三毛田
2024-08-27 21:24:34
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32 02. 沈黙の意味

32日目 生温かい目線と一緒に向けられる沈黙

「うえっ、うっ……うぐぅ……
……
 泣きじゃくる俺を見て、丹恒は無言で頭を振る。沈黙が痛い。
「ちゃんと全部飲むのじゃ」
「わかってるよぉ」
 パムの言葉に、涙をぬぐって一気飲みする。俺が悪いんだ。自業自得だ。
 わかっていても、あまりの不味さに涙が止まらない。
 ヴェルトと姫子の、『はいはい。わかっていますよ』という沈黙と、しょうがない子を見るような視線がいたたまれない。
 その意味はわかっている。わかっていくらこそ余計に惨めで。
「よく飲み干した。偉いな」
「たんこぉ〜」
 丹恒の膝に飛びついて、ぐりぐりと額を膝頭に押し付ける。頭を撫でてもらいなが、涙を拭う。
「これに懲りたら、二度とドリンクを適当にミックスすんじゃない」
「はぁい」
 俺の情けない返事に、パムは満足したようで、グラスを回収していく。
 好奇心は猫を殺す。ってアーカイブで見かけた言葉が頭をよぎり。
 丹恒の膝に顔を埋めたまま内ももを指先で撫でると、手刀が落ちてきた。
 手甲をしているほうだから、重さとスピードがあって余計に痛い。
「いたぁい……
……
 無言の訴えは、照れから来てるのか、それとも他の人がいる前でやめろという意味なのか。測りかねながら太腿に顔を乗せる。これは許してもらえる。
 丹恒は俺に甘い。甘すぎる。もっと叱ってくれたっていいのに。
「どうした」
 上目遣いに見つめていると、不思議そうに俺を見返して。
 皆からの視線が含みを持たせた沈黙と共に突き刺さってきているが、気にしちゃ駄目。気にしたら負け。
「はー。さっぱりした! あれ? みんなどうしたの?」
「なの、可愛いね。お風呂気持ちよかった?」
「うん! 穹ったら、また丹恒に甘えてる」
「恋人特権です」
 ドヤ顔で告げると、なのは軽く頬を膨らませると俺の髪をぐしゃぐしゃにして。
 俺たちのやり取りに、三人からの生暖かい視線が刺さる。
 ついでに丹恒も、俺と菜音のやり取りを微笑ましそうに見ていて。
「妬いてくれたっていいんですけど?」
「お前たちのやり取りは兄妹みたいだからな」
「俺がお兄ちゃんですね。わかります」
「違うよ! ウチがお姉ちゃんだって!」
 二人で頬を膨らませ、睨み合う。その様子に、思わずといった様子で丹恒が笑って。
「丹恒?」
「なんで笑うのさ」
 頬を膨らませたまま、二人で彼を見る。
「そういうところ、そっくりだな」
 何その顔。可愛すぎるんですけど?
「丹恒あんまり可愛い顔してると、食べちゃうよ」
「お前に食べられるなら本望だ」