2024-09-10 19:31:22
7362文字
Public 小説(pixiv公開済)
 

ハッピー・シャリアピン・ソース

月雲了さん、お誕生日おめでとうございます。
貴方へのプレゼントのお話です。

つきあってる了モモの待ち合わせ、ユキを添えて。……なぜ?
ものすごく嫌々の渋々の不承不承だけれど、おつきあいを認めている千さんの視点です。
千→百、百→千ともに本編同様の巨大感情が有りますが、恋愛対象として意識しているわけではありません。
あくまでも了モモです。が、百はあんまり出てきません。

ムビナナ&8周年特ストより後の時間軸(話には関与しません)を想定して書いています。
2周年特ストでの百の発言を踏まえています。「恋とは」のあれです。

名前表記の片仮名・漢字の使い分けは意図したものです。

シリーズは自分内で了モモを書く時の世界線として切り分けています。
長編や続きものではありません。

 無粋だということは、わかってる。
 馬に蹴られてなんとやら? 知ってる。

 僕だって、モモだって、いい大人だ。それぞれのプライベートは尊重しているし、いつもなら、むやみな横槍を入れたりはしない。
 たとえば仕事帰りの夜。あるいはオフの前日。モモがあいつに会いに行こうとしていることをなんとなく察してしまっても、快く――とは言えないかもしれないが、駄々をこねたりはせず、ちゃんと送り出している。
 けれど今回は、今回だけは。

 ――だって、仕事の日の花火だ。

 ◇     ◇     ◇

 九月に入り、昼日中はまだじっとりと暑くても、夕暮れの風には少しだけ秋の気配が漂い始めていたある日。移動車の中で、ふとしたように、モモが言った。
「今年の夏は、花火を見ないで終わっちゃったね」
「ああ。そういえばそうかも」
 だいたい毎年、花火大会の中継番組のゲストとか、イベントやフェスの演出とか、何かしらで見るものだれど、今年はたまたまそういった仕事が無かった。プライベートで見に行く時間と機会なんて夢のまた夢。
「まあ、まだ機会はあるんじゃない? 秋だって花火の季節だし」
 花火といえば夏の代名詞だけれど、実のところ、歳時記においては秋の季語なんだそうだ。正確には、手持ち花火は夏の季語、打ち上げ花火は秋の季語。もっとも、現代の季節感にはそぐわないので、夏を詠むのに使っても良いらしい。
 ゲスト出演した俳句の番組で得た知識を披露すると、モモはひとしきり感心した後、にこにこ笑って、さすがユキ、博識のイケメン! と言った。

 移動中の他愛もない雑談だった。なのに、なんとなく心に残ったのは、たぶんいつかのモモの言葉を連想したから。
 仕事で行けなかった花火。残念だけれど、綺麗は綺麗だ。そんな言葉を。
 それで、おかりんに協力して貰って、スケジュールの隙間にねじ込める日程の花火大会を探し、見つけた。海辺の街の小さなフェス。ネクリバの収録後に行けるように段取りを立てて、モモに声をかけた。
 きっと喜んで貰えると思って話を切り出したのに、なぜかモモは少し困った顔をして、ためらいがちに言ったのだ。
 その日は先に約束があって、と。

