる。普段ならそれで調子に乗るのはおしまいだ。
しかし、今は違う。
目尻に歓喜の涙を湛えたスグルは、それを隠すようにラーメンマンの背中に額をグリグリと押し付けた。
「
……
お前さんの弱点、見つけてしまったな」
そう呟いた彼は、自分の弱点克服も含め、なんだか優位を奪ったような気持ちになったのだった。
不意打ちに弱いだなんて、笑っちゃうね!
優位簒奪
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