hacosf6
2024-09-03 20:24:32
5717文字
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「正夢」あとがき

2024/08発行「正夢」あとがき

2024年8月25日発行 「正夢」あとがき
※あとがきという性質上、多分にネタバレを含みます

はじめに
・今回発行の「正夢」発行に至るまでの裏話や、本編中に書ききれなかった設定を覚えているうちにまとめました。
・いただいた感想のお返事も兼ねて書いています。感想を送ってくださった皆さま、本当にありがとうございます。

「正夢」発行の経緯
・本文のあとがきにも書きましたが、ずっとまめダイルさん(@crocodile_2023)のイラストを元に小説を書いてみたいという憧れがありました。
・とは言え自分はR18文字書きなので、普段CP要素のない作品を描かれるまめダイルさんにお声かけするのも忍びないな、と長らく二の足を踏んでいました。そして元より、当時は交流もなかったので、一方的な憧れで終わるはずでした。
・ですが、好きな作家に好きと言わずどうするんじゃい!の精神がムクムクと大きくなり、勇気を振り絞ってまめダイルさんにリプを送るようになりました。そこから私の文章を読んでくださっていることを知り、喜び舞い上がった勢いで、新刊の表紙ならびに挿絵の依頼をさせていただきました。2023年の12月の頃でした。図々しさこの上ない話でしたが、快く引き受けてくださって、本当に嬉しかったです。
・元々はまめダイルさんのイラストを元に文章を書かせていただくつもりだったのですが、結果的に私の文章をイラストにしていただく形に落ち着きました。そこで、まめダイルさんの作品を改めて拝見し、まめダイルさんの絵柄を文章のトーンに反映させようと考えました。しっとりと大人な雰囲気があってオシャレでカッコいい、そんなまめダイルさんの描くルークとジェイミーを少しでも文字で表現したい。そんな目標を達成するために、今作は当社比でエロを控えめに仕上げています。
・こうやって書き上げた文章の第一稿をまめダイルさんにお送りし、挿絵を描いていただいている間に第二稿、第三稿と校正を重ねていきました。挿絵のシーンに関しては、完全にまめダイルさんにお任せしています。前回のインテもあり、執筆に着手できたのが5月半ば。そこから第一稿を書き上げお渡しできたのがいつだったか。相当タイトなスケジュールのもと、まめダイルさんはフルカラーの表紙絵と挿絵を5枚も描き上げてくださり、他にもポストカードのイラストまで仕上げてくださいました。お忙しいなか、かなり無理を言ってしまったと思います。感謝してもしきれないです

チャプター1について
・公式を見ていると、ジェイミーがルークをじっと見つめている構図が多いと感じます。元より受けが攻めにガッツリと惚れていて、それをうまく表現できない、という状態を書くのが大好きで、今回はそんなお話が書けたらなと思っていました。そこで思いついたのが、「ルークと肩をぶつけるより前から、ルークの闘う姿に惚れていたジェイミー」という設定でした。
・ルークとジェイミーの恋のはじまりは大きな違いがあるような気がします。特に、おばあや大哥たちの関係を大切にしているジェイミーは、尊敬や憧れなどの感情が恋心の主軸にくるのではないかなと思っています。そのため、今作ではルークのファイト姿を見、文字通りその強さに惚れこんだことから始まっています。
・今まで書いてきた作品はどれもルークとジェイミーふたりきりの世界でしたが、今回は絶対に良い友達ポジションのラシードを出したい!と思い、口調やふるまいについて、結構みっちりと研究しました。ラシードはルクジェミにおいて素晴らしい観測者でいてくれるので、今後も書いていきたいなと思います。
・ゲーム配信のシーンは完全に2bro.のホラー配信をイメージしています。ルークとジェイミーがはじめにプレイしていたフリーゲームが8番出口ライクのもの、次の作品がウツロマユをイメージしています。
・挿絵については本文のあとがきにもありますが、再度書きます。1枚目の挿絵はなんとリテイクのものです。はじめ描いてくださったイラストは本文のオマケ部分に掲載しています。まめダイルさんは試しに描いてみたものなので、と仰っていましたが、この仕上がりで、試し試しで?とポカンとしています。2枚目の挿絵は、いまだに直視できません。あまりに格好良すぎる。表紙もそうなのですが、雨に濡れた表現が美しすぎますし、ルークのヘテロクロミア(虹彩異色症)の瞳が本当に本当に綺麗です。挿絵をパソコンやスマホでご覧になりたい方は、ぜひ巻頭にあるQRコードとパスワードを使ってネットでご覧ください。印刷よりも鮮やかに瞳の色やその他を見ることができます。

