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kaede
2024-08-31 12:23:24
6209文字
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一彩くんに甘えられて燐音くんの燐音くんが雄々しくなってしまったはなし
燐一
⚠️品がないです
⚠️アレの名称を全然伏せてないので抵抗ある方は回れ右してください
これからはもっと甘えてくれよ。
生まれてからずっと大切に、慎重に手入れしてきた
……
つまり放っておいたら確実に将来ぶち壊す自信があった一彩との兄弟の垣根を、双方合意の上、壊さなくても簡単に跨げるくらいにちょいと剪定した日、そう言った。
甘える、という言葉の本質的なところを今ひとつ理解できずに育ってしまった一彩は当然、俺の本意なんて理解できていなかったのだろう。それでも、ウム、と頷いて笑ってくれたから、俺としてはそれだけでもう半分くらいは満足だった。少なくとも否定はされなかったのだから。
一彩は、俺に甘えることは依存であり恥ずべきことだ、と考えているのだろう。昔から、俺に甘えることはほとんどなかった。俺がどれだけ、弟に甘えられたいと願っているのかも知らずに。
俺からすれば、一彩に甘えられることはすなわち、許容だ。自分を他人に預け、委ねる、それを許す、ということだ。俺は一彩にとって、そういう対象の人間になりたかった。俺を見てほしかった。お前が頑なに守り続けている壁を、俺の前でだけは取り払ってほしかった。俺に許しを与えてほしかった。
とまあ、たいそうな理屈をこねればそういうことになるんだが、別にそこまで深刻に具体的に考えていたわけなんて当然なくて。今までは抵抗があったとしても、関係が変わったこれからなら気軽に甘えられるんじゃないか、なんて軽い気持ち(十年以上寝かせてきたという意味ではまあまあ重いが)で、そんなことを言った。だってよ、せっかく思いが通じ合ったんだ、イチャイチャしてェだろ。
それでもやっぱり最初は、とっかかりがないっつうか、甘え方がわからなかったんだろう。俺の隣に寄り添ってもそれだけで、それ以上は何もなかったから、俺の方から抱き寄せたり頬にキスしたりして、甘えるってのはこうするんだ、ってのを教えた。甘えるための下地をコツコツ積み上げていって、甘えるハードルを少しずつ下げていった。人の意識を変える手段として、慣れ、はかなり有効だ。それを利用した。
……
まァ、それだけでもなかったが。俺だってイチャイチャしたかったンだよ。そこはアレだ、一石二鳥ってやつだ。そうやって、俺とイチャつくことにとにかく、慣れさせた。
そうしてしばらくすると俺の想定通り、一彩は自分から俺に抱きついたり、撫でてほしがる素振りを見せたりと、明確に甘えた仕草を見せるようになった。大成功だ。我ながら俺っち天才だよな。
天才なんだけどよ。
天才にだって想定外の事態は起きるもんだ。
非常事態だ。
今まさに。
ってのに。
「この間、ひなたくんが駄菓子屋というところに連れていってくれたんだけど、見たことのないお菓子がたくさんあって、しかもとても安価なんだ。驚いたよ」
兄のピンチにはまるで気づきもしない一彩は、ソファに座る俺の膝に座ってふわふわ笑う。呑気なもんだ。かわいい。
