三毛田
2024-09-08 16:52:37
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44 04. 恋のスパイスにヤキモチを一匙

44日目 実はヤキモチ妬いていたらしい

「あれ無口くん?」
「丹恒さん、すごい囲まれてる」
「穹、早くしないと大変なことになるよ?」
 怪異退治隊の面々が口々に言い、俺の背中を押していく。
 丹恒は俺と、彼女たちに気づくとホッとした表情を浮かべて。それから、断りを入れてやって来る。
「助かった。素裳、穹を近くまで連れてきてくれてありがとう」
「ううん。アタシたちもたまたま通りかかっただけだし、穹が困ってるみたいだったから」
「そうか。仕事はいいのか」
「今は休憩中なんです。お茶を買いに来たら、穹さんが困っていたから」
「そうか。よければ奢ろう」
「本当?! 嬉しい!」
「けいちゃん、駄目」
「無口くんの手を取っていいのは、穹だけだよ」
「そうだった」
 桂乃芬が目を輝かせて丹恒の手を取ろうとする前に、フォフォと素裳が両側から止める。
 これじゃあ俺がヤキモチを妬く暇もない。
「ほら、穹!」
「はいはい。丹恒、お前の分は俺が出すから」
「だが」
「彼氏としてのメンツを潰さないでほしいな」
「わかった。俺の分はお前が選べ。こら、抱きつこうとするなっ。尻尾が出るからやめろっ」
「それは駄目だ」
 素直に頼んでくるのが可愛くて抱きつこうとしたが、小声で告げられた言葉に慌てて離れる。
 こんな場所で変身が解けてしまったら、大騒ぎになること間違いなし。耳がとがっているくらいなら、まだ誤魔化せる。でも、それ以外は難しい。
 羅浮以外であれば、いくらでも構わない。だって、彼が龍尊であるなど外の人たちは知らないだろうから。
「不夜候でいい?」
「いいよ!」
 仙人爽快茶を人数分買って、シエン先生の講談を聞きながら飲む。
 俺が一度に払ったので、後で丹恒から信用ポイントが送られてきました。別にいいのに。几帳面だなぁ。
 でも、ちょっとだけ嬉しく奈多のは内緒。
「そろそろ休憩が終わるから、アタシ行くね」
「アタシも。けいちゃんはどうする?」
「金人港に来いって悠ねえに呼び出されたから行かなくちゃ」
「そっか。じゃあ、また」
「じゃあね!」
 と、三人はそれぞれ去っていく。
……
「丹恒?」
「いや。何でもない」
 声をかけるけど、ずずっと仙人爽快茶を啜ってそっぽを向く。
 この反応、もしかしてもしかすると?
「なんだ」
 若干不機嫌そうに、ストローを唇に当てたまま。
「なーんでもなーい! 丹恒が可愛いなって」
「お前はいつもそれだな」
「丹恒が可愛いのは、事実だから」
 頬にキスをしようとして、止められる。
 だってヤキモチ妬いた丹恒は貴重だもんね。