楓花
2024-08-24 00:41:03
Public GD/真矢うさ 小説
 

同じ時を刻んで

ペアウオッチに萌え転がりすぎて書いたもの





「ペアウォッチ?」

ウッズ達との対戦でのご褒美として真矢があげたのは、予想外のものだった。

「うん、ペアリングはダメなんだよね? じゃあ時計はどうかと思って」

本当は虫よけ効果としては指輪が最適だけど、普段つけてくれないのなら意味がない。
その点、時計ならずっと身に着けているものだし、言い訳としてもどうとでもなる。
とにかく何でもいいからお揃いのものを身に着けたい、と手をあわせる真矢に、宇崎はわずかに逡巡したものの、最終的には「それなら・・・」と了承した。

「ほんと!?」

途端、真矢はパッと顔を輝かせ勢いよく抱き着いてくる。
そして宇崎の気が変わらないうちにと、すぐに検索を始めた。

「どんなやつにしようかなー」
「あんまり高すぎるのはなしな」
「うん、普段使いするなら機能性が高いのがいいよね」

時計といえど高価すぎれば結局、引き出しの奥に大切にしまわれてしまうのが関の山だ。
そこは心得てるとばかりに、素直に頷く。
うきうきと次々画面をスライドさせていく真矢を見つつ、ひょこっと隣から覗きこむ。
そんなに欲しかったのか、とは思ったものの、あまりに嬉しそうな真矢に宇崎も自然と笑顔になった。
二人で画面を眺める時間も楽しい。

「あ、これとかどう?」
「どれ?」
「これとか、これとか」
「うん、いいんじゃない?」
「いくつかピックアップして、店舗に見に行こうよ」

お揃いに少しだけ抵抗があった宇崎も、一度そうと決めてしまえばそれは待ち遠しく楽しみなものになった。






――そうして、
真矢から宇崎へ
宇崎から真矢へ、
お互いに贈りあったペアの時計。

真矢たってのお願いで早速宇崎につけてもらったその時計を、真矢は感慨深そうに眺めた。

「似合ってる?」
「うん、似合ってる」
「万尋さんのもつけてあげるね」
「いや、俺は自分でつけるからいい――
「だーめ、俺につけさせて」

遠慮する宇崎の腕を強引にとって、まるで大切なものを扱うような丁寧な様子で真矢がゆっくりと宇崎の腕に時計をはめる。
その恭しい様子に、一瞬宇崎の脳裏をある光景が浮かんだ。

なんか、ちょっと結婚式の指輪の交換みたいじゃないか?)

実際は時計なんだけど、なんというか、雰囲気が


「万尋さんも凄く似合ってるよ」

弾んだ真矢の声。
なのに、どうにもいたたまれなくなった宇崎は、うん、と小さく返したものの顔を上げられなくなってしまった。

勝手に妄想して恥ずかしすぎる。

そんな宇崎の腕を、真矢はもう一度とり自らの方へ引き寄せたかと思うと、その耳元へそっと唇を寄せた。余計に宇崎の体温が上昇する。

「万尋さん、恋人に時計を送るのって意味があるって知ってる?」
「意味?」
「うん。ずっと一緒に同じ時を刻んでいこうって意味」

かあっ、と今度こそ完全に赤くなった宇崎の顔。思わず腕を引こうとした宇崎の手をがっしりとつかんで、真矢はその時計に恭しく口づけを落とした。

「これから先も、ずーっと一緒にいようね。万尋さん」


微笑む真矢の顔が、やたら意味深に思えたのは果たして宇崎の気のせいだったのかどうか。







――翌日。


「へー、ペアの時計?」

めざとく見つけたクロウがニヤリと笑うのを見て、あわあわと手を振る宇崎の姿があった。

「べ、べつにたまたま! たまたま欲しい時計がかぶっただけだから」
「ふーんそうなんだ、てっきり二人で贈りあったのかと思った。エンゲージウオッチって流行ってるしね」
「・・・・・・エンゲージウォッチ?」
「カップルが婚約するときにお互いに贈りあうんだよ。つまり、婚約指輪のかわりってこと」
「~~~!!」

二の句が継げなくなった宇崎の赤くなったり青くなったりする顔をひとしきり堪能したあと、クロウは上機嫌で去っていったのだった。