haru_haru0704
2024-09-03 17:56:49
1172文字
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カカロの初恋

カカロ×忌炎 全年齢

今までまともに恋をしてこなかった団長の話です
この2人は、まだ出会ってから半年経ってないくらいかな

カカロは最近、妙な出来事に悩まされている。
例えばそれは、任務で石崩れの高地を通りがかった時。
ふと、忌炎の顔が頭に浮かんだのだ。そして、無性に彼に会いたくなった。
この時のカカロの任務内容は、夜帰軍に関わるものではなかった。近々、夜帰の依頼を受けるという予定もなかった。
夜帰は確かに幽霊猟犬の上得意ではあるが、媚びを売る必要のある客ではない。
彼らは、必要な時に必要な分だけの援助を求める。つまり、媚びを売ったところで追加任務が貰えるような相手ではないということだ。
だから、忌炎に会いに行く必要など微塵もないのだ。・・・ない、はずだ。

その『妙な出来事』が一度きりであれば、カカロはさして気にも留めなかっただろう。しかし、それは連続して起こった。
例えばそれは、寝床に横になって目を閉じた時。
明日の任務の予定を軽く頭の中で反芻した後、空白になった脳内に、するりと。忌炎の顔が思い浮かんだ。
「・・・・・・」
カカロは寝返りを打った。
明日の任務も、夜帰軍とは何の関係もないものだ。
夜帰の基地付近を通るわけでもない。
それまでに考えていたことと、忌炎とは、まったく脈絡がなかった。
なぜ、と彼は沈思黙考する。
なぜだ。今、忌炎のことを考える必要性はない。
明らかに不自然な思考の流れだ。不可解、という言葉に尽きる。
もしや、自分は高度な人心掌握術に嵌っているのではないだろうか?
そうであるならば、忌炎という男に対する警戒度を上げる必要がある。
ひとまず彼はそう結論づけ、眠ることに専念した。

そうした『妙な出来事』が起こる頻度は、次第に高まっていった。
数日間の休日を確保した時。
任務先で変わった品物を見つけた時。
果ては、夢の中でも。
ふとした折に忌炎の顔が脳裏にちらつき、会いたいという欲求が生まれるのだ。
ここまでくると、カカロの中の疑念はもはや確信に変わっていた。
自分は、忌炎が仕掛けた罠に嵌ってしまったのだ。
これは由々しき事態である。
忌炎が悪しき企みをする人間とは思えないが・・・いや、まずこの思考そのものが何らかの心理操作の結果なのかもしれない。
何にせよ、忌炎を直接問いただすしかあるまい。

後日、カカロは夜帰軍の基地を訪れた。
忌炎の執務室の前に立ち、扉をノックする。
室内から「入ってくれ」と返事があり、彼は扉を開けた。
「ああ、カカロ。久しぶりだな」
「早速だが、お前に聞きたいことがある」
彼は率直に切り出した。

カカロが一連の『妙な出来事』を洗いざらい話し終わるまで、あと180秒。
それを聞いた忌炎が、きょとんとした顔で「それはつまり、俺のことが好きだということだろうか」と尋ねるまで、あと190秒。
カカロが恋心を自覚するまで、あと250秒。
カカロと忌炎が恋人になるまで、あと──。