三毛田
2024-09-02 22:15:56
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38 08. 優しくなんてできない

38日目 君が好きすぎるから

 こうしなくてはいけない。ああしなくてはいけない。
 頭ではわかっているけれど、体は思うように動かず。
「丹恒……
「ん……きゅ、ぅ?」
 目尻に涙を浮かべ、荒い呼吸を繰り返しつつ俺を呼ぶ。
 俺にも彼にも負担がかかるから、優しくしないといけないとわかっているのに。本能が、それを邪魔する。
「丹恒、ごめん。なるべく痛くならないようにはしてるんだけど」
「俺な、ら……んっ。大丈夫……だ。好きに、しろ」
 痛みに鈍感というよりは、痛みは己が受けて当たり前。そんな思考を変えたくて仕方ないのに、あっさり受け入れてしまうこの人が。
 俺はたまらなく愛しい。
「丹恒。丹恒のこと、たくさん愛して、嫌なことは全部忘れられるようにしてあげるから」
「穹? どうし……
 次の言葉は、唇の中に消える。俺が消した。
「好きだよ」
 その言葉を向けると、最近になってようやく嬉しそうに笑うようになって。
 手を繋いで、心も体も重ね合わせて。それでも、彼と一つになれない。そんな気がする。
「俺も、ん……穹が、好き……っはぁ……
 上気した頬。体温が上昇し、血色がよくなった唇。
 全てがすべて、愛しい。
 そんな表情を見てしまったら、ますます優しくなんかできなくて。
「穹」
「ごめんなさい」
 布団の中から、恨みがましい声。
「ほ、ほら。冷たいエナジードリンク持ってきたから」
「それで俺の機嫌が取れるとでも?」
「思ってません。ただ、終わった後のいつもの労わりタイムです」
「労わってくれなかったら。俺は恨んでいた」
「俺がそんな冷たいことするわけないじゃん。だって、丹恒が大好きなんだよ?」
 エナジードリンクを頬に当てると、気持ちよさそうに目細めて。
 こういうところは猫みたいだけど、中身は犬にも近いんだよなぁ。
「丹恒、可愛い」
 ちゅっちゅと頬にキスをする。
 好きだから、好きすぎるから、体を重ね合わせる時に優しくしたくても出来なくて。
 なんてくだらない矛盾。
「俺を可愛いというのは、お前くらいだ」
「嬉しくない?」
……嬉しくないとは、言ってない」
 今度は、若干素直に。嬉しいと思ってもらえているなら、俺もこうして何度も伝えているかいがある。
「そこは素直に嬉しいって言わないと。ね?」
「そうしたところで、俺に何のメリットが」
「俺がいっぱい、丹恒に好きって伝えるし、可愛いとも伝えるよ」
 頬にキスをする。嬉しそうに目を細めて。ちょっと躊躇いがちに、俺の頬にキスを返してくれて。
 可愛すぎるでしょ、この人。