バラ肉
2024-08-31 20:06:43
2018文字
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泥濘に埋めて【テリスグ】

【ワードパレット】から
TOMAさんよりリク
【泥濘に埋めて】粘膜、征服欲、受け止めて
で、テリスグです。

薄暗い片想い悲恋話です。
イメージと違ってたらスミマセン💦

テリスグは中々明るい話にならなくて…





泥濘に埋めて



相手のマスク越しに唇を押し当てれば、その柔い感触に眩暈がしそうだった。

これがもし、何も挟まないで触れていたら……
あり得ないと思いつつも、想像せずにはいられない。己のそんな欲深さに、テリーは心の中で小さく笑った。

「ンッ……、チュッ。はっ、ぁ……テリぃ……

熱の籠った声と共におずおずと開いた口に、後頭部に添えていた手をグッと引き寄せる。そして自分も大きく口を開き、その熱い口内に舌を差し込んでやった。
柔い粘膜を好き勝手に探っていると、奥に引っ込んでいた相手の舌へ舌先がぶつかった。本人同様に臆病なそれに、テリーは「やれやれ」と肩をすくめる代わりに、その肉厚な舌を引き摺り出すように絡めていく。
「ぁむっ……んぅッ、ふぁ、んんッ……
そんな巧みな動きに誘われたのか、相手の鼻から漏れる吐息はひどく甘かった。ギュッとシャツの胸元を握る手は、きっとそうでもしないと今すぐにでもへたり込んでしまいそうだからだろう。実際、ガクガクと震える膝は余りにも頼りない。

……しょうのないやつだ)

キス如きで腰砕けになっては堪らない。テリーは無意識に腰に回していた腕に力を込めた。

「ん、んぅッ。ぁ、ぅんんッ」

粘膜同士の擦れる、柔く、暖かな感触は心地よく、ついつい体が前のめりになってしまう。甘いと錯覚した唾液を啜れば、信じられないと震える体が愛らしくて、知らずの内に口の端が上がる。
うっすら目を開けると、瞑った瞼と寄った眉間がすぐそばに見えた。意外に長い睫毛と、そこに引っかかる涙の煌めきにドクッと胸が高鳴る。痛いほど脈打つ鼓動は、きっとこの男以外にはここまではならないだろう。
(これじゃあまるで、タチの悪いジャンキーだ……

「ンッ……ふ、んんッ、ぁッ、んんッ」
相手から漏れる、苦しそうな、しかしショコラのように蕩ける声に、テリーはうっとりと目を細めた。
そして最高の甘露を最後の一滴まで味わうように、彼の生暖かい舌をチュゥゥッと強めに吸う。

「んぐぅっ!」

途端、ドンッと胸を叩かれた。

やめてくれ。

咄嗟に視線を向ければ、涙で濡れた目が非難するようにこちらを見ていた。
以前、『舌を引っこ抜かれたら死んでしまうらしいな?』と話した事を思い出したのだろうか。ゆるゆると頭を振って距離を置こうとする態度に、テリーは苦笑を禁じ得なかった。
彼自身、目の前の男がその際に『ひええ』と盛大に怯えていたことはよく覚えている。
相変わらず気が弱く、何より本当に【死】を怖がる男だ、としみじみ感じたモノだ。

だから、テリーは自分の胸を押しのけようとする手を掴んで、更に彼の舌を吸った。

「ッ! んっ! ん〜〜〜ッ!?」
悲鳴に似た呻き声など気にもせず。
さも、この偉大なる命を握っているような錯覚に、征服欲が疼く。

(こんな浅ましいオレでも、お前は受けとめてくれるか?)

「ッ、ハハッ」

人からは清廉潔白と言われる自分の、決して表に出せないエゴにテリーは思わず唇を離し、今度こそ声を出して笑った。

「ぷはっ! ……もう、なんなんじゃ? お前は……

対して、恨みがましそうに濡れた唇を拭う相手は、きっと先程急に強く吸われたことを根に持ったのだろう。唇をツンと突き出して不機嫌を表す幼い仕草に、テリーの腹の中に住む暴れ馬が荒れ狂いそうになる。

その身を掻き抱き、いっそ二人だけの世界に走り出してしまいたいと。
決して叶わないと知りながら、叫びを上げる。
だからか、彼はギュッと唇を噛んだ。そしてゼイゼイと息を整える相手を改めて見下ろし、目を細める。

「なあ、キン肉マン」

スリっと柔らかな頬に掌を添えた表情は、どこか泣きそうで。

「このまま、時が止まればいいのにな」

冗談めかして片眉を上げれば、キョトンと目を丸くされて、益々苦笑が深くなる。
……さぞや情けない顔をしている事だろう)
分かっていながら、取り繕うことは出来なかった。
どうせ、この男に真意は伝わりはしない。
自分へ向けられる感情を、【友情】というフィルターにかけてでしか見れない男に。
そうしないと怯えて震えてしまう男に、本音を晒す真似はしたくなかった。

(そうだ、お前は何も知らなくて良い。だってこれは、絶対に伝えてはならぬ想いなんだから)

アメリカ式の挨拶だとキスを交わし、粘膜を重ね合わすようになっても、それは変わらない。
変えられない。

「すまん、戯言だ……

そう謝って、テリーは再度スグルの体に両腕を絡め、抱きしめる。
できることは限られているのだ。ならば、可能な範囲で求めるのくらい大目に見てくれ。

「キン肉マン。もう少しだけ……お前のそばに、居させてくれ」

相手の肩口で顔を隠しながら、テリーは願う。



この愛を、心の奥深くの泥濘に埋めるまで
どうか、どうか。