楓花
2024-08-24 01:25:06
Public GD/真矢うさ 小説
 

甘やかな歌声

カラオケ話。
木の実さんのネクタイの話を受けて。






「ポートも歌上手いけど、真矢もかなり上手かったんだな」

予定どおり行われたロスチームの歓迎会。
その会場であるカラオケ店に何故かついてきた真矢は、突然ポートからマイクを奪って惚れ惚れするような美声を披露した。
顔が良くて仕事も出来て歌も上手いとか、天は二物も三物も与えすぎじゃないかと思う。

「惚れ直した?」

ベッドの上で、見下ろしながら真矢が笑顔で聞いてきて。
その顔がちょっとだけムカついて、何だか素直に頷くのも癪な気がした。

「う、歌は確かに好きかな。声が良いから、もっと聞いてたいって思うし」
「俺も万尋さんの声好きだよ」
「え、そう?」
「特に裏声とか、たまらないよね」
「俺、裏声使うような歌なんて歌ってないけど……?」

今日も歌ってないし、鼻歌でも歌ったことなんてなかったと思う。
いつの話してんだ? それとも誰かと勘違い?

頭が疑問符でいっぱいになったところで、真矢の手がするりと宇崎のシャツの中に入ってきた。

「アッ……!!」

脇腹を滑る手が上へとあがっていき胸の小さな突起を摘まんだところで、思わず甘い声が出る。

「ほら、イイ声」
……!! や、やめ、まや……っ」
「今日は沢山聞かせてね、万尋さんの可愛い声」
「ば、ばかっぁ」


その日、宇崎は甘く高い嬌声を夜通し上げさせられることになった。



***   ***


翌日。
すっかり掠れた声の宇崎に、挨拶もそこそこにDr.の目がキラリと光った。

「風邪ですか?」
「え、いや……昨日カラオケ歌いすぎたかなーって」

もぞもぞとはっきりしない様子で答える宇崎と、その隣のやたらと上機嫌な真矢の顔にDr.は瞬時に事情を察する。そうして声をかけたことを一瞬後悔した。
「そうですか」と早々に切り上げて、そそくさと食堂の列へと並んだDr.の耳は僅かに赤い。
そのDr.の背中を並んで見ながら、宇崎はぎろっと真矢を横目で睨んだ。
「おまえのせいだぞ」と、小声の抗議を涼しい顔で受け流すと、真矢は窘めるような口調で口を開く。

「いくら交流でも程々にしないとね、宇崎さん」

しれっとした真矢の言葉に、宇崎は額に青筋を立てながら軽く真矢の足を蹴り飛ばした。