同室の二人がタイミングよく部屋を空けていたから、少しでも一緒にいられたら、なんて健気なことを考えた俺が連絡を入れたら、一彩はすぐに来てくれた。ちょうどスケジュールが空いていたらしい。俺っちツイてるな。
まァ、俺のツキもそこまでだったが。
「それでね、くじ付きのガムを買ったら当たりだったんだ!」
「へェ、ツイてンじゃねェか」
「ウム! だから記念に取っておくことにしたよ」
「はは。おめェらしいなァ」
使わなきゃ意味のない紙だろ。とは思いつつも、そういう小さな幸運を大事にできるのが、俺の弟の美点だ。かわいい。
とか和んでる場合じゃなくてだな。
お兄ちゃんピンチなんだよ。
いや、気づかれて指摘されでもしたらその方がピンチだから別にいいんだけどよ。けどせめて、察してほしい。あんま近づくな。
なんて言えるわけねェのがつらいところだ。せっかく一彩が自分からイチャイチャしてくれてるのに、それを拒むような真似、できるわけねェだろ。せっかくここまで調教
……
手懐ける
……
慣れされたってのに、下手したら今までの苦労が全部水の泡だ。いや、話せばわかってくれるだろうけどよ。それでもたとえ一瞬のことだったとしても、ごめんね、と一彩が詫びるところなんて見たくない。こんなの俺が一方的に悪いだけなんだからよ。
俺をこんなにしちまうなんて、一彩、おめェは罪な弟だぜ。
じっと一彩を見つめると、一彩は幸せそうに微笑んで、俺にぎゅうと抱きつく。
「うッ!」
「どうかした? 兄さん」
「い、いや、何でもねェよ」
何でもあるんだがよ。
あんま密着するとだな、その、アレがだな。
さりげなく身体をずらそうとしたものの、上に乗っている一彩が気づかないわけもなく。
「
……
あっ、もしかして兄さん、おトイレに行きたいのかな?」
「そ、そう! お兄ちゃんおトイレに行きてェンだよ!」
「それは申し訳なかったよ。気づかなくてごめんね」
軽く眉を下げた一彩が、膝から降りようと動く。
それで俺はほっとしてしまって、一彩のやつ上手い具合に勘違してくれたなァ、なんて油断したのが運の尽きだった。
「いッ
……
!」
「? 兄さん、膝の間に何か固いものが
……
」
ああ
……
愛する弟よ。見るな見るな凝視するな。
「
……
兄さん、勃起しているのかな?」
「もっとオブラートに包めよ!!」
誤魔化すをすっ飛ばして肯定でしかないツッコミを入れてしまったらもう、開き直る他に道はない。できればスルーしてほしかったが、一彩にそれを求めたところで叶わない確率の方が圧倒的に高いとわかっている時点で俺に勝ち目はない。俺の弟は純粋で真っ直ぐな子なのだ。言葉をオブラートに包むなんてまどろっこしいことしないくらいに。
もう少しこう、慎み深い反応をしてくれれば俺だってまだやりようがあったのによ。例えば、頬を赤く染めて恥じらいつつ言ってくれれば、なんかそれっぽいムードに持って行くことだってできたのに。
真顔で言われたらお兄ちゃん、立つ瀬がねェだろ。
「オブラートに包む? 例えば?」
「あー
……
『ちんこが勃ってる』とか?」
「それは言葉を置き換えただけだよね? 婉曲表現と言えるのかな」
「文語体を口語体にしてンだから充分婉曲だろ」
「なるほど
……
」
なるほどじゃねェよ一彩くんよ。
お兄ちゃん、コレ、どうすりゃいいの?
