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삐약さん翻訳
2024-08-20 15:59:58
1293文字
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罪人よ
罪人よ、どこへ行くのか。
水中から見上げる日差しは美しかったと、ジェイムスは回想する。メアリー、私が君を殺し、また殺したあの日、罪責感は私を死へと引導した。
*『本当にメアリーに会いたいならば死ねばいい。ジェイムス、あなたが行くのはメアリーとは別の場所かもしれないけれど』
*。ニーリィーズ・バーで見た文章は正鵠を得ていた。メアリーと私では行く場所が違った。メアリー、どうか君は天国で幸せにあずかっていることを。私は地獄で燃え上がり、悔い改めよう。それがジェイムスの最後の祈りであり、告解だった。
罪人よ。
どこへ行こうとしたのか。
しかし、ああ。私にはまだ受けるべき罰が残っていたのか。柔らかなベッドで目を覚ましたジェイムスは自身の手を握り、そして開く。馴染み深い天井、胸が張り裂けそうなほど疼く記憶に満ちた場所だった。312号室。メアリーと二人でホテルの風景に惹きつけられ、日がな窓辺で談笑し合ったそこ。舞い降りる埃で空気はあまり新鮮とは言えなかった。ジェイムスは体を起こした。凝った体はあちこちで悲鳴を上げた。意識が朦朧とする。体温が低く、ぞくりとする寒さを感じてもいた。
カーテンが引かれた大きな窓。古びた布はいまにも破れ落ちそうだった。手を伸ばして触れてみる。ぷつ、ぷつ。糸の一本一本が指紋に引っかかる。メアリーと来たときには確かに柔らかい布地だったのに。
「メアリー。メアリー
……
」
彼女の名前を数え切れないほど呼びながらカーテンを開ける。瞬間、ジェイムスはハッと息を呑んだ。窓には巨大な蝶たちがびっしりと貼りついていたからだ。悪夢だ、これは。夢なら覚めてくれ。黒と青の巨大な蝶たち。不気味なほどだった。
ジェイムスはカーテンをふたたび元通りに閉ざした。とても素面では見ていられない光景だった。心拍数が指数関数的に上がっていく。しばらく座り込んでいたジェイムスは無理やり体を起こしてドアへと駆け出した。木のドアに鍵はかかっておらず、簡単に開けることができた。
奴が立っていなかったとしても。
ああ。ジェイムスは短く叫んだ。後ずさろうとしたところを阻まれる。首を片手で掴まれたせいだ。かはっ。呼吸も絶え絶えに息を吐く。強さを増していく握力とは反対に、体の力は抜けていく一方だ。目に涙がこれでもかと溜まっていよいよ意識を手放そうとしたとき、奴はジェイムスから手を放した。明らかな愚弄だった。自分を殺すことができるにもかかわらず、なおも弄ぶつもりで放したのだ。ジェイムスは空咳をしながら喉元を握りしめた。ほとんど吐きそうなほど咳きこんでいた。涙がぱたぱたと床に落ちる。奴から感じられる余裕の風情。奴の服に染みついた血。ジェイムスはちらりと奴を見上げた。巨大な鉄製のピラミッド頭。こちらを見下ろしたまま微動だにしない。確かに死んだはずだった。その喉を長々とした槍で貫いたはずなのに。奴が動く。ジェイムスは少しずつ悟りはじめた。
罪人よ。
お前の罪から逃れることはできない。
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