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三毛田
2024-09-10 20:48:30
1079文字
Public
1000字
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46 06. キスまであと何が足りない?
46日目 足りないものだらけ
「こら」
「わふっ」
キスをしようと顔を近づけたら、両手で阻止された。
「残念」
「残念がるな。突然顔を近づけるな。危ないだろ」
「そう? 丹恒の反射神経なら、大丈夫だろうって思って」
「せめて一言断りを入れろ」
「はーい。キスしてもいい?」
「駄目だ」
「ちぇー」
残念がっても、丹恒の反応は変わらない。
せっかく許可を取りに行ったのに、この塩対応。たまらないね。
「好きだよ、丹恒」
「またそれか」
なんて、呆れた表情。
「お前にはもっとふさわしい相手がいるはずだ」
「それは丹恒が決めることじゃない。俺にふさわしい相手かどうかは、俺が決める」
「っ。すまない」
「ううん。俺もちょっと強く言い過ぎた」
丹恒って、なんでこんなに自己評価が低いのだろうか。それとも、好意を恐れてる?
俺が好きなのは丹恒であって、それ以外は正直
――
列車のみんなを除けば
――
どうでもいい。
ただの隣人よりも深く愛して、ずっと一緒にいたいと思うのは彼だけ。
だけど、それすら伝わらない。伝えても、激しく拒まれる。
これじゃあ、キスなんて夢のまた夢。
「既成事実にするしかないのかなぁ」
「聞こえているぞ」
「聞こえるように言ってます」
「俺のどこがいいんだ」
「細かく指定しないなら、全部。塩対応なところも含めて、好きだよ。触っていい?」
「どこをだ」
「髪」
「それなら、まあ」
まずは指先で、軽く。それから、手のひら全体を使って髪を撫でる。
ふわりと柔らかで、俺の髪とは全く違う手触り。
このまま抱きしめて腕の中に閉じ込めて、匂いを嗅ぎたいがそんなことをしたら嫌われるだろう。
でも、駄目だ。
「丹恒」
「こら、きゅっ」
髪を撫でていた手を離し、肩を抱いて。それから抱きしめる。
「好き」
「だからっ」
「俺は本気。気の迷いでもない」
「ひゃっ」
耳飾りの着いていない部分に歯を立てる。可愛らしい悲鳴。
本人もまさかそんな声が出るとは思っていなかったのか、慌てて口を押さえて。
「少しずつ、俺の愛を分からせていくから、覚悟して」
耳元で囁やけば、ひゅっ。と、喉がか細い悲鳴を上げ。
ああ。今すぐ食べてしまいたい。体を離して舌なめずりすると、顔が青くなって。
「じゃあ、明日から本格的に口説いていくからよろしく」
お尻をぽんと叩いて、資料室を後にする。
『丹恒、おはよう。寝癖がついてる。可愛い』
『丹恒、好きだよ。俺の好きな人は、お前だけ』
とあの手この手。
「わかった。もう、わかったから」
そしたら、早々に白旗が挙がった。
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