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三毛田
2024-08-18 14:50:38
3971文字
Public
穹丹
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可愛いは罪
Bluesky上の企画、#とっておき穹丹 に参加させていただいた企画
お題:【和メイド】
着物と袴の参考:
https://eight-hakama.com/
「穹、これは」
「着物ってやつだったと思う。下は袴だったかな?」
柄は確か、えーと、上が万寿菊? ってので下のは緑刺繍ってやつだった気がする。
なのの部屋が一番広いので、届いた箱の中身を広げてそれぞれに振り分けて。
先に丹恒に着せると、若干不満そう。
もちろん、服を脱いで下着が隠れるまではなのに目隠ししてもらった。お手数おかけしました。
女性物らしいけど、美人な丹恒によく似合っている。
「丹恒、動かないでね。今髪の毛整えるから」
「そもそも俺は、これを着せられる理由を聞いてない」
「丹恒、飲月の姿で角だけ隠せる?」
「三月、話を聞け」
なのは、丹恒の髪をアレンジしようとして長い方がいいと思ったのか飲月の姿になるように告げている。
俺? 俺は今、自分の衣装を着るのに忙しい。
上は黒龍波っていうのを見て、これ! 最高! ってなって。白っぽいし黒もあるから大丈夫。だと思う。からしって色に、黒ぼかしという柄の袴。
なのは、水色桜に手鞠、白い袴。普段の服と同じカラーリングなので違和感はなさそう。
「なのは可愛いけれど、俺も美少女だから女性物でも似合ってるよね」
「はいはい。アンタも後から髪の毛やるから着替えたら大人しくして」
「はーい」
衣装の送り先は、知らない場所。
箱には、着物と袴、ショートブーツ(しかも、サイズピッタリ)のほかにフリフリのエプロンも入っていたのは、二人にはまだ言っていない。
箱に入っていた着方の通りに、着ていく。丹恒に着せてみたけど、自分で着るのは結構難しい。
なのはヘアアレンジのための道具を選別したりメイク道具を用意したりで忙しいし、俺も自分の方に忙しい。
どうあがいてもこの状況を変えられないと悟った丹恒は、ため息を一つついて姿を変える。
「ロングの方がヘアアレンジしやすいね。メイクもするから」
「別にしなくても」
「丹恒は美人なんだから、もっと綺麗にしても罰は当たらないよ!」
力強く頷くなの。俺を見る丹恒からは、戸惑いが。
「丹恒は可愛いし、美人だよ。なのの言う通り、どれだけ綺麗にしても大丈夫。俺が保証するよ」
頬を撫でながらじっと目を見つめ告げると、ほんのり頬を赤く染めて視線を動かす。
「キスしていい?」
「これからメイクするから、駄目!」
これだけ騒いでも、姫子もヴェルトも止めに入ってくる様子はない。まあ、二人ともラウンジにいて俺たちはなのの部屋で騒いでるからっていうのもある。
丹恒の番が終わるまで、大人しく待ってよう。
「これでよし」
「めっちゃキスしたい
……
」
「穹、紅が取れるから駄目だ」
つやつやぷるぷるの赤い唇はとても魅力的で、いつもの赤いラインが際立つような、可憐にも見えるアイメイク。
さすがに雑誌で見たようなまつ毛バシバシではないけれど、長い睫毛は軽く上がっていってぱっと見美女だ。
「穹はどうしよう。白と黄色だからなぁ」
と、丹恒の髪を二つに分けてそれぞれ三つ編みおさげにしながら。
髪色と瞳、それから着物と袴のことを言っているのだろう。
「穹は可愛らしくすればいい。そうすれば、俺と差別化できる」
「なるほど! じゃあ
……
うん、決めた!」
三つ編みにされた髪は、今すぐにでも解けてしまいそうで。だけど、どんな技術を使ったのかわからないが、毛先で止められたアクセサリーは微動だにしない。
「穹、動かないでね」
「はーい」
丹恒の髪を全部三つ編みにし終えると、今度は俺を座らせてメイクを施してくれる。
視界の端で、丹恒がそわそわと落ち着かない様子で三つ編みを掴んでいる。何それ可愛い。
「よし、出来た!」
数分だか十数分経った頃、なのが出来た! と口にして。
「流石俺、美少女」
鏡を見ると、薄く化粧をされ更に美少女になった俺が。
丹恒と同じく、まつ毛は軽く上げられているだけ。まぶたは、キラキラと派手目で、うっすら緑が乗っている気がする。よく見ないと分からない程度だが。なのを見ると、親指を立ててウインク。なのでこちらも親指を立てて返事をしておいた。
「はいはい。他に着るものは?」
と言われ、存在を忘れていたエプロンを渡すと丹恒は顔をしかめる。
「後、これも頭につける。丹恒美人すぎてキスしたい。駄目?」
「だーめ! これで何度目? リップ塗り直すのウチなんだよ?」
「はいはい」
着方の紙にはホワイトプリムって書いてあるそれをなのに渡す。と、彼女は器用に丹恒の頭につけて。
