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山茶花
2024-09-10 21:06:46
4447文字
Public
[シルデュ]Pixiv投稿済み(健全)
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デュース・スペードの独白【018P018】
デュース受オンリーイベント「大釜いっぱいの愛を君に2」参加用小説です。デュースがひとりでわちゃわちゃする話。
*含まれる特殊設定
・シルデュ(付き合ってる恋人設定)
・シルバーひとり部屋設定
・ちょっとだけえっちな雰囲気のいちゃラブ(※R指定するほどではない)
・以上大丈夫な方はスクロールでどうぞ↓
僕はシルバー先輩が大好きだ。どのくらい大好きかっていうと、えっと、その
……
たくさんだ! とにかく、たくさん。
今日はなんで僕がそんなに先輩のこと好きなのか、聞いてもらおうと思ってる。
……
いい、よな?
ありがとう、お前ならそう言ってくれると思った! じゃあ、始めよう。
……
なんて、監督生に話すようなつもりで、ヒヨコのぬいぐるみに語りかけてみる。実は、ちょっとした恋の悩みを誰かに相談したいけど、ダチに惚気すぎて呆れられても嫌だって話をしたら、ローズハート寮長が『ぬいぐるみや人形相手に話しかけて、頭の中を整理するやり方があるよ。試してみたらどうだい』って教えてくれた。だから、僕は今それを実践してる。ちょっと絵面が絵面だから、エースあたりに邪魔されないように森の中で隠れてやってるが。
それで、ええと。まだ終わりじゃないぞ! 話したいことはたくさんあるんだ。この際だから全部ぶちまけちまおうと思ってる。
まず、僕は単純だってよく言われるけど、常に素直ってわけじゃない。嘘つくことも、いじけることだってある。前に話した通り、昔の悪いクセが出ちまうことだってあるんだ。でも、先輩の前ではいつでも素直になれる。素直で頑張れるいい子って感じの
……
先輩の傍にいると、好きな自分になれるんだ。それが嬉しいって伝えると、先輩は『俺の力なんて些細なものだ。お前の努力の賜物だ』って言いながら、それでも嬉しそうに優しく笑って、そっと頭を撫でてくれるんだ。な、恰好良いだろ、僕の先輩は。
……
なんて、へへっ、調子に乗り過ぎたかもな。
だけど、言われるんだ、最近。『もっとそういうことを言っていい』って。
シルバー先輩は誠実な人だから、何もかもを差し置いて、僕が常に何よりも一番だとは言ってやれない、って申し訳なさそうに言う。だけど、それでも、心の一部は確かに僕のものになっているんだって、だから、シルバー先輩は僕のものだって胸張っていいんだって、僕が不安なときはいつでも言ってくれるんだ。
恰好良いだけじゃなくて、優しいなんて、僕には勿体ないよな。それに、強いし、逞しい。お父さん想いな人で、芯が強くて、本当になんで僕なんかを目に留めてくれたのか
……
って、はは。シルバー先輩を褒めるのは楽しくて、つい止まらなくなっちまうな。だって本当に大好きだから、どんなところが好きなのか、たくさん言いたくなっちまうんだ。
……
あ! でも、僕のだからな! 確かに魅力的な人だけど、取らないでくれよ!?
……
お前と争うことになったら、僕、負けちまうかもしれないし
……
。も、もちろん、最後まで負けようとするつもりなんてないからな!?