あ、いや、萎えてきてるからこのままでいいか。
「ところで、兄さんのそれはどうすればいいのかな」
「はァ!?」
「僕はどうしたらいい?」
何言ってンだおめェは。
「あっ、雄々しくなったね!」
…………
。
「僕なりにオブラートに包んでみたんだけど、どうかな」
俺の股間を見つめて言うことじゃねェだろ。
「
……
おめェは何もしなくていいから」
なんて呆れながら返したものの、せっかく萎えかけてたものが雄々しくなったのは、何かする一彩(具体的な明言は避ける)を妄想したからに他ならないわけで。
つまり自分に呆れたってことだ。
「
……
いや、できることあったわ」
「何かな?」
「もう帰れ、一彩」
ていうか頼むからそっとしといてくれ。それ以上刺激すんな。暴発する。
「どうして?」
「聞かなくてもわかンだろ」
「僕のせいだから?」
「あ?」
「僕のせいで、兄さんは困っているんだよね
……
」
しょんぼりした顔で見つめるンじゃねェよ。あんま強く出れなくなるだろ。
「
……
お前は何も悪くないから」
いやまァ、確かにこうなったのはお前がいたからだけどよ。でもいつもはこれくらいのことで勃つとかないんだ。多分今日はちっと疲れててブレーキが緩んでたところにお前がとびきりかわいく甘えてくれたから、うっかりあらぬことを妄想しちまってオーバーランしちまった。つまり悪いのは俺で、お前じゃない。だからそんな顔しなくていい。
なんて言えるわけねェだろ。
こんな性欲丸出しの言い訳なんて。
性欲をコントロールできない情けない兄だと、呆れられるだけならまだしも、一彩に嫌われたら俺はもう生きていけない。
一彩は立ち上がると、名残惜しそうに俺を見つめた。
「
……
わかったよ。今日は、帰るね」
「おう。悪ィな」
「でもこれだけは、教えてほしいよ。僕は兄さんに何をしてしまったの?」
「
……
何もしてねェよ」
本当に、直接的には一彩は何もしてないから、嘘は言ってない。でもそんな落ち込んだ顔されると、俺が嘘をついてお前を傷つけたみたいな気持ちになるだろ。
ああもういっそ、全部ぶちまけちまおうか。
本音を言うなら、一彩にはまだ帰ってほしくねェんだから。こんな環境だ、二人きりで過ごせる時間は多くない。それをみすみすドブに捨てるなんてこと、したいわけねェだろ。
言うは一時の恥、言わぬは一生の恥って言うしな。
……
なんか違うな。まァいいか。いや、でもなァ
……
一彩に嫌われたらこの世の終わりだ。
と俺が腹を括ったり括らなかったりしていることなんて知るわけもない一彩は、切羽詰まったような顔で言う。
「お前は悪くない、と兄さんは言ったけど、でもそれは、原因自体は僕にあるから、だよね。そうじゃないなら、兄さんはきっと、お前のせいじゃない、と言ったはずだから」
「
……
おめェはほんと賢いなァ」
その賢さで俺の気持ちを察するくらいはしてほしかった。けど、こっちが口にしもしないことを都合よく推し量れと要求することだって、ずいぶん勝手な話だしよ。
何より、知識と経験がなきゃ、察するなんてできねェよな。
性知識に疎いにもほどがあるお前にはよ。
「あー
……
まァ、とりあえず座れよ」
「帰らなくていいの?」
「それはまァ、お兄ちゃんの話が終わってからでいいっしょ」
隣をポンポン軽く叩いて促すと、一彩は少しためらいながらも、静かに腰掛けた。俺から少しばかり距離を取って。
その方が今は都合がいい。そう思う一方で、甘え方を知らなかったあの頃に戻ってしまったようで、やるせなくもなる。
本当は今この瞬間にだって、抱きしめたくてたまンねェのによ。
抱きしめて、キスして、お前の顔を声を溶かして、ねだらせて、服の奥の肌に直接触れて、身をよじるお前を
「あ〜〜〜〜!!」
「兄さん!? どうしたの?」
「あー
…………
何でもねェ。マジで、本当に、ガチで」
「何でもあるんだね
……
」
心配そうに俺を覗き込んで、一彩は控え目に笑った。
「僕に気をつかう必要はないよ。どうかはっきり言ってほしい。どんなことでも、受け止めるから」
「いや、そんな深刻な話じゃねェよ。でも、できれば俺のこと嫌いにならないでほしい、とは思う」
「兄さんはおかしな心配をするね。そんなことありえないよ」
「そんなの聞いてみなきゃわかんねェだろ」
「なら、聞くから、言ってほしいよ」
