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芹沢亀吉
2023-12-13 00:53:42
2049文字
Public
風刺
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門長再誕
2022年9月27日~9月28日にかけてTwitterに投稿した暴虐な軍国主義者、楠木武が恥をかく物語の通算62話目の加筆修正版をPrivatter+に投稿してみた。
広池一雄
ひろいけかずお
総理は
門長四郎
かどながしろう
元総理の国葬を強引に決定した。法的根拠の無い国葬を国会審議もせず閣議決定だけでゴリ押しするあたり、日本は法治国家には程遠い。
国葬の会場、日本武道館周辺ではデモ隊が国葬反対を訴えている。
全国的な反対の声を無視し強行された国葬には門長を神のように崇拝する輩が集まり、会場全体にカルト教団の集会特有の不気味さが漂う。
「それでは喪主の門長
通江
みちえ
氏が門長元総理の遺骨と共に入場します。」
通江が両手で捧げ持つ壺には四郎の遺骨が入っている。
楠木武
くすのきたけし
一等陸佐がおもむろに立ち上がりマイクを握った。
「それでは皆様、只今よりこの楠木が音頭を取り門長元総理再誕の儀を執り行います。」
既に火葬を終えた門長の再誕とはいよいよカルト教団そのものである。一体何を始めるつもりなのだろうか。
楠木の配下の自衛官達が靖国神社や明治神宮の境内から運んできた土をこね、程なくして等身大の土人形が完成した。楠木自らこの土人形に門長の遺骨を混入し「emeth」と書かれた羊皮紙を額に貼り付けたあたり、どうやらゴーレムを作るつもりらしい。
「ナンマイダーホーレンソー、アーメンソーメンヒヤソーメン!」
楠木がこの滅茶苦茶な呪文を唱え始めると土人形の表面が皮膚で覆われ、みるみるうちに生前の門長そっくりの姿へと化していく。そして完全に生前の門長の姿となった土人形は両目を開きこう叫んだ。
「ニッキョーソニッキョーソ!」
途端に会場に歓喜の声がわき上がった。
「成功だ!門長元総理の再誕だ!」
「門長さんおかえりなさい!また総理になってこの国を導いて下さい!」
ここで広池が舌打ちしたのは会場にいる輩の大半が自分ではなく門長を総理とみなしていることに気付いたからだ。
「門長元総理、その格好ではお風邪をひきます。このお召し物を。」
作り笑顔を浮かべながら生前の門長が来ていたスーツ一式を新生門長に差し出す広池ではあるものの、
「何故私が門長の召し使いみたいなことを!総理はこの私だぞ!」
と内心憤慨している。
突然新生門長が広池の喉に噛み付いた。
「肉だ!肉が喰いたい!ニッキョーソニッキョーソ!」
などと叫びながら息絶えた広池の全身を貪る新生門長は明らかに理性が無く、当然ながら会場全体を悲鳴が覆う。どうやら会場にいる輩の邪念を浴び新生門長は凶暴化したらしい。
新生門長を撃つため自衛官達が20式小銃を構えると楠木は激怒し、その自衛官の1人、
軽部孝士
かるべたかし
一等陸士のこめかみを9mm拳銃で撃ち抜いた。
「貴様らあれは門長元総理だぞ!元総理に銃口を向ける気か愚か者め!」
愚かなのは楠木のような気がするが。
会場内がパニック状態になる中、通江は「キャハハハ!」と金切り声を上げ笑い転げている。どうやら頭の中の何かが壊れたようだ。
「四郎さん、さあ私を抱きしめて!」
自ら四郎に抱きつきそのまま頭を噛み砕かれた通江、愛する人になら喰われても構わないということだろうか。
新生門長は会場内の人々を喰らいながら徐々に巨大化し、白目を剥き鮫のような歯を生やしたその容貌は完全に怪物である。楠木は先程撃つなと言った自らの過ちを悟ったのか、1人武道館から逃げ出した。無論軽部を撃ち亡き者にしたことへの反省など無い。
楠木が外に逃げた途端に武道館が全壊し、最早武道館に入りきらない大きさにまで巨大化した怪物門長が立ち上がった。
「まだだ!まだ喰い足りない!ニッキョーソニッキョーソ!」
デモ隊は勿論献花に来ていた輩も蜘蛛の子散らすように退散したのはここに書くまでもないか。
一刻も早くこの場から退散したい楠木ではあるものの、武道館全壊時に飛び散った瓦礫が直撃し左脚が折れたため走れない。そんな楠木を睨み怪物門長が叫んだ。
「次は貴様を喰らう!ニッキョーソニッキョーソ!」
絶叫し怪物門長に向け9mm拳銃を撃ちまくる楠木はよく見ると股間周辺に独特のアンモニア臭を放つ黄色い水たまりが広がりつつある。先程軽部を射殺してまで自衛官達が怪物門長を撃つのを制止しておきながら自分がその怪物門長に喰われそうになるとバンバン撃つのだからこの一等陸佐は余りにも卑劣過ぎる。
楠木を喰らおうとした怪物門長が突然動きを止めた。楠木が撃ちまくった銃弾の1発が羊皮紙に書かれた「emeth」の「e」の文字に当たったのだ。羊皮紙の表記を「emeth(真理)」から「meth(死)」に変えることによりゴーレムの暴走を止めることが出来る。
「助かった、助かったぞ!グハハハハ!」
途端に怪物門長の全身が大量の粘土と化して崩れ去り、左脚の痛みも忘れ下品な声を上げ笑い転げる楠木を惨たらしく押し潰した。門長の国葬自体を取り止めておけばこの惨劇を未然に防げたのは自明だろう。(終)
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