 ◇     ◇     ◇

「それで一緒に来ることにしたって、そんなに花火が見たかったの、千。大嫌いな僕が居ても?」
……別に。花火が見たかったのは僕じゃない」
「なるほどね。それで肝心かなめのモモが仕事で大遅刻をして、オープニングのワイドスターマインに間に合わなそうだなんて、ひどい皮肉もあったものだ。かわいそうなモモ。かわいそうなユキ」
 真新しいエントランスロビーに、ぽつんとふたりきり。光沢を放つタイルの上に所在なく立ち尽くす僕。と、三歩離れた場所で無人のコンシェルジュカウンターにもたれて立つ狐顔の男。――月雲了だ。
 通りかかる者は居ない。どんな手管を使ったか知らないが、竣工したばかりのこのマンションのスカイラウンジに入る許可を取り付けているのだという。まだ入居者も殆ど居ないため、事実上の貸切状態だ。
 スターマインも尺玉連発もナイアガラも、すべてを視界に収められる最上級の観覧席。モモに、花火を見せるために。モモが、花火が見たいと言ったから。
「そして僕もかわいそうだ。みんなかわいそう。あーあ、どうして花火なんか見たがったんだろうね、モモは」
 芝居がかった仕草とふざけた語調に紛れて、わずかながら純粋な疑問が見え隠れしていた。探りを入れられているんだろうな、と気がついたけれど、ここは無言を貫くことにする。
 教えてやる義理はない。仕事の日ではない花火を、モモがこいつと一緒に見たがったことの意味など。

 月雲了との関係について、モモが打ち明けてくれた後も、僕は警戒を解いていない。
 そもそも、あんなことをした人間を二度と再び信用することなど出来ない。が、凛太郎によれば(情報源はたぶんŹOOĻのマネージャーの彼だ)検察という公権力、ツクモプロダクションの監査部、財界の情報網と、彼の動静には幾重にも監視の目が光っているらしい。それで僕も、岡崎事務所も、ぎりぎり妥協しているのが現状だ。
 ――どれだけ気に食わなかろうと、どれだけ忌々しかろうと、モモがこの男に気持ちを寄り添わせていることは動かせない。
 ならば僕は、一番近くで見守る目になろうと決めた。時にはこらえ切れずに刺々しいことを言ってしまい、ケンカになることもあるけれど、モモはちゃんと真っ向から受けて立ち、言い返してくれる。それで僕は、怒ったり嘆いたりしながら、少しだけ安心する。ひとり胸の中に抱え込んで声を詰まらせてしまうより、よっぽどいい。

――実を言うと僕も君に会いたかったんだけどね、千」
 右から左へと聞き流していた長広舌にとつぜん僕の名前が出てきたので、心ならずも顔を向ける。彼は目を眇めて――そうするとますます狐っぽくなる――僕を見ていた。視線だけ動かして、続きを促す。
「ひとつ聞きたいことがあるんだ。モモのことなんだけど」
 それはそうだろう。こいつが僕に持ちかける話、かつ僕が耳を傾ける話。モモのこと以外に何があるっていうんだ。
「なに。前振りはいいから要点だけ言ってくれ」
「うん。モモは、ハンバーグが大好きだろう?」
「え……? そうね」
 出来るだけ平坦な声で会話しようと思っていたのに、向こうの口調は自然体で、しかもかわいい感じの言葉が返って来たので、うっかり普通のトーンで応えてしまった。実際、モモの好物は肉料理を中心にたくさんあるけれど、ハンバーグはその中でも上位に食い込む。
 僕の返事を聞いて、彼はしたり顔で頷き、続けて言った。
「シャリアピンソースのハンバーグが一番好きだと聞いたから、何回か作ったんだけど、あんまり気に入らなかったみたいで」
 ハンバーグ。作った。
 束の間、耳から脳に、言葉が接続しなかった。

 モモのためにハンバーグを作った。こいつが?
 そしてモモに食べさせた?

