三毛田
2024-09-04 21:01:36
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40 10. すぐ隣が一番遠い

40日目 意外とそうでもなかったりする時もある

 いつも隣にいるのに、すごく遠く感じる。物理的にではなく、精神的に。
「やっぱり、穹もそう感じるよね?!」
 ボソッと告げたら、なのもそう思っていたらしく、テーブルに手をついて立ち上がる。
「なのか、勢いよく立ち上がるな」
「ありがとう、ヨウおじちゃん」
 勢いよく立ち上がったせいでふらついたなのを、ヴェルトがさっと支える。そして、二人とも静かに着席して。
「誰だって、他人に話せないことの一つや二つはあるわ」
「それじゃあ、姫子も?」
「もちろんよ。私だって、あんたたちに言ってないことはたくさんあるわ」
「それはわかるんだけど、丹恒のはもっとこう……
「壁?」
「そう、壁! 見えない壁があるんだよ。しかも、分厚いのが」
 きっと、列車の全長よりも長くで分厚いの! と、なのは力説する。
 まあ、それは分からなくもない。
 丹恒は、心を許したらそれで終わり。自分が駄目になる。みたいな感じの空気をまとっている。
 この間も、言葉では冷たくあしらっていたけれど、俺が資料室に居座ることを許してくれた。でも、それだけ。会話が弾むとかそういうわけじゃない。
 なんというか
「どうコミュニケーションをとったらいいのか、わかっていない?」
 俺の言葉に、三人は一斉にこちらを向いて。
「そうね。それが近いかもしれないわ」
「確かに言葉は交わすが、最低限だ。必要事項のみ」
「もう少しウチらのこと、信用してくれてもいいと思うんだけどな〜」
「でも、嫌いじゃないだろう?」
「当たり前じゃん! そっけなかったり、時々冷たかったりするけど、頼りになるもん! 仲間だから、もう少しだけ仲良くなりたいって思うのは、駄目なのかな」
「だってさ」
「えっ。えっ?!」
 俺が振り返ると、ほんのり頬を赤く染めた丹恒。なのは驚いたのか、目を丸くして。
「列車のみんなのことは信用しているし、信頼している。だが、自分のことは、語れるほど多くない。だから、その……
「はいはい。俺に隠れないの」
 三人の視線が気になるのか、慌てたように俺の後ろに隠れてしまう。
 少し前に恋人になった途端に、これだ。自分を表に出すのが恥ずかしいと俺に向けて口にしたのを、そのまま伝えればいいだけなのに。
「丹恒」
「わかってはいる。わかってはいるんだが、いざとなると緊張するな」
 はにかむ姿は、俺だけに見せてくれればいいのに。なんて我儘は言わない。
 わざわざ彼らの前で、告げたことに意味があるのだ。
「丹恒そんな顔するんだ」
 と驚いている。