チャプター2について
・今作のジェイミーは、男女関係なく付き合ってきたものの、本気の恋をしたことのない人物として書いています。対してルークは、女性のみと付き合ってきた過去があり、ここ数年恋人はいない状態として書いています。そんな中でジェイミーへの思いを自覚し、何度か自分の気持ちを否定はしたものの諦めきれず、開き直って猛アピールをした結果お付き合いすることになった、という経緯です。今まで女性との経験しかないので、今の世の中男だ女だ関係ねえ!の気持ちと、そうは言っても上手くいくのか?きちんとジェイミーを愛することができるのか?と不安もあり、気持ちの上下がやや激しい状態です。
・ルークはファイトや趣味など大切なものが多くあるので、過去の恋人にはそこまで執着してきませんでした。そのため、苛烈な恋を求める女の子たちに物足りないと振られるばかりの人生でしたが、ジェイミーに対しては、生涯感じたことのない執着を覚えています。これはジェイミーが自分の人生であるファイトの相手であることが大きく、また共に過ごす中で彼の内面に深く惚れこみ、この男を俺の手で守りたい、と思ったためです。
・ルークの守る、という行動にはふたつに分かれていて、そのひとつが「ビジネス」としての守りです。そしてもうひとつが、ジェイミーにだけ向ける「彼の邪魔はできるだけしたくないが、コイツの生み出す隙は俺がひとりで守ってやりたい」という手足をジタバタさせるような名状しがたい焦りです。
・WTを見るに、一見熱い男のように見えるルークですが、その実かなりドライだな、透明な壁を築いてオンオフをきっちりと分けているんだな、という印象を抱いています。対してジェイミーは自らの手が届くすべてを自分の手で守りたい、という博愛に近い感情で動いているのかなと思っています。その守りたい、という範囲の中に、ルークの存在も入っている。お互いに守りたいと思い合っているからこそ食い違うこともあるけれど、ジェイミーは今までの恋人に向けてきた感情と比べ物にならない重くどっしりとした、人生をかけた愛情を、ルークひとりに向けています。
・さらわれかけている女の子をジェイミーが助けるシーンは、ずっと書きたいと思っていたものです。書けてよかったです。「爸爸」という呼びかけは、お父さんを意味します。女の子の名前は「若兮」と書きます。
・お風呂のシーンでは、エッチなことよりもキスを求めるジェイミーを書きました。ジェイミーは今まで過去の恋人とそういう触れ合いをしても、本気で好きではなかったため、満足をしたことがありません。ですがルークに対してははじめて本気の恋をしていて、だからこそ深く繋がれるキスが心地よく、何度も求めてしまっています。
・ジェイミーにとっては、ルークがはじめての恋。ルークにとって、ジェイミーは最後の恋。それが今作で描きたかったテーマのひとつです。

チャプター3について
・この章の冒頭では、はじめての恋に翻弄されるジェイミーを書いています。ルークのことが好きすぎるがゆえに、「皆を守るビッとしたトラブルバスター」という理想像から外れていく自分が怖いのです。落ち込んだり不安になったり、自信をなくしそうになる。それでもルークと一緒にいると、ムラムラする。はじめての恋だからこそ、コントロールできない感情に振り回されるジェイミーです。
・喧嘩別れをし、エレベーターのボタンを叩いて下に行くと見せかけ屋上へと逃げる、という騙しは、すばしっこいジェイミーならやりそうだなと思って書きました。また、悲嘆に暮れるジェイミーのもとにラシードがやってきて、しばらくオレのところにいなよ、と誘うシーンも必ず入れたいものでした。ラシードならば深入りしすぎず、しかし良き距離感でジェイミーの気持ちを慮ってくれると思いました。そして、この後しっかりとルークに連絡も取っています。聡い男なので。
・阿鬼との対峙シーンを書くにあたり、ラシード以上に時間をかけて、阿鬼の口調や動き、考え方について研究しました。
・今作の阿鬼について褒めていただけて嬉しかったので、本編にない設定を紹介します。今回阿鬼がアメリカ中の中華街から子どもたちを集めたのは、ファンの指示があったためです。シャドルーの立て直しに向けなにかと物入りのため、毒を用いて洗脳状態にした子どもたちを使い、なにやら悪だくみをしていたようです。阿鬼は自身の過去と子どもたちを重ねることも同情することもなく、ファンの指示通り子どもたちを道具として使っています。この時子どもたちが口を開けて呼吸をしているのは、毒に侵されている状態だからです。年端もいかない子どもに対してもとことん冷徹な阿鬼ですが、子どもたちを引き連れて歩くことを意外にも楽しんでいます。それは、ファンと共に子どもたちを連れて歩いていると、ファンと阿鬼が夫婦だと間違われ、子沢山一家として扱われるためです。家族として行動する方が悪目立ちしないので、ファンもそのことを否定するワケにいかず、ファンの配偶者として扱われる阿鬼は大喜びだったようです。
・ラシードが阿鬼の猛攻に押されてしまっているのは、今回の仕事を邪魔する人間は誰であっても殺していいとファンから指示を受けているためです。ラシードは阿鬼を殺すことなど全く考えていないので、全力で息の根を止めにかかる阿鬼に負けつつありました。しかし助けにきたルークは、誰よりも大切なジェイミーを傷つけ廃人にしかけた阿鬼に対し、容赦はしません。ルークの攻撃に怯んだ阿鬼は、にょろりと姿をくらましました。
・雷神が蛇を噛む、のところが分かりづらいと思うのですが、中国の雷神(雷公)について調べていると、地上に降り立った雷公はその口に蛇を咥えていた、という言い伝えが見つかりました。そちらをチラリと入れ込んでいます。
・今作でルークを雷として表現したのは、超人的な強さはもとより、恋を知らないジェイミーの胸を激しく打ち、体の芯から痺れさせた唯一の人物として描きたかったためです。

