ダベミ
2024-09-11 00:14:12
3364文字
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チャーハン大捜査線 夢小説〜チャーハンFBI編〜

こういう1発ネタは短い方がいいですね

中野華子中野中野華子華子華子華子私は中野華子、警視庁チャーハン課の新人刑事だ。

先輩刑事の関さん、山本さんと共に、違法な料理『イリーガルチャーハン』を取り締まるために日々奮闘している。
時々にんにくがたっぷりだったり、ラードがたっぷりだったりで、ピンチを迎えることもあるけど、その度その度に先輩たちに助けられてきた。

けれど……
そろそろ、私も1人前にならないと。いつまでも半チャーハンじゃ居られない。

「あんまり気を張りすぎるなよ?」

関さんは、そんな私の顔を見て笑った。

「ムリをしたっていいことはない。たまには足踏みも必要だぜ?新人」

「そうかもしれませんけど……

かと言っていつまでも新人扱いされるのは……
と、そんなときだった。
デスクの上の電話が突然、けたたましく鳴り始める。
関さんはレンゲを進める手を止めて、慌てて受話器を取った。

「こちらチャーハン課。……なに?」

「どうしたんですか!?」

「山本が、違法チャーハンを出す店を見つけたらしい。行くぞ」

「はい!」


現場にパトカーを走らせること数分。

「こっちです!」

既に店近くに待ち構えていた山本さんと合流する。
なんでも、すぐそばにある一見倉庫にしか見えないくらい古い建物が、違法なチャーハンを取引している店らしい。

「踏み込むぞ、注意しろ」

銃とレンゲを構え、関さん達と共にゆっくり近づいて行き……機を図った。
中には数人の人間の気配がする。
我々には気づいていないようだ。

「チャーハン警察だ!」
「全員動くな!」

関さん、それから山本さんが次々に叫びながら、拳銃を突きつけて入っていく。
店員らしき人間は満面の笑みを崩さず、また店内にいた客らしき人物の数名は少しだけ驚いているようだったが、気にせずチャーハンを貪っている。

拳銃を見て驚かない?なぜ?

「何ですか刑事さん。そう血気盛んに」

笑顔の店員に、少しだけ怖くなったけれど、引いていられない。

「ここで違法チャーハンを販売していると聞きました!」

「ほう?違法チャーハン……

「包み隠さず話してください!今ならまだ間に合います!」

精一杯の勇気を振り絞る。
店員はなお笑顔のまま、おもむろに振り向くと、背後に合ったコンロに火をつける。

「何をするつもりだ、動くなと言っているんだぞ」

「撃つ気がねぇならしまってくださいよ、刑事さん」

「な……!」

「なに、殺そうってわけじゃない。ただチャーハンを食べさせたいんですよ、その子に」

……中野さんに?」

こちらを振り返らず、店員はテキパキと支度をして、見事なチャーハンを作り上げていた。

「あの鍋の振り、ぱらぱらの度合い……只者じゃない」

関さんは私に小声で言う。
この人は何者なのだろうか……考えている内、数分もすればとんでもなく食欲をそそられる匂いが室内に充満していた。
店員が笑顔で振り返って、差し出してくる。
その黄金のひと皿を。

「特製チャーハンだ。どうぞ」

……!」

関さんが、俺が食うと一度言いかけたのだけれど、店員や他の客の視線が厳しく貫いたため、結局動けずに居た。
それに、仮に関さんが動けたとして、この立ち込める香ばしいラードの香りがあるのでは、私も棒立ちしていられないだろう。
席に恐る恐る座って、両手を合わせた。

「いただきます」

まるで構造物かのように形を成す米の山を崩して、レンゲで拾い上げる。
中央に集う黄金色の輝きに、この国が黄金の国と呼ばれる理由を見たような気がした。
日本に生まれてよかった。

それを一口食べた瞬間───

「面白い出し物だったが、そこまでだな」

「その声は」

入口に見知らぬ影がもう一つ。
漆黒のスーツと、大ぶりのサングラスをした男が居た。

「チャーハンFBI……ケンタ・サカイ!いつからそこにいたんだよ!」

山本さんが信じられない、と言わんばかりの顔をして叫んだ。同じ入口から入ってきたのだから、我々が尾行されていたのか?と内心勘ぐったのかもしれない。
それにしてもチャーハンFBI?

