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山茶花
2024-09-11 20:25:51
6903文字
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[シルデュ♀]受け女体化学パロ
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君じゃなきゃダメみたい(7)【088GP008】
シルバーが勘違いする話。
※現代学パロです。男子そのまま・女体化キャラ入り交じっています。
※独自設定が多く含まれます。
※今回はシルデュの他にマレセベ♀、リドエー♀要素が含まれます。リドエー♀成分濃いめ。
↓大丈夫な方はスクロール
誕生日の初デートも無事に終え、今日も今日とて学園へと登校する。マレウス様とセベクの足が校門をくぐったのを見届けるなり、俺は二人と少しだけ距離を取る。
……
というのも、二人は、以前、俺の誕生日あたりに結ばれたのだろう以来、とても距離が近くて
……
。
「ふふ、セベクよ。今日はお前をどのようにしてやろうか? もう、今からでもその身に触れてしまいたい気分だ」
「あ、朝から、そんな、マレウス様
……
っ、い、いけません!」
甘い蜜月の雰囲気にこちらまで当てられてしまいそうで、とても真横には居続けられない。
……
俺もいずれあんな風になるんだろうか
……
?
そんなことを考えていると、おはようございますと元気な挨拶が後ろから聞こえてきた。
「おはよう、デュース」
今朝のデュースは髪を降ろしている。ヒヨコのぬいぐるみと、揃いでリボンを買ったと言っていたような気がするが結ばないのだろうか
……
ああ、思い出した。確か、エースにアクセサリーにしてもらうと言っていたな。髪飾りにするのはそれからなのだろう。
それにしても
……
なんだろうか? 今日はやけに可愛いような気がするな。何故だろう? 不思議に思ってじっとデュースの顔を見ていると、デュースは赤くなって目を逸らした。
「なんか今日、可愛いな?
……
なぜかは分からないが」
首を傾げながら言うと、えへへと満足そうにデュースは笑った。俺にはよく分からないが、デュースが自分自身に何かをしたのだろうか?
すると後ろからリドルに声をかけられた。
「おはよう、シルバー、デュース。幸せそうで何よりだけれど、通り道を塞ぐのはよろしくないね」
「あ、ああ、すまない」
端に避けてやると、リドルはスタスタと通り過ぎようとする。通り過ぎざまにデュースを一瞥してリドルは言った。
「
……
今のキミくらいなら問題ないと思うけど、あまり華美な化粧はしないようにね」
「は、はい
……
」
リドルの言葉に、俺は得心がいく。
……
なるほど、コイツは今日、化粧をしていたのか。だから可愛かったんだな。俺が真っ先に気付いてやれなかったのが、少々悔しい。
「今日は化粧していたのか?」
「い、いつも、ちょっとだけお化粧してたんですけど
……
。今日はその、特別で
……
」
「特別?」
その言葉に、俺は自分が贈ったプレゼントのことを思い出す。
……
特別というのはもしかして、あの口紅のことか?
「もしかして
……
使って、くれたのか? あの、口紅
……
」
「は、はいっ。あんまり綺麗だから、ちょっと勿体ないなって思ったんですけど、せっかく先輩が贈ってくれたんだから、
……
見せたくて
……
」
「
……
デュース」
朝から俺の鼓動を跳ねさせるのは、程々にしてほしいものだ。
「ちょっと、こっちに来てくれるか」
「は、はい?」
人気が無く、傍からは死角となっている廊下の隅にデュースを連れ込む。そして、デュースにくちづけた。
「
……
すごく似合ってる。思わずキスしたくなるほど、可愛い」
「は
……
」
お前に贈って良かったと言い残し、恰好をつけて2年生の教室へと立ち去る。教室へ入ると、何か視線を集めているような気がした。それも男女問わず、だ。女子からチラチラと見られることは珍しくないが、男子からもというのは珍しい。