「次は穹」
「お願いします三月様」
「お任せあれ」
丹恒は恨めしそうに俺たちを睨みながら、また三つ編みおさげで口を隠している。
「おお。ますます美少女に磨きがかかったね」
髪が短いから、ちょんとツインテールになっている。そして、てっぺんに輝くホワイトプリム。
それがずれないようにエプロンをつければ、完成だ。
「フリルエプロンじゃん!」
「でも、似合ってるだろ?」
「似合ってる似合ってる。ウチも着替えるから、廊下で待ってて」
「はーい。なの、ありがとう」
「どういたしまして~」
着方の紙を渡し丹恒の背中を押して、廊下に出る。
「穹は、どうしていつも強行する」
「えー? だって、素敵な格好の丹恒はいくらでも見たいからさ。で、俺は可愛い」
「お前はいつだって可愛い」
おさげから顔を上げず、ちょっとボソボソと。
真っ赤になっているであろう耳は、おさげにされているからかよく見えず。だからか、いつもより人外みは薄い。角がないのもあるだろう。
「ブーツもさ、そこまでヒールが高くないから歩きやすいね。身長は結局そんなに変わら
……
丹恒、浮いてるでしょ」
俺より少しだけ目線が高いことに気づいて告げれば、ぷいっとそっぽを向く。下を見ると、案の定ブーツが床から浮いていて。
ラウンジへと向かう前に、資料室へ入る。
「穹?」
後ろから抱きしめ、髪の分かれ目に唇を落とす。
「んっ」
意外と首が弱いから、すぐに声が漏れ出て。
軽く歯を立てたり吸ったりすると、腕の中でモゾモゾと動いて。
しばらくキスをしていれば、自然と足は床に。
袴の隙間から手を入れ、太ももを撫でる。
「きゅ、だめだ
……
服を、汚してしまう」
「えー? なんで?」
理由を問いかけても、首を横に振るだけ。おかしい。
太ももを撫でていた手を、そのまま上へと伸ばすと異変に気づいた。
「えっと、丹恒先生?」
「お前がくれた下着を、身につけていたのを、忘れていた
……
」
ボソボソと、かろうじて聞き取れる声。
俺の指先が触れているのは、普通の下着よりも薄い布地。それこそ、少しでも濡れればすぐに染み出してしまうようなもの。
それは、丹恒が身に着けてくれたら嬉しいなとネットでポチって、数日前に手渡したばかりのセクシーランジェリーだ。
「なんでよりにもよってっ」
「それはこっちのセリフだっ」
慌てて手を抜く。
未だに送り主不明のこの衣装を、汚すわけにはいかない。それに、廊下から俺と丹恒を呼ぶなのの声が聞こえている。
「やっぱりここにいた! あ、穹!」
どうやら、丹恒をの首にキスしたのがバレたらしい。いや。首にキスしたことがバレたというか、唇から口紅が落ちていることに気づかれたというべきか。
「何かしたでしょ! おやつ食べたりした?」
「えーと
……
」
正直に答えようか迷って、つい丹恒の方を見てしまった。そして、俺の視線を追ってなのもそちらを見て。
「ちょっと! 丹恒の首が赤い! よく見たら、唇の形してる! 穹!!」
うなじにキスされたことに気づかれ、丹恒は耳も首も真っ赤にしてまたおさげで口を隠す。
なのは俺をキッと睨むと、慌てたように資料室を出ていき。そして、戻ってきた。手にはポーチ。
「丹恒、ごめんね。首触るけど大丈夫?」
「ああ」
「じゃあ、そのまま髪の毛をおさえといて。冷たいのが触るよ」
「わかった。三月、手間をかけてすまない」
「悪いのは穹だもん!」
丹恒の首をウェットティッシュみたいなので綺麗にし、それから同じものを手に俺の方へ来て。
ぷんすこ怒ってるのかと思ったが、笑っていた。目は全く笑っていないが。
「大人しくする!」
「はい」
逃げることもせず、大人しくされるがままに。
ウェットティッシュで唇を綺麗にされ、リップを塗られその上から口紅を塗られる。
「もう。写真撮るから、早くラウンジに来てね!」
「仰せのままに」
まだちょっと怒った様子のなのを見送り、少ししてから手を繋いで資料室を出る。
「ねえ、丹恒」
「どうした」
窓ガラスに映った俺は可愛い。そして、丹恒はいつも以上に美しい。
「可愛いって、罪だと思わない?」
「そうだな。今のお前はとても罪深い」
「丹恒も美しすぎて罪深いよ」
そう告げると、少し嬉しそうにふっと笑みをこぼして。
出会った頃よりも、自己肯定感が上がっている。俺が褒めると、素直にそれを受け入れてくれているのが証拠。
「じゃ、行こうか。もう行かないと、なのに怒られちゃう」
「もう既にお前に対してお冠だけどな」
と言いながら、少々苦い顔。
「うっ」
「後からでいい。ちゃんと謝れ」
「はい」
頷いて、ラウンジの方へ向きを変えて。
扉を開けて三人の元へ行こうとして、人の気配を感じてそちらを見る。
「おや」
「あ」
「穹?」
足を止めた俺を不思議そうに見る丹恒が、来訪者に気づいて客室車両まで逃げ込むまで後五秒。
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