チャプター4について
・自白剤はもう、ね。阿鬼を出すならマストだなと思って書きました。これを書くために、ジェイミーは殺してはいけない、操り人形として働いてもらう、とファンより阿鬼が指示を受けたという設定にしました。
・私はスケベを書くのが大好きで、喧嘩や戦闘シーンを書くのが大の苦手です。なのでチャプター4に入ってから筆が抜群に進みました。
・今作のもうひとつのテーマに、恋愛進度が噛み合わないせいでなかなか本番にたどり着けず、更には喧嘩やゴタゴタが起こることで自然とポリネシアンセックスになってしまう、というものでした。厳密にいえばポリネシアンセックスではないのですが、お互いに交わりたくて仕方がない状態で、ようやくセックスができた、という風に書くことができました。
・一人称で小説を書く面白さは、一人称視点の感情の動きを細かく書くことができる代わりに、周囲の人間が何を考えているのか謎である、というところです。チャプター4になってようやく、ジェイミーは自分と離れ離れになることを恐れている、とルークが気付くことになります。そんな不安があるのならば早く言ってくれればいいのに、とルークは思うでしょうが、その気持ちに気付き掬い上げていくことこそ、不器用な恋人に対するルークの最大の役割なんだと思います。そんな役割を、無意識のうちに、素直な気持ちのままやり遂げてしまう、そんなカッコいい恋人で居続けてもらいたいです。
・「正夢」というタイトルは、スピッツの同名曲から取りました。大昔からこの曲をテーマにした本を作ってみたいと思っていたので、今回形にすることができ、感無量です。

追加の章について
・元々無配にする予定でしたが、次回作に繋がる内容なので本に追加することにしました。最初の一文は、スピッツの「大宮サンセット」をイメージしています。
・本編からしばらく時間が経ち、お互いの気持ちをしっかりと確認できたことで、ジェイミーの精神は落ち着き、代わりにルークがジェイミーにのめり込み執着心を隠さなくなっています。そんなルークを可愛いと思っているジェイミーも、相当恋人にのめり込んでいると言えます。
・ユンとヤンに対する敬愛や憧れと似たものを、ジェイミーはルークに対して一部抱いています。その感情を注がれるのは大層気持ちがいいことですし、恋人としてもジェイミーはルークのすべてを受け止めてくれます。だからこそ、ユンとヤンがジェイミーの愛情を独占してしまうのではないかと、まだ見ぬ義兄(のような存在)にピリピリしています。
・しかしルークの愛情を真っすぐと受け止められるようになり自信をつけたジェイミーは、嫉妬まみれのルークを手のひらの上でコロコロと転がしてたっぷりと甘やかします。甘える・甘やかすをうまく切り替えながらジャレ続けられるルークとジェイミーは、今後も仲良く暮らしていくはずです。
・追加の章から続くお話として、ユンとヤンがルークとジェイミーのもとを訪れる話、そしてルークとジェイミーが旅行に行く話を次回の新刊として書き上げたいと思っています。次回も、またまめダイルさんに表紙や挿絵を依頼しています。お楽しみに!