 鏡を見るまでもなく、自分の表情が険しくなるのがわかった。
 けれど目の前の男は意に介することなく、長い足をクロスさせて、コンシェルジュカウンターに肘をつき、言葉を継ぐ。
「料理はわりと得意なんだ。フョードル・シャリアピンの歯と舌を満足させられるソースだって作れる自信がある。なのにモモは、僕の作ったシャリアピンソースのハンバーグを口に入れると『何か、違う』みたいな顔をする。すぐに取り繕うけれど、一秒の十分の一にも満たない時間だけ、微妙に失望した表情を見せる」
……ふうん。そうなんだ」
 気のない風に答えながら、内心で僕はおおいに溜飲の下がる思いをしていた。
 だって、僕の作ったハンバーグを食べると、モモは『これだ!』って顔をする。顔だけじゃない、口に出しても『これこれ、やっぱりこの味だよ!』って言う。
 ……やっぱりこの味? やっぱりってことは……やっぱりじゃない時は?
 なんだか、あまり深く考えないほうがいいような気がしたので、いったん思考を停止する。モモは僕のハンバーグを喜ぶ。他の誰かさんが作ったハンバーグよりも。それでいい。
 純粋な嬉しさと少しの優越感とで、ぐっと機嫌が上向く。その気分のままに、いくらか愛想良く言った。
「それで、聞きたいことっていうのは?」
「聞きたいこと、というか」
 珍しく歯切れが悪い。そして妙に真面目な、というか殊勝そうな顔をしている。
 いつもの芝居がかった巻き舌とは違う明瞭なカタカナ発音で、シャリアピンソース、と確かめるように言ってから。呆れるほどに図々しい願いを口にした。

「レシピを教えて欲しいんだ。ユキがモモに作るシャリアピンソースの」

 ◇     ◇     ◇

 モモから、ラビチャで連絡が入った。
 押しに押したソロコーナーの撮影が終わり、ようやっとスタジオを出た。到着まであと一時間弱はかかるという。オープニングのスターマインに間に合わないのは確定として、中盤の見せ場である尺玉連発がぎりぎり観覧出来るかどうか、といったところ。
 僕の隣で、月雲もスマートフォンを眺めている。同じラビチャのグループチャットだ。この花火に合わせて、モモが作った。悪趣味な冗談のようだ。僕とモモと月雲のグループチャットだなんて。
 マンションのエントランスを出て、幹線道路の歩道を数十メートルほど歩いてきたところだった。信号待ちにラビチャを受け取って、それぞれにスマートフォンに視線を落とした。僕と月雲が並んで歩きスマホなんて、これまた悪趣味な冗談としか思えない光景だろう。
 信号が青になった。夕暮れの道を無言で歩く。ここ数日でぐっと短くなった陽はすでに沈み、空にはまだ明るさの名残りがあるものの、もうじきに暗くなるだろう。黄昏が僕らを隠す。もつれた感情と、互い違いの羨みをも。


 黙々と歩き、辿り着いたのはスーパーマーケットだ。関東一円に展開するチェーンで、多くの街で人々の生活を支える食料品中心のスーパー。
 頭に乗せていた帽子を深くかぶり直し、眼鏡とマスクを装着してから入店した。半歩遅れて、月雲が後に続く。
「このチェーンならきっと……ああ、やっぱりあった」
 店内入ってすぐ、食品売り場の入り口を指し示す。
 そこには、回転式のカードスタンドが置かれていた。ワイヤーのラックに、カラフルなカードがずらりと敷き詰められるように並んでいる。
 売り場の食材の活用を提案し、調理方法を指南する、無料配布のレシピカードだ。
 少ない材料と簡単な手順で作れるシンプルなレシピが多く、初心者にもわかりやすい。モモとふたりで暮らすようになり、僕が料理を始めた頃、レパートリーを増やすために片っ端から集めて、ずいぶんとお世話になった。
 肉、魚、野菜。色とりどりの料理写真の中から、目当ての一枚を見つけ出して、抜き取る。
 指の間に挟み、ひらひらと振って見せた。胡乱げに目で追った月雲が、眉を動かす。
 表面に印刷された写真の調理見本は、濃い飴色の玉ねぎソース。
 シャリアピンソースのレシピカードだ。

