何やら異様な視線を感じて顔を上げた。視線の先にいるのは中也だ。目が合った途端、誤魔化すように視線を逸らされた。その瞳に宿る熱に気づかないくらい鈍感であればどれだけ良かったか。口元を右手で隠しているが、完全に無駄な足掻きだ。
「なに? そんなにシたかったの?」
「あー、いや、悪い。いやでもシていいならシたい」
「何それ?」
まただ。一緒に暮らすようになって数ヶ月、否が応でも気づいてしまった。中也の前で靴下を脱いでいると、決まって熱に濡れた視線を向けられる。
脱いだまま手に持った靴下を中也の目の前でぷらぷらと振ってみる。しかし中也の意識がそちらに向いている様子はない。靴下に興味があるわけではないらしい。かといって、脱いだ足の方に興味を示しているようにも見えない。
脱ぐ時の体勢や中也との位置関係はその時々によって様々だから、その辺りは無関係と思って良いだろう。そうすると消去法で残るのは。
「靴下脱ぐのの何がいいの?」
「……は?」
「だって、いつもそうやって見てるじゃない」
「いやそんなことは……」
「私がそんなので誤魔化されると思ってるの?」
半目で睨みつけると、観念したようだった。往生際悪くあー、とかえー、などと無意味な音を紡いでいたかと思うと、小さな声で囁いた。
「なんつーか、普段隠れてるとこが露わになるのが、その、唆るっつーか……」
「……君、服脱いでる時はあんまり興味なさそうじゃない?」
「ばっか、手前は服脱いでも包帯あんだろが」
「うん?」
「でも靴下の下は素肌じゃん」
「うん」
「……唆るだろ」
「いや全然わかんないし普通に気持ち悪いんだけど」
靴下を脱ぐことに反応している事実よりも、それを熱心に解説している様子が気持ち悪い。
中也の視線から逃れたくて風呂に逃げることにした。そもそも靴下を脱いでいたのは風呂に入ろうとしていたからだ。
「とりあえずお風呂入ってくるね」
けれど背を向けて歩き出すと、中也はそれを追ってきた。腕を取ろうとするのを振り払うが、なかなか諦めてくれない。
「ここまで煽っといて放置プレイはねぇだろ!?」
「煽ってないしヤらないとは言ってないでしょ!?」
風呂に入る同意を得るために、何故かセックスの前に靴下を履くことを約束させられた。どうせ脱ぐのに。脱ぐところが見たいのだろうが。
ベッドの上で5回も靴下を脱ぐ様を観察されたのは、今までやったどんなプレイよりも羞恥が強かった。
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