でも、お前のことだって僕は好きだから
……
。最後の最後には、二人が幸せなら、って、身を引いちまうかもしれないし
……
。
……
ダメだ! こういうことを想像するのは、先輩やユウを信頼してないみたいで良くない! そうだよな! それに、シルバー先輩にも、お前しか目に入れてない、いらない心配をするな、ってよく釘を刺されるし
……
。うう。僕、実際誰かを好きになって、付き合ったりするのなんか、初めてのことだから、自分がこんなにヤキモチ妬きの不安症だってこと、知らなかったんだ。どっちかっていうと、恋愛ドラマの似たようなシーンなんか見て、好きになった人が好きって言ってくれるならそれでいいだろ、もっと信じてやればいいのにって思ってるくらいだったのに
……
。今さらになって、ドラマのシーンがよく分かる。いくら好きな人が好きって言ってくれたからって、それでも気になるもんは気になるし、不安なものは不安なんだって。
そうだ、シルバー先輩ってモテるんだよ。街を一緒に歩いてると、シルバー先輩のこと見てる女の子や、声かけてくる女の子の多いこと、多いこと
……
。
……
僕とのデート中なのに。でも、シルバー先輩ってさ。意外なことに、結構女の子のあしらい方に慣れてるんだよな。本人が言うには、『一年生の頃は苦労した。友人や家族にうまい断り方を相談して、身に着けた』って言ってたけど
……
。なんか、大人っぽいよな。そういうとこ。僕の方はまだ、ちっともそういうシルバー先輩目当ての女の子相手にすらうまく対応できないのに。なんだかいつも、僕ばっかり背伸びしてるみたいな気分になるんだよな。
……
あ、でも、これに関しては僕もおあいこか。正直、女の子に声かけられたあとは、僕よりシルバー先輩の方がちょっと機嫌悪いし
……
。なんでかって、まあ、それは、その、察しの通り僕が女の子相手にうまく話せず上がっちまうから、シルバー先輩がそれを見てむすっとしちまうんだ。
……
正直なこと言っていいか? ちょっと嬉しい。悪いとは思ってるんだぞ!? でも、先輩も僕にヤキモチとか妬いてくれるんだって思うと、めちゃくちゃ嬉しいじゃねえか!! だろ!? そう思うだろ!?
あ、わ、悪い! ちょっとはしゃぎすぎたな。で、えっと
……
。まあ、とにかく嬉しかったんだよ。
あ、そうだ。話は変わるが、この間、僕、食堂でシルバー先輩と相席したんだ。それで、一緒に飯食ってて、僕、ふとシルバー先輩見ててさ。食べ物食べてる口を見てたら、キス
……
したくなって。で、じっと見てたら、それが先輩にもバレたみたいで、先輩はふって笑いながら、『今は食事中だから、あとでな』って。僕、もう恥ずかしくて、その場を逃げ出すように急いでメシをかき込んで
……
。
と思ったらさ、その後。午後、移動教室中に廊下ですれ違ったとき、物陰へ急に引っ張りこまれてさ。
……
抱きしめて、キス、されたんだ。それだけして、すぐに先輩は『じゃあな、約束は果たしたぞ』って立ち去っていっちまって
……
。
ヤバいよな? もう、なんていうか、何がヤバイって、何から何まで完璧っていうか、恰好よすぎてヤバくないか? 本当に僕、この人の恋人でいいのか? だって、妬いてくれるし、好きって言ってくれるし、キ、キス
……
してくれるし、抱きしめてくれるし、なんかもう、足りないところとかなくないか!? 勉強を教えてくれることもあるし、休日の運動にも付き合ってくれることあるし、頑張ってたら褒めてくれるし、頭撫でてくれるし
……
。僕、何もかももらいっぱなしで
……
! いったいこれからどうやって、あの人に何を返したらいいんだ!?
