三毛田
2024-08-30 16:54:45
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35 05. 手を繋いだらその先は

35日目 まだまだその段階までいかない

「丹恒、ん」
「なんだこの手は」
 手を差し出すと、わけがわからないというように首を傾げて。
「俺が迷子にならないように。それと、ゴミ箱を漁らないように手を繋いでて」
「わかった」
 そっと重ねられた後、優しく握られた手は俺よりも体温が低くて。でも、その冷たさが体温な上がり始めた今は心地よい。
 俺は、丹恒が好き。
 きっと年上の二人にはバレている。
 じゃなきゃ、こうして俺達が二人きりになるように手配しないし、あんな生暖かい目を向けてくることだってない。
 二人で街を歩く。今日のクエストは、そんなに難しいものではないから俺たちで行ってこいと姫子が。
 なのは、列車の中で手伝い。
 緊張で手汗がやばいけど、丹恒不快に思っていないかな。
 と思ってチラッと見ると、いつもと変わらない表情で周囲を見回している。
 でも、瞳には少しばかりの好奇心。
 知らなかったことを知ることが出来る。それが嬉しい。そんな表情。
「惚れるよ、そりゃ」
「穹?」
「なんでもなーい。依頼人から聞いた場所は、もう少し先だったよね」
「ああ。ただ、警戒はしておいたほうがいい」
「わかった」
 指定場所の座標を確認しつつ、進む。
 なんだか嫌な感じがして、丹恒の手を離す。彼もまたそれを感じ取ったのか、撃雲を手に。
 初めてくる場所だし、薄暗く人通りも少ない。警戒しておいて損はない。と、頷き合い進んで。
 目的のものを回収し、素早く撤収。
 依頼人に届けて報酬を受け取り、市場があったのでそれをふらっと見てから列車に戻る。
「ただいま〜」
「おかえりなさい、二人とも」
「おかえり」
「ただいま。穹、俺は資料室に戻るから」
「うん。丹恒、お疲れ様」
「ああ、お疲れ」
 客室車両へ向かう丹恒へひらひら手を振る。
「それで?」
「手を繋いだだけですけど何か?」
 俺が答えると、姫子はわかりやすくため息をついて。
「お膳立てしてあげたのよ。キスくらい奪わないと」
「無理だって! 俺にそんな勇気あると?!」
「あら。これからの開拓に必要なことよ。あんたの士気が上がれば、自然と周囲もそれにつられるわ」
「内容が邪なのに?!」
「穹、諦めろ。姫子は本気だ」
「なんで外野が本気なんだよ〜」
 ヴェルトはどこか達観したような表情で俺の肩を叩く。
「丹恒だよ? 隙がないに決まってるじゃん! それに」
「それに?」
「俺のことをそういう好きかどうかわからないのに、そんな事できない」
「誠実ね。いいことよ。でも、進展したら教えなさい」
「絶対教えないから!!」