 材料は五種類、手順は三段階。素材も配合もシンプルな、家庭向けのレシピ。
 まだ料理に不慣れだった頃、ひび割れだらけになってしまったハンバーグに、これをかけて出したのが最初だった。決死の覚悟で刻んだみじん切りの玉ねぎは、いい具合に割れ目をカバーしてくれたし、香り立つソースがけのハンバーグを食卓に出したときのモモの嬉しそうな顔は、いまでもはっきりと記憶に残っている。
 たかがスーパーのレシピ。けれど、思い出の、大事なレシピだ。

 ――但し。

 実のところ、月雲がこのレシピのとおりに作っても、きっとモモにはまたしても『何か、違う』顔をされることだろう。
 ちょっとした意趣返しだ。他人からレシピを教わって一足飛びに回答を得ようなんて、認めてやらない。だけどまあ、スタートは同じレシピなのだから、せいぜい作り込んでいけばいい。いつか僕の味に辿り着くこともあるだろう。
 月雲が月雲という人間である限り、望みは果てしなく薄いけれど。

 我ながら底意地が悪い。それとも性格が悪い。どちらだろう、どちらもか。などと思いつつ、レシピカードを閃かせる。
「これが、僕のシャリアピンソースのレシピだ。モモと一緒に住んでいた頃に初めて作って、それからずっと、このレシピをもとに作ってきた。覚え込んだ頃にはシミだらけのぼろぼろになってたから、もう手もとに現物は無いけれどね」
 おざなりに差し出したカードを、月雲は両手で、どこかしら恭しく受け取った。
 掌の中のレシピをじっと眺めてから、丁寧に二つ折りにする。スーツの内ポケットにそっと滑り込ませ、確かめるように布の上から手で押さえた。

 紙切れ一枚、スーパーの店頭で配られる無料のカード。
 それを、変えがたい宝物みたいに、胸に仕舞って。

 何とはなし、黙ったままじっと見ていると、胸に手を当てたまま、床に向かってごく小さい声でなにか呟いた。独り言かと思ったけれど、最後に千、と言っている。
「え、なに?」
 反射的に聞き返すと、ゆっくりと目を上げてこちらを見た。同じ高さの視線が僕を射る。
「モモに、美味しいものを食べさせて、美味しいと言わせたい。綺麗なものを見せて、綺麗だと言わせたい。いまはただ、それだけだ。だから……
 ひとつ深い呼吸をして、吐き出した。
 余程に使い慣れない言葉を言うための準備、だったのだろう。
……ありがとう、千」
 そう言って、心臓の上に手を置いたまま首を僅かに前に傾けた。まるで頭を垂れるように。
 ――狡いだろ、これ。
 あの月雲が、大嫌いな僕に。過去も現在も未来もきっと、百の千、千の百であり続ける僕に。

 モモのことを、考える。
 美味しいものを食べさせたい。美味しいと言わせたい。
 僕の渡したレシピで、月雲はシャリアピンソースのハンバーグを作り、モモに食べさせるのだろう。そしてモモは『何か、違う』と思う。思わせてしまうのか。僕が。
「ああ、もう……!」
 二度と信用なんてしない。そう決めている。
 けれど、モモの美味しいもの、モモの綺麗なもの。ハッピーをかたちづくるほんのひとかけら、食べこぼし程度のもの。それくらいなら認めてやってもいい。
 なによりも、誰よりも、モモのために。
……みりん」
「みりん?」
 ぼそりと単語だけを落とすと、月雲は顔を上げて、怪訝そうに繰り返した。
「さっきのレシピ。材料に赤ワインと書いてあるけれど、僕はみりんを使っている」
「シャリアピンソースに、みりんを?」
「貧乏だったからね。料理のためだけに赤ワインなんて買えなかった。だから、ワインのかわりにみりんを入れたんだ」
 シャリアピンソースの調味といえば、まずは赤ワインだ。そこをみりんに変えることにより、だいぶ和風寄りの味つけとなる。
 最初に作った変則レシピ、みりんベースのシャリアピンソースを、モモが気に入って褒めてくれたため、その後も僕はずっと赤ワインではなくみりんを使い続けていた。
 おそらく、モモにとってのシャリアピンソースは、みりんの風味で刷り込まれてしまっているのだろう。だから『何か、違う』のだ。
「なるほどね。持たざる者の精一杯の智慧というわけだ」
 調子を取り戻したのか、どうにも厭らしい言い方をしてきて、まんまと苛立たされる。やっぱり教えなきゃ良かった。
 とは言うものの、僕が五年かけて磨きあげたモモの好みの味に、一朝一夕で敵うわけがない。レシピを得たって、みりんを入れたって、きっと別の味になるだろう。
 みりんベースを押さえつつ、作りだされる別の味。……ひょっとして、モモはそっちを気に入ったりして。それもそれでむかつくな。