「
……
どうしたんだろうか? みんなして俺を見て」
近くの席にいたカリムに尋ねると、隣にいたジャミルが何かカリムに耳打ちした。
「いやー、気にすんなよ! たまにはそういうこともあるよな~、ははっ!!」
他の者に尋ねても、似たような答えしか返ってこない。俺が何かおかしな恰好でもしているのだろうかと思ったが、確かめる前にホームルームのチャイムが鳴ってしまった。
一限は体育の授業だ。夜鴉学園では、体育の武道に剣道を選択している。親父殿と剣の稽古ができると内心浮き足立って体育館へ赴けば、親父殿は俺を見るなり呆れた顔をした。
「これ! お前ら、今まで誰もうちの息子に教えてやらんかったんか? あまり意地悪してやるでないぞ!」
先に集合していたクラスメイトの男子たちが顔を見合わせてだってなあ、シルバーはもう少しアピールした方がいいかもしれないしと苦笑いをする。
「何か、言いづらいことでもあったのか?」
俺が同級生たちに尋ねると、親父殿が俺を怒鳴りつけた。
「阿呆! お前の口に、べたりと口紅がついておるわ。朝っぱらからどこのおなごと戯れてきたのか知らんが、さっさと鏡を見て来い!」
「は、はい
……
っ、すぐに行ってきます!」
教えてくれても良かったんじゃないか!? と同級生に言い残しながら鏡へと走る。背後からは親父殿とクラスメイトたちが何やらやんやと盛り上がっている声がするのが聞こえた。
多少恥ずかしい思いはしたが、同級生たちは生暖かく見守ってくれているようで、ありがたいことだ。どうにも彼らが言うには、俺はもっと彼女がいるということ、そしてそれが大切な存在であり、他の者に付け入る隙はないということを積極的にアピールした方がいい、らしい。だからみんな、俺に口紅がうつっていることを教えてくれなかったのだと
……
。
またデュースが何か女子に絡まれているのかと聞くと、どちらかと言えば一年生の男子にデュースを狙っている男が増えているという話だった。た、確かに、それは良くない。他の男たちには悪いが、俺たちに付け入る隙などないのだと見せつけなければ。
……
とはいえ、人前で堂々と色恋沙汰を進められるほど、俺もデュースも大胆ではない。どうしたものかと考えていると、じきに昼休みが来てしまった。
昼休み、集まったデュースは浮かない顔だ。とは言っても、深刻な悩みではないようだ。いや、本人にとっては深刻なのだろうが
……
。
「もうすぐ、中間テストですね
……
。補習に引っかからないようにしないと、夏休みに遊べない
……
」
デュースはあまり勉強が得意ではないことを、セベクやエースに聞いたり、図書室で共に勉強しているうちになんとなく察していた。そして俺も居眠り癖があるせいか、あまり勉強が得意な方とは言えない。
「そうだな。今は勉強に集中できるよう、頑張れ。できる時間は、俺も教えてやるから」
「うう、ありがとうございます
……
」
そんな俺たちを見兼ねて、マレウス様がひとつ提案をする。
「ふふ、勉強のやる気が出ないというのなら、褒美を設定してはどうだ? ここにいる皆が補習にならなければ、夏季の休暇は6人で海にでも行こうじゃないか」
「6人?」
俺は頭数を数える。セベク、デュース、エース、マレウス様、俺
……
ここにいるのは、5人じゃないか?
「失礼ながら、5人では? マレウス様」
「ああ、せっかくだからローズハートも誘ってやろうかと思ってな。かまわないだろう? トラッポラ」
「なんでアタシに聞くの~? 別に、いーけど! アイツが増えるくらい!」
「では、後ほどローズハートには話を通しておくとしよう。他に異論のある者はないな?」
マレウス様の呼びかけに、女子たちが口々にありませんと答える。俺も特に異論はありませんと告げると、マレウス様は満足そうに笑った。
「良い良い。では、それぞれしっかりと中間考査のため勉強に取り組むのだぞ?
