ざらめ煎餅
2024-08-24 21:05:52
470文字
Public 父水
 

指先に酔う(父水)

付き合ってないゲゲ郎と水木がしっぽり飲んでいる。ふと会話が途切れた際に片手が重ねられ、お互い素知らぬ顔で目も合わさないまま指と指で愛撫するSS。

 右手の中指にひやりとしたものが触れて、思わず肩が強ばった。
 縁側にて俺の右側に並んで座っている男が、後ろ手に投げ出した手に自分の指先を添わせたのだと気づく。
 相手の意図が分からず正面を向いたまま黙っていると、冷たく硬い指がゆっくりと爪の際をなぞり始めた。人差し指の腹で、俺の中指の爪と肉の境い目をそっと辿ってゆく。
 敏感な指端で感じる刺激に知らず息を詰める。瞼を軽く伏せ、視線を下駄脱ぎ石へと向けた。
 とてもじゃないが今はこいつの顔が見られない。
 そんな俺の態度に気をよくしたのか、中指を撫でていた指はじわじわと甲に向かって上り始める。
 俺の指よりも長く、節くれだった大きな手。ひんやりとした感触が指の背や甲に重なり、包み込むように柔く握りこんできた。
 そのまま人差し指と中指で手首の関節を挟むようにしてくすぐられる。小指は指の股をゆるゆるとなぞった後に、俺の小指にきゅうっと絡められた。
 明らかに官能を意識したその動きに、細く熱い息がもれる。
 見えないまま男のまとう気配が甘く重さを増したように感じた──────