え、結局どれが一番の悩みなんだ、って
……
。だから、シルバー先輩が恰好良すぎて、完璧で、僕とつりあってないんじゃないかって思って、他の人の方がいいんじゃないかって、つい不安になって、それでも自分にできることはやりたくて、もらったものだけでも返したくって
……
。
……
悪い、あまり、考えがまとまってないのかもしれない。
――
そこまで口にしたところで、ふと、人の気配があることに気付いた。パキ、と枝を踏む音がした。
「えっ、誰かいるのか!?」
振り向くと、そこには意中の人
――
シルバー先輩が、立っていた。なんだか恥ずかしそうに赤くした顔を、手で覆って。
「お前というやつは
……
」
「え、ど、どっから聞いてたんですかっ!?」
シルバー先輩が一歩ずつ、すたすたと早足で僕に近付いてくる。思わずあとずさりそうになっていると、手首を掴まれ、そのまま抱きしめられた。シルバー先輩の吐息が、声が、耳にかかる。
「どうしていつも、そうなんだ」
「そ、そうって
……
?」
「
……
いつも、気を抜いたとき、思いがけないときに、突然、可愛らしさを見せつけてくる」
「か、可愛くないですっ」
シルバー先輩は、はあ、と溜め息をつく。
「可愛いだろう。俺のことが好きでしょうがない、と鳥の雛のぬいぐるみに語りかけてるお前の、何が可愛くないんだ」
「それはその
……
っ!!」
シルバー先輩が僕を抱きしめる腕に、力が籠もる。
「
……
困った。今日はまだ、これからいくつか用事があるというのに。お前をこのまま、この腕から離したくない」
「そんなこと、言われたら、僕だって
……
」
顔をあげて、シルバー先輩の目を見つめたら、お互いどっちからともなく顔を近づけて、キスをした。唇をくっつけて、はむはむと食まれて、相変わらず、先輩のキスは、柔らかくて、あったかくて、甘くて、気持ちいい
……
。ずっと、こうされてたくなる
……
。
ぬる、と熱いものが口の中に入ってきて、僕はそれをそのまま受け入れる。口の中をぜんぶ先輩の好きにされて、まぶたがとろんと落ちる。
……
このまま、食べられてもいい、かもな
……
。
「は
……
デュース」
先輩が、透明な糸を引いた僕の口を親指で拭う。
「は、い」
されるがままになっている僕の耳元に、シルバー先輩はささやいた。
「
……
今夜、俺の部屋に来い」
「
……
はい」
僕が頷いたのを認めると、シルバー先輩は僕をもう一度ぎゅっと強く抱きしめて、ぽんぽんと頭を撫で、それからすぐに立ち去ってしまう。あとに残された僕は、適当なちょうどいい岩の上に置いたヒヨコのぬいぐるみに向けて、な、恰好良いだろと真っ赤になってしゃがみ込むことしかできなかった。
――
それから、夜。シルバー先輩の部屋を訪ねるなり、ベッドに押し倒される。
「昼間、お前は
……
俺と釣り合わないだとか、何を返せているのかだとか、悩んでいると言ったな。その不安も悩みもすべて、今宵、『お前でなければならない』のだと、塗り替えてやろう。
……
覚悟はいいな?」
「は、ひゃ、はい
……
っ」
それから僕は一晩中、いかにシルバー先輩から愛されてるのかをあらゆる方法で叩き込まれる羽目になった。耳や頬、唇にキスを落とされ、ささやかれる。
「ほら、教えた通りに言ってみろ。お前が今、こうしてベッドの上でキスをされているのは、どうしてだ?」
「せ、先輩が、僕のこと、好き、だからです
……
っ」
「どの先輩が、だ? デュース」
「シルバー、せんぱい
……
っ」
「ふっ、そうだ。よくできたな、いい子だ。いい子には
……
褒美が必要だな。さあ、どうしてほしい? デュース。今宵の俺は、お前の望みをすべて叶えよう」
「な、なんで、そんな
……
」
「
……
何故、だと? もう忘れてしまったのか? ほら、言ってみろ。もう一度、教えた通りに」
「せ、先輩が
……
っ」
「シルバー」
「シルバー先輩、が、僕のこと、好きだから、です
……
っ」
「ああ、
……
そうだ。不安になど、なる必要はない。悩みなど、持たなくていい。さあ、もう一度
……
」
「ん
……
っ」
そうして、またキスを落とされる。それが、僕がシルバー先輩から身体中に愛を叩き込まれる、長い長い夜の始まりだった。
*おしまい
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