五百井アエ(オリジナル)の正体

オリジナル、時々なんか変じゃない?
っていうのの深堀の話。

……こんなとこまで来るなんて、随分こーきしんおーせーだねー?」

「あ、そういうのはいい?じゃあ普通に話そうか」

「僕の正体だっけ。そんな言い方する程大層なものじゃ無いと思うんだけど……でもまぁ、ここだけの秘密だよ?」

……僕は、管理者」

「電子生命体を作るこのプログラムと仮想空間の管理者……その子機みたいなものかな」

「もちろん、電子生命体の五百井アエでもあるよ。それも嘘じゃない」

「ただ、僕には五百井アエとしてじゃない記録がたくさん入ってる」

「だから、どうしても少し歪んでしまう」

「あ、複製たちにはそんなもの入ってないから、安心してね。あの子たちは、ただの五百井アエとして生きていけるよ」


……前に、僕は他の電子生命体と友達になれないって言ったよね、覚えてるかな」

「僕は、皆のデータ……人間風に言うなら心と記憶を覗くようなことができちゃうんだ」

「どんな風に生まれて、どんな体験をして、それによってどう数値が変わって、今のその子になったのか」

「目を逸らしても、見えてしまうから」

「そんなやつと友達なんて、難しいでしょ?だから、僕は無理してあの子たちとは関わろうとは思わない」

……アウとだけ、いられればいい」



「でもさ、なんか製作者さんが変なことして、変なとこに繋がって」

「電子生命体じゃない存在と、ただの人間みたいに出会うことができて」

「イレギュラーとして僕たち側に入り込んでくる人もいて……あれ、いろいろ誤魔化すの大変なんだよ?」

「だけど、初めて、友達になれるのかもしれないって」

「そう、思ったんだ」


ーーー


<アウの人格データについて>

「僕があいつの人格が分かれてしまっているのを知っていた理由は、わかったでしょ?」

「何度か話したこともある。変な人……うん、変な人だった」

「あっちはこの場所はアウのためのものだって思ってるみたいで、いつ消えてもいいって言ってた」

「というか、消してほしいって、頼まれたんだよね。アウの邪魔になりたくないからって」

「ただ、破損しているわけでもない他の人のデータを削除できるほどの権限は僕にはないから、無理って伝えた」

「僕にできるとしたら、貴方として動かせるアウの複製を作ることだけって。アウから切り離してあげることはできないって」

「それはいらないって言われちゃった。僕の居場所はここにないからって」

「消えることができないなら、終わりの日まで大人しく見てるよって」


……これは、言わなかったことだけど。あの子も『五百井饗』って名前の電子生命体でしかないのにね。五百井饗本人じゃないんだから、居場所がないなんて言わないでほしかった」

「僕たちの居場所は、ここにしかないんだから」




<余談>
アエ「のわりにはこうやってたまにアウを乗っ取って話にくるのなんなの?」

饗「……人と話したいわけじゃないんだけど、何もできないって、けっこうきつくて」

アエ「元々大人しくするとかできないんだから無理しない方がいいんじゃない?」

饗「がんばる……がんばるよ……