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ダベミ
2024-09-08 23:32:05
3163文字
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チャーハン大捜査線 夢小説
そんなものあるわけないので作りました
三瀬野
中華飯
三瀬野
中華飯
三瀬野
三瀬野
中華飯
三瀬野
私は
三瀬野
。この
中華飯
の店長を務めている。
自分の納得の行くチャーハンを作ることだけに心血を注ぐこと数年、やっと自分の納得がいくチャーハンを作ることができた。
幸いにも街の皆さんには好評で、ローカルな雑誌で紹介いただくくらいにはなってきている。
自分の『美味しい』がみんなの『美味しい』と合致したことが嬉しくて、もっともっと美味しいチャーハンを作りたい、そう強く思っていた。
───あの時までは。
ガララ、と店の戸が横に引かれて誰かが入ってくるのが見えた。
いらっしゃいませ、と言いながら厨房から店内へ、それから入り口を見ると
……
、見たことがない大きな体の男がそこに居た。
緑のコートをはためかせ、瓶底のように太い眼鏡はラードの油で少しだけ汚れている。
一体何事か、と私が声を掛けるより前。
「お前がこの辺りで美味いチャーハンを出しているって言う
三瀬野
だな」
真剣な顔をしたその人が言った。
「は、はい
……
ありがたいことに
……
」
「チャーハン警察だ」
次の句を告ぐよりも早く、男は言った。
チャーハン警察。
チャーハン警察?
「
……
ッ!」
まさか、『アレ』がバレたのか?
いやそんなわけが。
背筋が凍る。一気に血の気がさっと引き、指先が冷たくなっていくのを感じた。
チャーハン警察、と名乗ったその人が、懐から警察手帳を取り出しこちらに提示する。
チャーハン課の関さん、と言うらしい。こんなタイミングなのに脳内は冷静にその名前を追っている。
「なあ店長さん、正直に言ってくれ。ここじゃあ、噂になるようなチャーハンを出してるんだろう?」
「それは
……
」
「ネタは上がってるんですよ」
関さんの後ろから、すらっとした男性がひとり出てきた。彼も警察手帳を手に持っている、山本さんと言うらしい。
「う、うちのチャーハンはちゃんと美味しいものですよ」
反論しようとしたのだが、声が震えてしまった。一体どうして、何も悪いことはしていないはずなのに。
「ああ、わかってるさ」
しかし関さんは実に真面目に答える。
実に鋭い眼光を眼鏡の奥で光らせて、こちらを見ていた。
「隠さなくてもいいんだ。今のうちに正直に言ってくれ、あんたはどんなチャーハンを出してるんだ」
「ふ、ふん!ただチャーハンの秘密を聞きたいだけですか?」
自慢のチャーハンの味は企業秘密みたいなものだ。それをおいそれとチャーハン警察に教えてやる優しさはない。
ぶんぶん、首を振って拒絶する。
「
……
言うわけないじゃないですか!」
強い言葉を使って否定する。
教えてやるわけには行かないのだ。やっとたどり着いた『アレ』のことなんて
……
。
「ところで店長、この店は随分特徴的な臭い
がするんだな」
「ッ!?」
「それにこの手に付くネバつき
……
」
「それはっ」
バレてはいけないのに。
「こんな衛生面に不安の残る店のチャーハンなんて、本当はマズイんじゃないか?」
───さすがにそれは禁句だろう。
「バカなこと言わないでください!うちの納豆チャーハンが美味しくないわけないじゃないですか!」
それを耳にした関さんが、不敵に笑う。隣の山本さんはやれやれ、と言わんばかり、首を振っていた。
……
しまった。
やってしまった、と気づいてももう既に遅かった。
私のチャーハンの『秘密』が
……
!
