三毛田
2024-08-28 15:54:12
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33 03. こんなにも好きなのに

33日目 邪な感情までつきまとう

 好き。
 それが、邪なものを含むものだと気づいたのは、いつものように甘えて一緒に寝た時。
 仕方のないやつだ。
 そんな表情と仕草、声色。でも、激しく拒絶するわけでもなく、いつものように俺が隣に寝るのを許してくれるのが丹恒。
 一緒に寝ることで前よりも悪夢を見なくなったと、少しだけ弾んだ――甘さを含んだ――声で言われたら。
 俺も、嬉しくなる。
 少しでも、丹恒の力になれたのだと。
 満足していた。
 それなのに、こんな邪な感情を抱いて隣にいるのは許されないだろう。
 艷やかな長い髪が、白いシーツに広がる。
 驚いたように碧い瞳を開くが、すぐに優しく細められて。口づけを交わしながら、俺の指は彼の滑らかな肌を滑り。
『穹』
 強請るように、求めるように名前を呼ばれ。俺は望まれるがまま、彼の胎へと侵入させてもらう。
……さいってい」
 俺の腕を枕に寝ている丹恒を起こさぬよう、悪態をつく。
 内容は最高なのだが、こうやって信頼を寄せてくれている彼と体を重ねる夢を見るなんて。
 俺はなんて最低な男なんだ。それに。無意識に出したのか、下着の中が気持ち悪い。
 起こさぬよう抜け出し、下着を洗ってランドリーで洗濯。
 好き=セックスとか、ただの獣じみている。
 しばらくまともに丹恒の顔が見れなくなりそう。
 ラウンジへ行くと、姫子が起きていたのでボソボソ理由を話して。しばらく丹恒との接触を最低限にするから、フォローを頼みたいと。
「あんたも男の子ね」
 安心したわ。なんて言われたが、意味がわからない。ヴェルトにも共有してくれるというのでお願いしておく。
 これでしばらくは大丈夫。
 だと思っていた。
「穹、どうした。俺が何かしたのか」
 数日、接触を最低限にしていたら、俺の上着を掴んで寂しそうに。
 キュンとなると同時に、罪悪感でいたたまれなくなる。
「俺の感情と下半身が折り合いがつかないだけだから。丹恒は悪くない」
「下半身? いつもと変わらないだろう?」
 俺の下半身へ視線を向け、小首を傾げ。
 思わず姫子とヴェルトを見ると、二人とも上か下かの違いでしかないが、額に手を当てていて。
 多分、俺も彼らも同じことを思った。
(そうだ。彼は持明族だった)
 と。
 繁殖能力を持たない彼に、性欲という物があるのかどうかすら怪しい。
「丹恒、向こうで話そう」
「構わない」
 と客室車両へ。
「俺が言いたいのはさ。お前の思考も体の中も、俺で満たしたいって意味だよ」
 そう告げるとようやく理解したようで、真っ赤になっていった。