白夜
2024-08-30 01:35:56
1700文字
Public TF
 

この愛の在り方

Pスタ音 付き合ってる前提 短い話

「いてぇ……

 メガトロンに殴られて酷く痛む部分を擦りながら、各部がショートして痛みでまともに動かない機体を壁に凭れかけさせて座り込む。ちょっとした企みをメガトロンに知られてしまい見事に折檻を受けて、この有り様である。
 悪いのはスタースクリーム自身であるが、何故俺様がこんな目に合わなければならないのか、と苛立ちを隠すことなく大きく舌打ちをした。
 今度こそアイツにバレずにことを運んでやると性懲りもなく思考を巡らせていると、カタンと音がして視界に群青色の脚が現れた。それが誰のものなのかは明白だ。何で来るんだよ、と思いながら視線を向けるとそこには想像どおりスタースクリームがメガトロンに折檻を受ける一因となった奴がいた。

「何だよ……――サウンドウェーブちゃん」
「《手当》《しないと》」

 全く苛立ちを隠せていない声が出てしまう。それでもサウンドウェーブは気にした様子を見せず、リペアルームから持ってきたのであろう簡易的なリペア機材を出してきて簡単な手当てを施してくる。
 そんなサウンドウェーブに「てめぇがメガトロンにチクらなければ俺がこんな目にはあわなかったんだよ」と内心悪態を吐いたが、それを口には出さなかった。それを口に出したところでサウンドウェーブが何を思うこともないのも変わることはないのも明白なことである。
 あくまでサウンドウェーブの第一優先はメガトロンであり、メガトロンだけに忠誠を誓い、ディセプティコンのボスはメガトロンだけと思っている。
 たとえ、スタースクリームがサウンドウェーブの恋人だとしてもだ。
 それは母星で活動していた時から変わらないことであり、そのことを二人きりの時お互いに言及することはない。何も言わずに黙々と処置を続けるサウンドウェーブを見つめる。放っておいてくれた方がスタースクリームとしては気が楽なのだが、サウンドウェーブは毎回この行為を止めようとはしなかった。

 ――処置が終わったのかサウンドウェーブの手が止まる。

「《リペアルームに》」
「この程度、わざわざ行く必要ねぇよ」

 簡易的にではあるが器用なサウンドウェーブの応急処置を受けたのだし、あとは自己修復機能でどうにかなるだろうと思い、そう言ったのだが目の前の奴は納得していないらしい。いつもは処置が終わればすぐに黙って立ち去るのだが今回はなぜか立ち去ろうとしない。
 傷付いた頬を優しい手付きで撫でてくるサウンドウェーブに居心地の悪さを感じながらもスタースクリームは小さく溜息を吐いた。

「分かった、行く。行けば良いんだろ?」

 そう言うと、満足したようにコクリと頷いてスタースクリームの頬にサウンドウェーブ自身の頬を擦り寄せてきた――もちろんサウンドウェーブの顔はフェイスパーツに覆われているため直接触れ合っているわけではないのだが。
 しかし、それはあまりにも珍しい行動でスタースクリームは驚いてポカンと間抜けな表情をしてしまう。そして、当の本人も自分らしくない行動に照れているのか少し俯いてしまっている。
 そんな様子を見てスタースクリームは苦笑しつつ、まだ痛む腕をゆっくりと動かしてサウンドウェーブを抱き寄せた。するとサウンドウェーブは抵抗することなく、スタースクリームに機体を預けて動かずにいるので、そのまま相手の機熱を感じる。

 きっとこれからもスタースクリームはディセプティコンのリーダーの座を狙い続け、サウンドウェーブはスタースクリームの企みに気付けばメガトロンに報告するのを止めないのだろう。

(それでも、こいつのこと嫌いになれねぇんだよなぁ)

 いっそのこと憎むことができたのであればどれほど良かっただろうか、と内心苦笑する。そして、意趣返しにサウンドウェーブの顔をこちらへと向けさせ、その下に小さくて可愛らしい口があるであろうフェイスマスクの箇所に口付けをしてやったのだった。



*
前回に引き続き昔書いていた話を加筆修正したもの。
両想いなスタ音が書きたくて書いたものらしい。
気が向いたらもっと練って詳しい関係性の描写加えたい。