「国際違法チャーハン摘発組織がどうしてここに……

チャーハンを食べる手を止められないまま、ちらっと振り返ってその人を見た。
ケンタさんはちょっとだけ驚いたように見える。驚いた?

「ヒュウ、それを食ったのか?ジャパニーズチャーハンポリス、俺に敵意を向ける前に、まずパピーに躾をしておくんだな」

「何の話だ?」

「それだよ、そのチャーハン。イリーガルチャーハンだろ?」

こともなげにケンタさんが言う。
えっ。
イリーガルチャーハンって。

……中野っ、今すぐ食うのを止めろ!」

「で、でもなんか、これ美味しくて……!」

そう、美味しすぎて手が止められないのだ。
なんて美味しいチャーハンなのだろう。
これが食べられるならなんだってしてしまいそうなくらい美味しい。
イリーガル、つまり違法なチャーハンだからだろうか?

「おいおい、止めろよポリス共。ジャパンにはこんな言葉があるんだろ?」

そう言ったケンタさんは私のすぐそばまで来て……

「叩けば治る、ってな」

とん、っと私の首の後ろの辺りを叩いたらしい。
らしい、というのは、それをされてからぷつり、意識が途絶えたからだった。


「よぉ、目が覚めたか?それとも『覚醒』してる?」

いくら時間が経過したかわからない。
気がついた時には、私は見知らぬ場所に寝かされていた。
隣にはケンタさんしかいない。

「関さんと、山本さんは……

「あのポリス達なら帰したぜ、パーティは終わりだって言ってな」

「そう……ですか……

とにかく、何がなんだかわからないけど、私は気付かず違法チャーハンを食べてしまっていたらしい。

「あの、」

「ん?」

……助けてくれて、ありがとう、ございました……

……はっ、助けてやったつもりはねえよ、華子。違法成分の抽出と分析に協力してもらおうと思って連れてきただけだ」

ケンタさんは乾いた笑いを浮かべた。

「それでも……私を止めてくれたみたい……でしたし……

サングラス越しの表情はわかりにくいが、少なくとも唇の端は軽く上がっており、私のことを嫌がっているようには思えない。
はあ、とひとつため息をついてから、彼はやれやれと言わんばかり首を振る。

「オーケー、じゃあそういうことにしておいてやるよ」

ぺこりと頭を下げてみたが、次の句が出てこなかった。
ほんの僅かな沈黙も居心地が悪くて、何か言わなければと思ったけれど、ふとケンタさんが不思議そうにつぶやく。

「それにしても、お前。イリーガルチャーハンの影響はないのか」

「え?」

「神経が過敏になったり、食欲が増大したり……様々な副作用が予想されるんだが」

「え……あー……ない、です」

「あ?」

そういえば、チャーハンを食べる手が止めれれなかったくらいで、それ以外は影響がないみたいだ。
それはそれで不思議だった。

「へぇ……本当にイリーガル成分を無効化できる人間がいるなんてな」

「え?」

「面白い女だ、華子。まるでホームパーティにペリカンが乱入してくるみたいにな」

「はあ……?」

どちらもピンとこず首を傾げる。

「イリーガル組織だけではなく、お前にも興味が出てきた」

「えっと、それって……?」

「勘違いするな、華子。お前かただ特別なだけではないかもしれないんだからな」 

褐色の肌をほんのり赤らめて、それから最後にサングラスを僅かにずらして、こちらを見てきた。
いかつさに似合わないくらいのくりっとした目が私を捉える。

「動けるようになったら自由に帰れ。俺は止めないぜ」

……ありがとう、ございました!」

ここがどこだが結局よくわからなかったが、私はかなり健康体に戻ったため、この謎の建物を飛び出していった。先輩たちのところに戻らないといけないからだ。

「本当に面白い女だ、華子。つい逮捕したくなるくらいには」

それをケンタさんが見ていたことは最後まで気づかなかった。