頻子
2024-08-20 12:02:07
1784文字
Public KODR二次
 

カラオケいこうぜ(KODR)

(オチはないよ)
ベーケス2世、ウルハム、ゾービナス
+ニュート、デビイ



 ベーケス2世は水平に横たわってじっと目を閉じている。環境は悪いが、疲労が勝っている。ソファーの寸は足りないので足がはみ出るし、ずっと音楽が鳴っていてやかましい。そのうえ、ゾービナスとウルハムがうるさいが、空調があるからよしとする。
『カラオケに来たなら歌えーっ! ですわー!』
 マイクを持ったゾービナスがシャウトした。わんわんと頭が鳴った。
……うるさい」
 フンっと鼻を鳴らしたベーケス2世は、きゃんきゃんと騒ぐゾービナスの声が聞こえないほうに耳を隠して、ごろっと寝っ転がる向きを変えた。ちょうどよい物体があったので、ならして枕にする。
「あの、2世が枕にしているカバン、僕の……
「だから?」
「ええ……?」
「だから、なんだ? 文句があるのか?」
「いや……
「きーっ!! あいつムカつく! ムカつきますわー! せっかくカラオケに誘ってやったのに! なーんもしないで寝っ転がってるだけですわ!」
「な、なんで僕を叩くのさ、ゾービナスったら……
「犬! やっておしまい! ……GO!」
「まあまあ、ゾービナス。2世も疲れてるんですよ。ニュート様の接待で……
「ニュートのせいじゃないっ」
「2世もほらー、歌わなくっても、食べ物とか……飲み物とか……ありますよ?」
……俺は、ニュートが来るっていうから来てやったのに……あいつはちっとも来ないじゃないか!」
「来れたら絶対に来るって言ってましたもの!」
「来なかったら絶対に来ないじゃないか」
「来るの!」
 そうしているあいだにも曲の採点は終わり、よく知らないインディーズバンドの宣伝が流れてしまった。
 ゾービナスから押し付けられたマシンをピッピっと適当に操作するベーケス2世だった。
「あっ曲! 入っちゃった。歌っていい?」
 ウルハムはとりあえず不都合な言い合いに背を向けて、気持ちよく三曲歌った。ゾービナスも一曲歌った。
 ブルブルとウルハムのスマートフォンが振動する。
「! きっとニュートちゃまですわー!」
「あ、歌の途中……あの、続き歌っていい?」
「くそ、生意気にロックなんぞしやがって……
「犬! お手!」
「僕のスマホなのに……
 せっかく画面を開いたはいいが、操作がよくわからなかった。
「ウルハム!」
「はいはい……
 歌い終わったウルハムが取り戻す。
「で、ニュートは?」
……なんか、魔界王様につかまっちゃって、遅くなってるらしいですよ。あ、2世、今ぼそっとひどいこと言ったでしょ。魔界王様に……
「言ってない」
「うそつき、うそつき」
「もうすぐつくーって!」
「さっきだったから、そろそろじゃないかなって思うんですけど。あ、ニュート様……
 ガチャ。
 扉が開いて、ニュートがやってきたのだった。
 変わり身の早い吸血鬼はぱっと起き上がると両手を広げた。
「ニュート、待ちくたびれたぞー!」
「どこから出してるんだろう、この声……
「とんだインチキ詐欺野郎ですわっ!」
 ニュートの後ろから、同じくらいの背の人物がひょっこり現れた。
「みんな、お待たせ。邪魔してよかった?」
「デビイー! きゃー! デビイも来たんですのね!」
……お、なんだなんだ、ニュートは今日は一人じゃないのか? どうりで一人でこれたわけだ……いたっ。悪かった、悪かったって。ほら! 何歌う? 飲み物頼んでやるから。軽食も食べるか? なっ?」
「で、デビイかあ……
 ちょっと微妙な顔をするウルハムだった。デビイのことがニガテなのだ。
「デビイなら大・歓・迎ですわー! ニュートちゃまはゾービナスの向かい側ですっ!」
「でもこの部屋、5人だと、ちょっとせまいなあ……え? 心配いらないよ、ですって?」
 デビイは天才だから、その場で浮いたりとかもできるのだ。
 デビイは空中に腰かけると、やってきたフライドチキンを浮かせて食べている。
「きゃー、共食いですわ!」
 何の話だろう? とニュートは首をかしげる。デビイはにこにこしていたので、なんとなく納得してしまった。ベーケス2世はずっと考えているようだ。
「? あ、小さいから……?」
「気にしないで?」
「すごい! 666点ですってー!」
「壊れてるんじゃないのか?」
 とりあえず、みんなで楽しく歌ったのだった。