けーだい
2024-09-08 14:37:21
570文字
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矜持

近衛服のがんばり長持ちはこういうことなんじゃないか説
プライドとか憧れとか、決して同情だけではない何かがあったのではないかとか(ろくろ)

紺と赤の制服に身を包み、制帽を被ればいつも以上に背筋が伸びた。部屋の隅に設えた鏡の前に立ち、最後に身だしなみを確認する。鏡の中、白い革のブーツと手袋に爪先まで覆われた自分は、まるで「役割」に全身を締め付けられているようだった。
模範であること。勇者であること。――姫を、お守りすること。自分に求められている役割は確かにどれも重かった。どれだけ果たせているかと自分に問うほど、足りないことばかりで苦しくもなる。しかし自分は、自分の意志でこの服に袖を通したのだ。異論など抱きようもなかった。
けれど、彼女は。
長く重いスカートは走るのには全く向いていないだろう。白いコルセットに締め上げられたウエストや、高い襟に覆われた喉元は息を吐くにも窮屈そうだった。彼女は自分で逃げることも、苦しみを解くこともできない。
それでも、彼女の背はいつも、まっすぐに伸びていた。生まれによって決められた役割を自分自身の意志で背負っていた。どれだけ辛く苦しもうとも、嫌がることも逃げることも無く、ずっと己の使命だけを見つめ続けている。
そんな彼女の後ろに付くのだ。せめて自分も、同じようにありたい。
少し出ていた前髪を一房、帽子にそっと押し込む。そうして完成した鏡の中の自分が、もう一度姿勢を正した。
白み始めた窓を背に扉へと向かう。彼女を迎えに行く為に。