……
海の約束、楽しみにしているからな」
それから俺たちは食事を終えたあと、少しでも勉強しようと図書室へ赴いた。マレウス様やセベク、エースも中間考査までは俺たちと共に勉強をするそうで、皆で図書室へと移動する。そしてひとつの机を囲み、それぞれにノートを広げた。
「にしても、海かあ~。今年はどんな水着にしよっかな」
「おやおや、まだ水着を選ぶのは早いのではないか?」
「え~、でもマレウス先輩も楽しみにしてるんでしょ? セベクの水着! 迫力ボディだもんね~!」
「まあ、楽しみにしていないとは言えないな」
「と、図書室では静かにしないか、エース!」
エースとマレウス様がセベクをからかい、セベクがそれに応じる。賑やかな勉強会だ。
「私、ちょっと参考書探してきますね」
「ああ、行ってこい」
席を立ったデュースを見送り、自身の勉学に励んだ。
……
何問か練習問題を解き終わり、不思議に思う。ずいぶんデュースが戻ってこないな。もしや高いところに本があって取れなかったりして、困っているのだろうか。それなら助けに行かなくては。デュースの様子を見てきますとマレウス様たちに言い残し、席を立った。
やがてデュースが向かった方の本棚に行くと、かすかな話し声が聞こえてくる。
「
……
で
……
だから
……
この問いかけ方をしてくる問題には、この公式を当てはめるといいんだよ」
「あ、そうだったんだ! ありがとうございます、ローズハート副会長!」
どうやら、デュースはリドルに勉強を教わっていたようだ。俺が影から見ているのに気付くと、リドルはお迎えだよとデュースを俺に差し出した。
「先輩、どうしたんですか? 先輩も、参考書探しですか?」
「いや。遅かったから、何か困っているんじゃないかと思って様子を見に来たんだ。
……
杞憂だったようだが」
一年生の勉強なら俺でも教えてやれたのに
……
。しかし、リドルは学年主席の成績だから俺よりもずっと分かることは多いだろう。多少悔しく思いながらリドルを見ると、そんな俺の気持ちを見透かしたかのようにリドルは言った。
「そんな顔をしなくてもいいだろう、シルバー。ただ偶然会ったから、今ボクが教えただけのことに過ぎない。続きはキミが教えてあげるといい」
「
……
そうする」
俺も参考書を持って行くから先に戻っていてくれ、とデュースに声をかけると、デュースはリドルにありがとうございましたと一礼して去っていく。
「わざわざ彼女を先に帰して、何かボクに言いたいことでも?」
「
……
お前は、なぜデュースに優しくしてやるんだ?」
今朝もリドルはデュースの化粧に俺よりも早く気付いていた。もしや、リドルもデュースのことを、なんて考えて尋ねると、リドルからはそれを肯定するような返事が返ってきた。
「キミと同じさ」
……
その後、勉強はあまり手につかなかった。うっかり居眠りしようものなら俺も補習組に入って計画が台無しになると、眠りかける度マレウス様に叩き起こされた。なんだか女子たちの扱いに比べて手厳しい気がするが、隙あらば惰眠を貪ろうとする俺が悪いので文句は言っていられない。
下校時間になって、俺の心をそのまま映したような曇り空が空を覆う。やがてぽつりぽつりと雨が降り出し、それなりの土砂降りになった。
……
リドルは俺にとっても部活の仲間であり、大切な友人だ。その友人と、まさか恋敵になってしまうのだろうか。それにアイツはエースと仲が良かった気がするのだが、もしデュースの方をリドルが好きなら
――
。それに、あの言葉、俺と同じとはどういう
……
やめよう、これ以上考えたくはない。
「デュース、傘は持ってきているか?」
「はい、持ってきてます。
……
先輩と一緒の傘入れないのは残念だけど、先輩が濡れて風邪引いちゃってもイヤですもんねっ」
その言葉に、俺の心はいくらか晴れる。
……
デュースが俺を好きでいてくれるうちは、誰がコイツを好きでも、気にする必要などない。そのはずだ。
一緒に帰ろうと二人で二つの傘を差し、校門まで進んでいく。そのうちに、屋根のある渡り廊下に座り込むエースを見つけた。
「あれは、エース?
……
傘が無くて濡れてしまったのか」
「傘、貸しに行きましょうか?」
「ああ
……
ん?」
俺たちが傘を貸そうとエースを見ていると、そこに近付く影がもうひとつあった。
……
リドルだ。俺たちは顔を見合わせてなんとなく息をひそめ、成り行きを見守る。
「エース」
「リドル副会長
……
」
エースはリドルを見上げる。
「傘を忘れたのかい?」
「なに。笑いたきゃ笑えばいいじゃん、必要なものも持たないで、余計なものばっかり持ってきてるからだ、って」
リドルはエースの言葉に溜め息をついて、そして、自分の上着を渡した。
「そのままでは身体が冷えるよ。着ているといい」
「何、急に。
……
カレシ気取り?」
「
……
雨に濡れたシャツで、そのチェリーピンクの下着が透けたままで帰っていいと言うのなら、返してくれてもいいけれど」
「そういうのは早く言ってよ!」
エースは慌てて、借りた上着に袖を通す。リドルはそれを見て、エースに折り畳み傘を差し出した。
「いつも鞄に入れてる、ボクの予備の傘だよ。今日はそれを使って帰るといい。明日、必ず返すように」
「あ、ちょっと!」
立ち去ろうとするリドルをエースは呼び止める。
「なんだい? 申し訳ないけれど、この後は塾で個別授業の予定が入っているから、今日は送ってあげられないよ」
「べ、別にまだ明るいし、一人で帰れるし!
