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ろころころ
2024-09-10 21:02:10
2877文字
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交流短編 うにねうさん宅 ウリエルちゃん、冬宮ちゃん
ウリエルちゃんがいる時だけ今の都も宝箱に思えるキトラスのお話と何故かキキュイさんの言葉がわかっちゃう冬宮ちゃんのお話(こっちはめっちゃ短いです)
彼は星の王子さま 星降る都の王子さま
彼の舞台はこの都 都は彼の宝物
けれども天の神様は 彼の宝を奪い取る
星の都は壊されて 星屑となり空へ舞う
生まれた新都は神の場所
王なる神が鎮座して
星々の章は幕閉じる
「
…
そんなボクのところにある日、小さな流れ星が落ちて来ました。神様のことは信じていないけれど、星のことなら信じられる気がしました。ボクは流れ星に向かってお願いしました。どうか、どうか、ボクの大好きな宝箱を返してください。あそこにはボクの宝物が沢山あったんです、人も文明も、全部全部宝物だったんです。星都は、ボクの宝箱だったんです」
流れ星は遠い山の中に落ちました。夜の山の中は真っ暗だから、流れ星が落ちた場所はすぐにわかりました。なぜなら流れ星は何時だって、キラキラと光っているからです。
流れ星が落ちた場所には、何もありませんでした。その代わり、一人の女の子がいました。
ボクは女の子に”君は星なの?”と尋ねました
女の子は”わからない”と答えました。
けれども女の子は言いました。
「私が星かどうかはわからないけれど、空から見たあの街はまるで夜空に輝く星々みたいに綺麗だったよ」
星の王子さまにはわかりませんでした。なぜなら王子さまの宝物はとっくに失くしてしまっているからです。宝物じゃないただのガラクタが綺麗なはずがありません。
けれども女の子は言いました。
「地上ってとっても綺麗なんだね!空から見た地上は遠くてよく見えなかったから」
女の子は、空から来たのだと言います。ふと王子さまが顔を上げると、女の子の背中には白い翼が見えたような気がしました。
王子さまは、この女の子が神様の使い魔に似ていると思い、急に怖くなりました。
けれども女の子は笑顔を浮かべて空を見ました。
「地上から見る空もこんなに綺麗
…
!地上はどこもかしこもキラキラしてて、すごく素敵。
ねえ、君はもっと綺麗なものを知ってるの?
それなら見せてよ!
私はもっとこの街のことを、
──────君のことを知りたいな!」
「僕はこの街のこと、神様臭がしてそんなに好きじゃないんだけど。でも君が一緒に居る時だけはこの街も宝箱だからね、一段とキラキラして見えるのさ」
「君が喜んでくれてるなら嬉しいけど
…
人前でそれを大きい声で言われるのはちょっと恥ずかしいかなぁ
…
?」
聖都。それは決して、キトラスにとってのかつての大切な都では無い。人々も文明も神に支配され、人々の信仰心は全能神へと向き、あの美しい建築は今ではステンドグラスの輝く神聖な建物へと姿を変えていた。
決してキトラス自身が愛した都では無いけれど。それでも人々がいる限り、キトラスはこの都を捨てることは出来ない。
だから宝箱の中が空っぽになって、終いにガラクタだけが詰められるようになっても。キトラスはそれを守り続けなければならない。何故なら、それが守護精霊の役で、この都が彼の舞台で、都の歴史が彼の演じる脚本であるから。
──────けれども、箱のガラクタの中に一つでも宝物があるのだとしたら?その箱は立派な宝箱だ。
「だって、皆には僕の宝物が何かってことを教えてあげなきゃ」
流れ星の少女は宝箱の中の一つの宝石のようにキラキラと笑う。
「でも、そんなことしたら君の宝物が何かを知った悪い人が奪って行っちゃうかもしれないよ?」
「そっ、それはダメ
…
!」
先程まで優雅にカップを揺らしていたキトラスは、慌ててソーサーにカップを置くと立ち上がった。彼の豹変ぶりが何だか面白くて、天使の少女はクスクスと笑う。
「大丈夫、私は何時だって君の傍にいるよ!」
「
…………
もう、カッコつかないなぁ
…
!」
星の王子さまと流れ星の少女は顔を見合せて笑う。暖かな日差しが差し込む、穏やかな昼下がりのことだった。
星の降る都 Fin.
《おまけ》
『pupui?pipu〜!』
『
………………………
』
人気のない夜の公園。穏やかな風が木々を揺らし、鈴虫の鳴き声が響きぼんやりと光る電灯には数匹の蛾が群がる。そんな中、二匹の猫のようなクリオネのような生命体
…
と称しても良いのかすらわからない生き物が戯れる様子を見守る、二人の人影がゆらりゆらりと地面を闇に染めていた。
「それでね、お客さんのあまりにも不遜な態度に激怒した社長がちゃぶ台返しを繰り広げたんです。そうしたらどうなったと思います?机の上にあったうどんが吹っ飛んでお客さんのハゲ頭に乗ったんですよ!これには社長も流石に固まりまして、私がどうにかしなきゃと思い”お客様、素敵なズラが出来ましたね。白髪ですが”ってフォロー入れたら何故かぶっ飛ばされたんですよ!?酷くないですか!私は
…
」
「悪いねキキュイさん。その子は僕の分身みたいなものだからさ。君みたいに自由にお喋りすることはそんなに無いんだ」
「ちょっと!私の話聞いてますか!?」
銀色の髪を靡かせる、少女か少年かわからぬその人は、透き通る水の精霊のような見た目の方の生き物にそっと話しかける。
『pupi?piupiu?』
「うん?ああ、そうだね。僕の分身だから、君がその子のことを友人だと思ってくれているなら僕も友人かもしれないね。なら、その子の代わりに僕とお話するかい?」
『piu〜!』
その生き物は灰色のパーカーの袖にスリスリと頭を寄せ、羽のような腕から伸びる職種をくるくると巻き付けた。
「いやちょっと待ってくださいよ!なに貴方達、仲良くなっちゃってやがるんですか!?えっとそこの腹立たしい銀髪
…
」
「冬宮紀沙だよ」
「そうですか。ならフユミヤキサさん
………
なんで貴方、キキュイさんと会話出来るんですか!?キキュイさんと限らず、クリスオネは私以外の人間とは会話出来ないはずです。貴方何なんですか?人間に化けた狸ですか!?」
「狸とは失礼な。どういう理屈かは知らないけど、本来の僕は君とは別の世界にいるはずだからね。イレギュラーも有り得るのかもしれない」
絡み付けられている触手をくるくると回して遊んでやる。キキュイと呼ばれるその生き物は嬉しそうに一つ鳴くと、ふわふわと浮かび上がりポニテの前辺りにちょこんと腰をかけた。
「別の次元、ですか。つまりこの辺りの住民では無いと
…………
いやそれ一大事じゃないですか!?小さい子は良い子チャイムまでに帰らないとダメですよ!ほら、お友達連れて早く帰りなさい!」
「いや、僕は子供じゃないし
…
お友達ってことはキキュイさんも連れて帰っていいのかい?」
「ダメに決まってるでしょう馬鹿!キキュイさんは私のですよ!」
深夜の公園で非常識に騒ぎ立てる若者が二人いる、と通報を受けてレオンの同僚が姿を現すまで残り五分。そんな自体も騒がしい主人と友人のことも気にせず、その小さな生き物達は互いに寄り添って呑気に頭の上で寝息を立てていた。
おしまい
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