三毛田
2024-09-07 21:53:18
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43 03. 指先に伝わる熱

43日目 その熱がとても心地よい

「寒っ」
「防寒具はどうした」
「忘れました〜」
「取りに戻れ」
「はーい」
 戻ってきた俺に、姫子とヴェルトはどうしたのかと目を丸くしていたが、客室車両へ行きそれからコートを手に戻ってくれば、納得した顔に。
「丹恒に怒られたんだな」
「まあ、俺が悪いから」
「防寒を甘く見てると、痛い目に遭うわよ」
「はーい」
 きちんと着込み、カイロなるものを内ポケットに入れてから列車を後にする。
「お待たせしました」
「これを」
「なあに?」
「手袋とマフラーだ。街に入るまでは、きちんとつけておけ」
「丹恒が巻いて」
 そう言ってマフラーだけ返せば、優しく、でもおしゃれに巻いてくれて。
「三月に教わった」
 丹恒が? と思って見つめるとそんな返事。
「丹恒と巻き方お揃い?」
「そうだ」
「嬉しい」
 手を差し出されたので、急いで手袋をしてからそっと乗せる。
 この星はヤリーロと同じくらい寒く、雪が吹雪ていて。
 いや。下手したらあそこよりも寒い。こういう防寒具がないと、まともに歩けない。
「ふう」
 十数分ほど歩いて、ようやく待ちにたどり着く。
「ベロブルグより寒い」
「そうだな」
 手袋についた雪を払うため、一度外す。
「丹恒、手を貸して」
 同じように雪を払っていた丹恒の手を取って、コートのボタンの間から中に入れる。
「温かいな」
「カイロっていうのを内ポケットにたくさん入れてあるからね」
「俺も入れてくればよかった」
 指先が温まると、そっと抜いて。それから俺の手を握る。
「お前の手を入れるべきだ。冷たいぞ」
 丹恒の手が触れると、熱が伝わってきて。ああ。いつもと違う熱の伝わり方だ。
「好き」
「急にどうした」
「丹恒が好きって」
「そうか。俺も穹が好きだ」
 ふわりと笑う。そういうところが、好きなんだ。
 でも、こうやって笑うことが出来るようになったのは素晴らしいこと。
「じゃあ、温かい物いっぱい買って帰ろうか」
「ああ」
「楽しみだね」
「アーカイブに記録するのが楽しみだ」
 手を繋ぎ、街をぶらぶらする。食べたいものを見繕い、それから集合場所を決めて買いに行く。
「お前はいつも、いっぱい持っているな」
「みんなで食べられるものを選んでるよ」
「わかっている。それは?」
「保温鍋。料理の温かさが、他の容器よりも保たれるんだって」
「なるほど。その構造も気になるな」
「食べ終わったら、好きに解体していいよ」
「いいのか?」
 そんな輝いた瞳を向けられたら嫌とは言えない。
「じゃあ、みんなで試食会だ」
「ああ、楽しみだ」