コーラル発酵中テキサスシャーク
2024-09-11 00:47:10
1434文字
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記憶に残らない男

『同じあらすじからAC6の二次創作を書いてみよう企画』の毬藻さんの粗筋2
「旧世代型の強化手術の実験台として売られた子供達
 施術時点で死ぬ子もいる中運よく生き残れた主人公
 奇跡的に買い手が付き、傭兵として戦場に出るも戦績はあまりよくなく、任務途中で命を落としてしまう」
をお借りしました。


 俺は強化人間というやつらしい。

 らしいって? 俺に聞かれても困るよ。自分の頭を自分で割ってみるわけにもいかないし。
 旧型強化人間? Cパルスによる意識の拡張? 難しいこと言わないで欲しいな。
 俺は昔はごくごく普通の生活を送っていた……ような気がするんだけど、気が付いたら強化人間になっていた。で、いつの間にかコーラル中毒者のドーザーのところで働かされてたんだけど、これがもう最悪。
 朝から晩までドーザーの縄張り争いのドンパチに駆り出されて、もうへとへと。
 買ってやったんだから値段分は働け!とか、ハズレ引かせやがって!とか。ドーザーってのは罵倒とコーラルしか知らない生き物だからしょうがないんだけども。
 でもそんな毎日も、もう過去の事。
 馬鹿なドーザーたちは……細かいことは忘れたけど解放戦線を怒らせて全滅! 俺とか……多分他にも何人かいたかな? 居たっけ? とにかく解放戦線に拾われて、自由な生活だ! 
 まぁ、俺に出来ることと言ったら戦うことぐらいだから、戦場に出ることは変わらないけど。
 出来損ないで強くないし、忘れっぽいし、なんか変な光で視界が赤いし、死ぬのは怖い。死にぞこないだから余計に怖い。
 でも俺は別に悪いことばっかりじゃないと思っている。
 赤い光は綺麗だし、悲しいことも苦しいこともすぐに忘れられてノンストレスだ。
 解放戦線の良い人たちと一緒に仕事をして、すごく楽しい! これ、大事。

 それに俺には尊敬する「先輩」がいる。
 先輩はすごくかっこよくて、俺のあこがれの人だ。
 出会いは……確かちょっと前。ポカやらかして死にそうになった俺を助けてくれたんだ。
 殺到と現れて、俺を敵陣の中からひょいって救い出してくれた。
 先輩は俺と同じ旧型強化人間だっていうのに、俺とは比べ物にならない凄腕。
 そんな先輩と俺は「約束」をしたんだ。
 すぐに忘れちゃうけど、先輩の名前も思い出せないけど、「約束」をしたことはちゃんと覚えてる。
 俺もあの人みたいな頼もしい傭兵になるんだ。そう強く決意を固め、俺は警戒アラームの鳴り響く戦場の空を見上げた。

 太陽の光に視界がくらむが、俺は目を逸らさない。俺の倒すべき「敵」を黙って睨みつける。
 そこには、黒い鳥のような機体が空を舞っていた。

 あれはレイヴンっていう傭兵だ。
 この星に争いを持ち込んだ悪い傭兵。俺の先輩とは大違いだ。
 なんでもすごく強くて相手を選ばないらしい。企業相手にも負け知らずで、解放戦線は大事な壁っていう大きな拠点までアイツに落とされた。

 牽制のミサイルが俺に降りかかる。何とか直撃を避けたが、機体は無傷では済まなかった。
 追撃が無かったのは幸いだが……もしかして手を抜いている? ふざけやがって。
 確かに俺は死にぞこないの出来損ないだけども、諦めるつもりはこれっぽっちも無い。
 俺の仕事は、俺を拾ってくれた封鎖機構の人たちのために戦うこと。
 守るために戦う俺って、かっこよくない? と自分で鼓舞。
 怖い。死ぬのは嫌だ。
 それでも瞼の裏に焼き付いた先輩の背中を追って、俺は腹の底から精一杯叫んだ。

「悪い傭兵! 俺が相手だ!!」











 そういえば。

「約束」って……なんだっけ。































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