 ――けれど、そうしたら、モモの好きなシャリアピンソースの味がふたつに増える、のかもしれない。
 モモが口に入れて、とろけそうな笑顔になって、美味しい! ちょうハッピーだよ! と叫ぶ味が、ふたつに増えるのかもしれない。

 美味しいものが、綺麗なものが、ハッピーが、二倍に増える。
 そういうことなんだ。

 ◇     ◇     ◇

 幹線道路の走行音に紛れて、幽かに花火の音が聞こえる。打ち上げが始まったらしい。
 花火は、音と光があいまって織りなす芸術だ。花火玉そのものの開花音を楽しむのみならず、音楽と連動した演出も多い。高層のスカイラウンジまで音は届くのだろうか。ラウンジにテラスがあれば、そこで観覧するのが良いかもしれない。そんなことを考えながら歩いて、もうすぐマンションのエントランス前に辿り着くというとき。
 なぜか、なぜだろう。僕と彼は、同時に振り返った。
 薄暗くなった道の先、小さな影が、ぐんぐんと迫って来る。
 モモだった。息せききって駆けてくる。遠くからの花火の音に追い立てられるように、追いかけっこをするように、モモが走って来る。
 ハッピーが駆けてくる。僕のところへ。僕らのところへ。
 と、舗装されたアスファルトのどこか、足が引っかかったのか、つんのめった。バランスが崩れる。
――――モモ!」
 叫ぶ声が重なった。ずっとさきの道で転びかけているモモに伸ばした、伸ばすつもりの手が、泳ぐように虚空を切る。
 僕の隣から、彼は駆けだした。いや、駆けるというほどでもない、早歩きくらいの。然れども、この年齢の大人が街を歩くには早すぎて、やっぱり走っているのに近いくらいの速度で。
 背中を見送って、僕は、走らない。
 経験上、知っている。モモの反射神経と柔軟性なら、あの転び方で怪我はしない。僕が走ったりするほうが、よっぽどモモに心配をかけてしまうだろう。
 月雲は、真っ直ぐに走って行った。
 受け身を取ってころころと転がったモモの傍らに辿り着き、肩を竦めるように息をついて呼吸を整えている。アスファルトに手をついて身を起こしたモモを見下ろして、ひと言ふた言、なにか言った。きっとあの狐のような眼をして、憎まれ口を叩いているのだろう。
 けれど。だらりと垂らした腕の先、握りしめた拳は、幽かに震えていた。
 かつては己の前から消し去ろうとした癖に。
 あるいは――だからこそ、怖いのか。

 僕は、ゆっくりと歩いて行った。
 ようやっと立ち上がったモモが、こちらを見て笑顔で手を振る。てのひらの皮膚が少し赤くなっていた。なにか言った声は、折あしく通った車のエンジンと、遠雷のように響く花火の音にかき消されて、聞こえない。
 横に立つ月雲はそっぽを向いて、夜空を眺めている。
 月にかかった仄かな雲は、花火の煙だろうか。

 シャリアピンソースのレシピは、教えてやった。
 仕事の日の花火の意味は、教えてやらない。
 せいぜい探したらいい。

 掌の中に咲いている、綺麗な花火を。


 〈Fin〉