楓花
2024-08-24 01:27:55
Public GD/真矢うさ 小説
 

バレッタ

真矢はゴムで髪を纏めてることが多いですが、60巻でバレッタをしていてずっと気になっていたので。



休日にふらっと一人出かけた先で、偶然妹に会った。
せっかくだから買い物つきあってよ、と強引に雑貨屋へと連行される。
その勢いに押されてついてきたものの、着いた店の外観に一瞬うっとなった。
女子の夢を現実化したような、やたら可愛らしい佇まい。普段なら足を踏み入れないような店だ。

気後れしながらも渋々店内に入ると、やはりというか客層は女子ばかりで見たところ男性は自分だけだった。
しかも頼みの妹といえば、暫く一緒に見て回っていたはずなのに、いつの間にか隣から姿を消していた。

そうなると急に心許なくなってくる。
通りすがる女子達がみんなチラチラこっちを見てる気がして、気を紛らわせるために宇崎は目の前にあった雑貨を何となくじっと眺めてみた。

そこには色んな種類のピアスやヘアアクセサリが陳列されていて、どれも綺麗で目に楽しい。
その中で宇崎はふと、気になった商品に手を伸ばした。

何の装飾も無くてシンプルだけど、綺麗な白いバレッタ。
ふっと、ここにはいない長髪のシルエットが思い浮かぶ。
手に取って暫く逡巡したのち、宇崎はキョロキョロと辺りを見回すと、それを持ってレジへと向かった。


「プレゼントですか?」
「あ、はい」
「では、こちらの中からラッピングをお選びください。少しお時間を頂きます」
……いえ、ラッピングはいいです」
「かしこまりました。ではお会計は1210円でございます」

一瞬迷ったが、ラッピングなんて頼んで妹に見つかったら何を言われるかわかったもんじゃない。
宇崎は挙動不審なほどにコソコソしながら、早々に会計を済ませた。
受け取った小さな紙袋を鞄に入れて安心して振り返る。すると、

「そのバレッタ、真矢さんに似合いそうだね」
……お、まえ後ろにいたなら声かけろよ!!」

なんと会計待ちの妹が真後ろに立っていた。

「プレゼントでしょ、ラッピングしないの?」
「べ、別にこれは自分が使うやつだし! 前髪止めるのにいいかなと思って――
「はいはい、そういうことにしといてあげるよー」
「ホントだからな!?」

必死で弁明する宇崎に、妹は笑いを堪えきれない様子で自分の買い物をレジへと差し出した。
意味深に見てくる目に、宇崎は黙って再び財布を開く。
そうして会計終わりに、「ありがと! バレッタも、きっと喜んでもらえると思うよ」と小さく囁いてポンと肩を叩かれた。
向けられる顔はやたらとニヤニヤしていて、もうどう説明しても無理だと悟る。
そもそも、実際その通りだから仕方がない。

真矢がもしまた実家に来ることがあったら、絶対これはつけてこないように釘を刺しておかないと。
そう密かに思いながら、同時に真矢の嬉しそうな姿も想像して宇崎は少しだけ頬を赤く染めつつ足早に店内を後にした。