三毛田
2024-08-23 21:59:35
1074文字
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28 08. 髪の香りを捕まえて(振り向かせたくて)

28日目 君の香りだったなんて

 ふわっと柔らかな香りが鼻に届き。
「うーん……違う」
「無断で女の子の髪の匂いを嗅がない!」
「ぐえっ」
 なのかな? って近くに行って嗅いでみたら違った。おまけに肘鉄を喰らい、ドス黒いオーラを纏った姫子に笑顔で微笑まれ、ヴェルトには滾々とやっていいこと駄目なことを語られた。
「なの、ごめん。不愉快だったよな」
……次のご飯のデザートくれたら許す」
「うっ……わかった」
 初めて食べるデザートだったから、楽しみだったけど仕方ない。背に腹は代えられないってやつだ。
「丹恒を呼んできてくれ。今日はみんなで食べよう」
「はーい」
 ここは積極的に動かないと。
 客室車両へ向かい、資料室をノックする。
『どうぞ』
「丹恒〜、ご飯。みんなで食べようって、ヴェルトが」
『そうか。今行くから戻ってろ』
 とか言って、すぐに出てこないのが丹恒だ。扉を開けて、中に入る。
 今日は珍しくキリが良かったみたいで、直ぐにコンソールから手を離す。
「穹」
 咎めるように名前を呼ばれたが、知らない。いつもちゃんと集まらない丹恒が悪い。
「丹恒先生が、いつもすぐに集まるなら俺だって戻ってたよ」
「自業自得か」
「そういうこと」
 ほら。と、手を差し出すと当たり前のように手を添える。
 握ると、ちょっとだけ驚いたように俺を見上げて。
「駄目?」
「駄目じゃない」
「まあ、数歩の距離だし」
「そうだな」
 甘い声に表情。恋人になった俺にだけ見せる姿。
「えっと、丹恒先生に言っておかないといけないことが」
「なんだ?」
 俺がボソボソ告げると、足を止めて。
「あのね、なのの髪の匂いを嗅いで滅茶苦茶に怒られたんです」
「お前」
 驚いたように目を丸くし、呆れたようなため息。
「何でそんなことを」
「廊下を歩いていたらいい匂いがして、なのかな? って思ったから」
 たまーにいい匂いするし。と続けると、額に手を当てて左右に振る。
「あれ?」
「こら。怒られたばかりだろう」
「そうだけど、丹恒から俺が嗅いだ匂いがする」
 丹恒の髪に少しだけ顔を埋めて、鼻を動かす。
「いい匂い。何かした?」
「昨日部屋を借りて、リラックスするために香を焚いた。その時に、髪にもついたんだろう」
「へえ。何で?」
「息抜きだ。今度お前も一緒にやってみるか?」
「うん。そしたら、丹恒と同じ匂いになるね」
「嬉しいのか」
「嬉しいよ。好きな人と一緒って、すごく嬉しいんだ」
 胸の奥が、ポカポカして温かい。
 ため息を一つついてから、俺の首に髪をこすりつけて。
「丹恒?」