三毛田
2024-09-03 21:37:08
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39 09. 触れるだけの唇

39日目 こっちだって触れたいんだ

……きゅう」
 微かな声で俺を呼んでいる。そして、本当に触れるだけの唇。
 満足そうに離して、隣でしばらくもそもそ動いた後眠りにつく。
 時々こうして丹恒が切なそうに俺を呼びながら、キスをしてくるのを知っている。
 彼は、俺が寝ていると思っているようだが、実はこのタイミングで起きてしまうのだ。
「可愛すぎ……
 情けないのだが、それしか言えない。
 本当は、起きている時にしてもらいたい。でも、丹恒は
『こんなはしたない事、穹が起きている時になんか出来るわけない……
 と言っていたのだ。
 丹恒にとってキスは、はしたない事なのかぁ。
 まあ、破廉恥とかイケナイ事とかそういうニュアンスのことを言われるよりはマシなのかもしれない。
 今度は、丹恒の唇が離れる前に舌を入れたりしてみようかな。
 俺が寝ていると思っているから、びっくりするだろう。
「というか、丹恒って俺のこと好き?」
 そんな前提条件を、今更ながら気づく。
 親愛の証として、列車のみんなと頬にキスするのは時々している。
 最初は拒否していた丹恒も、最近では自分からキスしてくれるようになった。まだまだ緊張してるのか、キスする時に強く目をつぶっている姿はみんなから見ても微笑ましいようで丹恒が資料室に引っ込んだ後、みんなで今日も可愛かったよね〜。と話している。これは内緒。
「ん。きゅ、好きだ……
 今日もまた、丹恒が俺に触れるだけのキスをくれて。
 なんだ。俺のこと好きなんじゃん。
 唇が離れそうになった瞬間、後頭部を掴んで舌で唇を舐める。
「!?」
 まさか俺が起きているとは思っていなかったのか、シャツを掴んで抵抗しようとする。でも、離すわけがない。
 酸素を求めるように薄く開いた瞬間、舌を入れて。逃がさないよう、しっかりと後頭部に回した手に力を籠める。
「きゅ、ぁ……んっ」
 頭をぶつけないように気をつけつつ、場所を反転させて押し倒す。
「俺のこと、好きなんでしょ?」
「なん、で、それをっ」
「さっき自分で言ってたでしょ? だから、黙ってキスしてたの?」
「それ、は……
「俺の気持ち考えたことある?」
「ぇ」
「一緒に寝る度、毎回毎回キスされてさ。きっと好きなんだろうなとは思ってた。でも、今日改めて好きだって言われたらさ。我慢できるわけないじゃん」
 顔が熱い。きっと真っ赤だ。
 丹恒の顔も、じわじわと赤く染まっていって。
「好きだよ、丹恒。キス以上のことも、したいくらい好き」
「そう、なのか」
「そうだよ。ずっとそう」