「
……
よく言ってくれたな、店長」
「刑事、さん
……
」
「なぁ、そのチャーハン、俺達に食わせてくれないか?」
「
……
長いよ!」
山本さんがツッコミを入れる。
ピンと張った弦のような場の緊張感が、一気にほぐれたような気がした。
すまん、と関さんが笑いながら謝る。自分の行いに正当性が認められた瞬間だった。
どうやらチャーハン課の警察は、ちまたに蔓延っている『違法チャーハン』というものを追いかけていて、その最中に
中華飯
の話を聞きつけたため、こちらに立ち寄ったとのことだ。
美味しいチャーハンが大好きな警察。
日本のチャーハンの平和を守ってくれる、素晴らしい組織だ。
頼まれたチャーハンを手慣れた手つきで作っていく。
熱した油に刻んだ小葱、さっと火を通して少し揚がったようになったところに投入するのはたっぷりの卵。
両方とも、近くの農園の方から買い付けている一級品だ。
卵が完全に固まってしまうより早く、少し固めに炊いた米を投入する。こちらも知り合いの米農家と契約をして仕入れているものを、その日に炊いたものを使っている。
おたまで米を崩し、卵と絡め、圧倒的火力でパラパラに仕上げていく。卵をまとった米は油を浴びて黄金に輝くようだ。いつ見ても美しい。
米がある程度パラパラに仕上げたところでようやく主役、納豆を入れる。
火を入れすぎても良くない、しかし火が入らなくても良くない。だから米がある程度仕上がってきたこのタイミングで入れるのだ。
パックのまま、中へとぽい。それをパラパラになった米に更に絡めていく。
納豆はとにかく万能な食材だ。チャーハンとして完成させるための最後の1ピースだと確信している。
味付けにはこだわりの醤油をぱらりと、それから塩と胡椒を目分量。しょっぱくなりすぎないように、味が濃くなりすぎないように。
……
うん、完璧だ。今日のチャーハンも美味しそう。
こだわりのチャーハンを皿に盛り付け、それを2人の前に差し出した。
「なんだこりゃあ
……
」
「具材はシンプルなのに、既に美味しそうに感じる
……
!」
くゆる香りが2人を包んだ。嬉しそうに笑む刑事さん達を見ていると、私も嬉しくなってくる。
「「いただきます」」
盛り付けた逸品を口に運んで、それから噛み締めて、地の底から聞こえるような音で関さんが唸る。
「〜〜〜っ、んんまぁい!」
「
……
! 嬉しいです!」
チャーハンの味は、いつでも、誰に褒められても嬉しいものだ。
「味付けも具材もシンプル、故に米と納豆両方の味が引き出されている。チャーハンって言うもののシンプルさ、そして奥深さを感じさせてくれる、まさに至高の逸品、と言っていいだろう」
できる限りの言葉で褒めてくれている。私にもよくわかった。
嬉しくなって頬が緩む。
「それに、隠し味も効いている」
「
……
え?」
「
三瀬野
さんの笑顔と愛、って隠し味がな」
思わず頬が熱くなってきた。
「なあ、
三瀬野
さん。よかったら俺に
………
」
「何してるんですか関さん!」
言葉が続きかけた関さんを、山本さんが止める。やっとのことやることを思い出したようで、ああそうだ、と胸元からトランシーバーみたいなものを取り出した。
「室井さん、聞こえるか」
「あ、すいません。これ恒例で」
山本さんが私に謝ってくる。なんでも本庁にいる室井さんという人に報告を上げる必要があるらしい。
一瞬だけ言葉に迷ったように目を伏せた関さんは、意を決して息を吸った。
「
……
中華飯
には何もなかった。ここにあるのは、美味いチャーハンだけだ」
「!」
「この調査が終わったらまたこの店に来ることにするぜ」
こちらにウインクをしてくれた。
「
……
三瀬野
さんの笑顔も素敵だしな」
えっ?それって
……
。
「おっと、関係のないことを言っちゃったかな。また報告します」
トランシーバーをしまいながら、関さんは照れたように笑った。それからすっかりすべてキレイに食べ終わったお皿と、ふたり分のチャーハンの代金を私に差し出す。
「美味しかったよ、チャーハン。また来てもいいかな?」
だから私も、笑顔で答えるのだ。
「はい!また是非!」
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