三毛田
2024-09-11 21:58:46
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47 07. スィートハート・ビターハート

47日目 甘いも苦いも表裏一体

……
……
 気まずい。とことん気まずい。
 普通の映画だと思っていたら、最後の最後で無意味なラブシーン。
 隣の丹恒は、無表情でそれを見つめている。
「今までの流れで、あんなことをする意味はあるのか?」
「ないよね。やっぱり、丹恒もそう思うよね?!」
「あんなところで無防備になったら、敵に襲われやすくなるだろう。何を考えているんだ」
 まあ、そうなりますよねぇ。
 こんなしょっぱい反応じゃ、何も期待できないよ。
 丹恒は基本的に、恋愛に対してしょっぱいしビターだ。
 興味がない、無関心ともまた違う。
「別の、観る?」
「いや。忘れないうちにアーカイブに記録しておきたい」
「一緒にいてもいい?」
「構わない。が、記録中は相手にしないぞ」
「椅子とテーブル借ります」
「そうか」
 手を差し出すと、不思議そうにしながらもそっと乗せてくれる。
 資料室で丹恒が作業している間、ゲームを起動するけどなんとなく集中できない。
「キス、くらいはしたいなぁ……
「誰とだ?」
「ひょうわ!?」
 真後ろから声がして、肩が跳ねる。
 振り返ると、手のひらを隔てただけくらいの距離に丹恒の顔。
 ち、近すぎない?
「だ、誰って」
「キスをしたいくらい好いた相手がいるのだろう? 俺にできることがあれば手伝うが」
 そこで〝何でも〟って言ってくれればなぁ。
 勢い任せで、丹恒とキスしたい! って言えるのに。
「本当に手伝ってくれる?」
「ああ」
 腕を組んで、頷く。
「じゃあ、丹恒とキスしたい。っていうのは……駄目?」
 まさかそんなことを言われるとは思っていなかった。というようにきょとんとして。
「俺?」
 頷くと、目を丸くして。驚いたように俺を見る。
「そう。丹恒がいい。俺は、丹恒が好きで、好きだからキスをしたい」
 ジッと唇を見つめていると、指先が唇に触れて。
 それから、顔を真っ赤にして俺から一歩二歩と離れる。
「だって、そんな……俺を?」
「そうだよ。丹恒が好きなんだよ」
 離れた分、近づく。すると、その分離れて。
「丹恒」
 気づけば、丹恒を壁まで追い詰めていた。耳まで真っ赤にして、俺を見つめている。
「きゅぅ」
 頼りなさそうなか細い声で、俺を呼ぶ。
「いい?」
「いいと言ったら、キス、するのか」
「するよ。だって、好きなんだもの」
 顎に手をかけると、視線だけ動いて。
「断わらないと、キスしちゃうからね」
 反対側に視線が動き、それから瞳が瞼の裏に消え体から力が抜ける。
 受け入れてもらえそうなので、そっと唇を重ね合わせた。