三毛田
2024-09-06 21:50:52
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42 02. オレンジとチョコレートのデート

42日目 デートに誘うのには勇気と策略

「オランジェットショコラ?」
「そう! 一口サイズのもあるから食べてみて。チョコがビターのやつが、丹恒の分」
「さすがにこんなに食べないんだが」
「一つだけ食べたら、残りは俺が食べるから」
「それなら」
 促すと、ようやく一つ食べてくれて。
 不味くはなかったようだけど、もういらないのか残り押し付けられる。
「ふっふっふ。食べたな?」
「食べたな」
「デートしよう」
「お前、初めからそれが狙いでっ」
 慌てて口をおさえるが、もう飲み込んでしまったのだから吐き出せないだろう。
 律儀なところが仇になったな、丹恒先生。
「丹恒先生は優しいもんね〜?」
「卑怯だぞ、穹」
「卑怯で結構! 丹恒が毎回つれないのが悪い!」
 そう。常に冷たくあしらわれた結果、策を張り巡らせたのだ。
 もちろん、他のみんなにも手伝ってもらいましたよ。
 恋する青少年を舐めるなよ。俺は、一度獲物を決めたら逃さないんだから。
「はあ。わかった。わかったから、上着を掴むな」
「やった~! 丹恒、大好き!」
「こら、飛びつくな。危ないだろう」
 嬉しくて上着から手を離して飛びつくと、慌てたような声を出して。
 ああ。
 そんな表情も、声も、好きだ。
「時間と場所はお前に任せる」
「任せて!」
 なのと姫子に頭を下げないと。
 服装は、まあ、このままでいいだろう。羅浮以外で、知り合いに会ってもいいところで。
 丹恒も楽しめるところで。
「お前は、まったく」
 呆れた声が聞こえたが、聞こえないふりをした。
「というわけで。明後日がデートです」
 告げると同時に丹恒の唇に、オランジェットを乗せる。小さく唇を開いたので、ちょっとだけ押し込むと噛み千切って。
 一口ずつゆっくりと食べては咀嚼して飲み込み。
 ストレートの紅茶を渡すと、それで喉を潤し口を開けて俺が食べさせるのを待ち。
 ああ。可愛い。可愛すぎて、今すぐキスをしたい。そんな気持ちに襲われて。
「もうないのか」
「気に入った? 食べるなら、まだあるよ」
 差し出すと、ちまちまと食べていって。
「デートの日、覚えてくれた?」
「明後日だろう? もう一つくれ」
「はーい」
 食べさせてあげようと思ったところで、じわじわと悪戯心が。
「穹」
 口に咥えて差し出すと、不満そうに唇を曲げて。
「ごめんって。はい、どうぞ」
 新しいものを袋から出して食べさせてあげると、機嫌は上向きに。
「服装の指定は」
「いつもの服でいいよ。俺もそうだし」
「そうか。それは助かる。あまり服を持っていないからな」
「じゃあ服を買おう」