そう言って一彩は清らかに微笑む。
今から俺の言うことが、その対極にあることだとは一ミリも想像していないのが丸わかりの顔で。
ああ、どうかお兄ちゃんを嫌いにならないでくれ。
「
……
お前が好きだから、勃った」
「え?」
「一彩、お前を愛してるから、ちんこが勃った」
「あ
……
」
何か言おうとしてやめたのか、それとも咄嗟に言うことが出なくてとりあえず間をつないだのか。何にしろ一彩はそれきり、黙ってしまう。
一彩と一緒にいて初めて、沈黙がキツいと思った。
だからもう何でもいいからこっちから話を振ろうとしたその時、俺よりコンマ数秒早く、一彩が俺を見上げて口を開いた。
「ええと
……
うん。理解したよ。うん
……
ウム」
何度も頷いた一彩は特に頬を赤らめることはなく、恥じらっているようには見えない。
だが、動揺は、している。俺の目にはそう見えた。それが思い違いではないことは、長いことこの子を見てきた年月で証明できる。
ただ、その内訳まではわからなかったが。
できれば嫌悪は、なければいい。
「そうだよね、僕らは兄弟だけど、それよりももっと深い関係になったのだから、いつかはそういったこともする、のだよね
……
」
「そういったこと、って?」
「だから、その、性行為を」
別に、わかってて敢えて訊くっていう意地の悪いことをしたわけじゃなくて、こいつのことだから見当違いなことを考えているのかもしれない。そう思って投げた質問に返された答えに、ほっとする。
もしかしたら俺と一彩の『好き』『愛してる』は、字面だけが同じで中身はまるで違うものなのかもしれない。一彩はただ、兄弟愛の延長上に立っているだけのかもしれない。そんなことをうっすら考えていたりもしたが、どうやらその点については安心していいらしい。
「つまり兄さんは、僕とそういうことをしたい、ということなんだよね」
今もまだ動揺が凪がないのか、落ち着かなげに俺を見つめる一彩の頭へ、ついいつもの癖で手を伸ばしかけて、さすがに今はそういうタイミングでもねェか、とひっこめる。
「お前のことだから、俺がイエスっつったら、じゃあどうぞ、ってその身を差し出すんだろうけどよ。お前の気持ちが追いつくまで待つくらいはできるっつの。いやまあ、ちんこおっ勃てたまま言ってもあんま説得力ねェかもだけどよ」
多分、一彩の動揺の正体はこれだろう。
少し考えれば自ずとわかったことの、その『少し』を、今の今までまるで考えていなかった自分に驚いて、動揺した。
つまり、俺とセックスすることなんて、ミリも考えてない。
でも、それでよかった。本当に、一彩の気持ちを蔑ろにしてまで抱こうなんて俺だってミリも考えていないのだから。
それこそ、一生抱けなくたっていい。
……
いや、一生は、ちっとキツいな。
つまり、それくらいの覚悟でもって一彩を大切にしている、ってことだ。
それなのに俺の身体は俺の崇高な意思なんてまるっきり無視しやがったわけだが。
まァ、一彩に嫌悪を返されるならまだしも、無関心を向けられることだって覚悟してたのに、少なくともスルーされなかった、向き合おうとしてくれた。それだけで、充分だ。
本当によかった。
「っつーことで、お兄ちゃん、これをどうにかしねェといけねェから。今日はこれでお開きな」
「僕がどうにかしなくていいの?」
「ンッ!?」
いやいや何言ってんの今すげェ綺麗に話が終わろうとしてたろ。
何で蒸し返すんだよ。
「その、僕のことを思って兄さんのおちんこが勃った」
「『お』をつけるなら、おちんちんって言いなさい」
「
……
おちんちんが勃った、というなら、ぜひ僕に任せてほしいよ」
「何をだよ!」
「それは
……
兄さんが教えてくれるんだよね?」
「丸投げかよ!!」
そうだった。
意図的に破天荒な選択を取っている俺とは違って、この子は天然ものの破天荒だった。
「性行為についてはよくわからないけど、兄さんの愛に報いたいんだ。だからぜひ、ご教授願いたいよ! どうしたらいいのかな?」
それはこっちのセリフだよ。
俺はどうしたらいいんだよ。
……
あ? それでそのあとどうなったかって?
そんなのわざわざ教えてやる義理なんてねェだろ。
それに俺っち、一彩にあれやこれや教えるので忙しいからよ♪
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