……
その、ありがと。上着と傘
……
」
「ああ。どういたしまして」
そう言ってリドルはその場から立ち去る。デュースはきゃあと小さく声をあげてはしゃいでいた。リドルは、様子を見ていた俺たちの横を通りすがる。
「なんだ、キミたち。居たのかい? のぞき見とは趣味が悪いね」
「い、いや。見ていたのは悪かった。ただ、エースに傘を貸そうと思って
……
」
「そう。ならば、これ以上学校に居残っている必要はないね。キミたちも速やかに下校するように」
スタスタと立ち去ろうとするリドルを俺は呼び止める。
「
……
待ってくれ。お前が好きなのは、エースなのか?」
するとリドルは、赤い傘の中から少しだけちらりと俺たちを振り返って言った。
「何を勘違いしているのか知らないけど
……
言っただろう。ボクも、キミと同じだって。キミは、その子
……
デュースが大切だから、その友達のエースも、大切にする。それと同じことを、ボクもその子にしているだけだ」
それって、とデュースは口元に手を当てて楽しそうに顔を赤くしている。女子というのは、どんなときも恋の話が好きなんだな。俺はとんだ勘違いしていたことを、リドルに申し訳なく思う。
「そ、そうだったのか
……
すまない、勘違いしていた」
「別に、いいけれど。
……
そうだ。マレウス先輩からお誘いがあった海の話。今回はボクもご一緒させてもらうから、そのときはよろしく。それじゃあね」
そう言って、今度こそリドルは校門をくぐっていく。俺たちも帰ろうかとデュースに声をかけると、はいと嬉しそうにデュースは返事をした。
「女子というのは、他人の恋の話が好きだな。そんなに嬉しいか?」
「嬉しいっていうか、ドキドキするじゃないですか! エース、ローズハート副会長とうまく行くのかなあ
……
っ」
デュースだけでなく、セベクもエースも、人の色恋沙汰の話が好きだ。自分の恋愛以外の話を聞いていて、楽しいのだろうか? そこまで考えて、そういえばマレウス様も女子たちの話を楽しそうに聞いているなということに気付いた。俺の話も、いつも楽しそうに聞いてくださるし
……
。
……
ん? もしかしてあまり他人の恋愛を気にしていない俺の方が少数派なのか? というところにまで考えが及んだところで、デュースが胸の前でぎゅっと両手を握って、ガッツポーズをし、なんらかのやる気を出しているのに気付いた。
「私、頑張ります
……
! エースとローズハート副会長の恋路のためにも! 私が補習に引っかかって、海の計画を台無しにするわけには行かないんだから
……
っ!!」
「そうか、頑張れ」
デュースを家まで送り届け、お前も試験勉強頑張れよと頭をぽんぽんと撫でると、デュースはほんの少し淋し気にした。
「
……
先輩といっぱい時間取れるのも、お勉強のためにしばらくお預けですね
……
」
「確かに、淋しい気持ちはあるが
……
勉強は学生の本分だからな。堪えてくれ」
宥めるが、それでも上目遣いで俺を物欲し気に見てくるデュースに後ろ髪を引っ張られる。
「
……
どうしても淋しかったら、電話してくれていい。そうしたら、喋りながら一緒に勉強もできるだろう」
勉強を頑張れるおまじないだ、とデュースの額にキスをする。デュースはそんな額に手を当てて、これなら百人力ですねと笑った。最後にもう一度軽く身体を抱き寄せて、じゃあまた明日、とデュースと別れた。
曲がり角を曲がる前に、振り返ってデュースの家を見ると、窓からデュースがこちらを見ているのに気付き、手を振る。買ってやったヒヨコのぬいぐるみと共に手を振り返してくれるのが見えて、この調子だと俺の方が先に電話してしまいそうだなと思いながら帰路につくことになった。
*おしまい
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