三毛田
2024-09-09 21:42:48
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45 05. ふたりきりの遊歩道

45日目 穏やかな君と過ごす時間

 街から離れたところにある、歩くためだけに整えられた道。
 聞き込みついでの観光をしていたら、そんなところを教えられ。
 宿に荷物を置き、丹恒と二人で歩く。
「この星は、自然が多いな」
「でも、昔は荒れ果てていたんだって」
「そういう土壌だったのか?」
「戦争だってさ」
……争いは、人も自然も命を奪われる」
「そうだね。巻き込まれたくないし、その引き金にならないようにしたいよ」
「ああ」
「仙舟は、今も真っ只中だっけ」
「豊穣の忌み者との争いは何年、何百年経っても決着がつかないようだからな」
「丹恒は、そこに行かないよね」
 不安になって手を掴むと、彼はふっと笑って。
「俺はもう、仙舟の人間じゃない。列車の一員だ。自分から戦場へ向かうつもりは毛頭ない」
 そんなことを口にしながら、優しく握り返してきて。
「俺も、お前を戦場に行かせない。列車のみんなだって、同じことを思ってる。だから」
 言葉が上手く続けられなくて。鼻の奥が痛い。
「何で泣くんだ」
 呆れたように言って、俺の目元に優しく触れる。
「だって、だってぇ。丹恒が、いなくなるのが嫌なんだもぉん」
「大丈夫だ。不慮の事故でもない限り、俺がお前たちの前から勝手にいなくなることはしない」
「本当?」
「本当だ。折角の男前が台無しだ」
 鼻をすすっても、それより先に鼻水が垂れていく。
 丹恒は、ふっと笑ってティッシュで鼻を拭いてくれる。すぐにこうやって甘やかすんだから、ズルい。
「ほら、ちーん」
「そこまで子供じゃないよぉ」
 とは言うが、甘やかされるのは嫌じゃないのだ。それどころか、もっと丹恒に甘えたいとすら思っている。
「穹」
「ごめん。ほんっとうごめん」
 勢い良く鼻をかみすぎて、丹恒の手を汚してしまった。
 ティッシュで拭ったものの不快なのか、来たばかりの遊歩道を引き返す。
 宿にまで戻って、手を洗った後手に手刀が落ちてくる。
「ごめんなさい」
「甘やかした俺にも非はある。が、あれは駄目だ」
「はい」
 手刀が落ちた所を撫でていると、わしゃわしゃとちょっとだけ乱暴に髪を撫でられて。
 その後額にキスが落ちてくる。
「お前が、俺を戦場に行かせないと言ってくれたのが、すごく嬉しかった」
「うん」
「俺も、お前と同じことを思っている。お前も、三月も、姫子さんも、ヴェルトさんも。誰一人として戦場に向かわせない」
「丹恒がそう思ってくれるのが、すごく嬉しいよ」
「そうか」
 今度は、唇にキス。
「すっごい幸せ」
「俺もだ」
 見つめ合い笑う。