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きよ
2024-08-18 08:37:54
3202文字
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キャンディ・ポップ・パニック
テスデイ 生存if
二人がデアに所属している謎時空
感情が可視化される霊基異常が起きてしまい、それはかの全能神も例外ではなく……の続きそうだけど続きは今の所無い話
相変わらずのラブコメです
なんでも許せる方だけどうぞ
カルデアでまたトンチキな霊基異常が起きた。
ぱらぱら、ぱらぱら、廊下に散らばるのは色とりどりのキャンディ。
赤、青、緑、黄色などのビビットカラーなものも、ベビーピンク、ラベンダー、スカイブルー、ミントグリーン、レモンイエローなどのパステルカラーも、ビー玉のように透明感があるものも、形も大きさも様々な飴がどこに行っても落ちている。
『サーヴァントの感情が可視化されたもの』
それが、シオンとダ・ヴィンチの導き出した答えだった。
例えば、赤は怒り、青は悲しみ、黄は喜びなど、色で決まっている。だが、それはサーヴァントによって個体差があるらしく、全員に当てはまるわけではない。
「もうすぐハロウィンだもん、仕方ないか」「成分も普通のアメとほとんど変わりませんし、問題ナイナイ!」才女二人があっけらかんと藤丸に伝えれば、それならよかった!とにこにこしている歴戦のマスター。が、そう簡単な問題では無い神が一柱。
「いいワケないだろ?」
異常に慣れきったカルデアの上層部を一喝したのは、かのアステカの全能神・テスカトリポカだった。
彼も類に漏れず血のように赤いキャンディを四方に飛ばしている様は、ポップで可愛いといえば可愛らしいが形が鋭利で血飛沫のように見えなくもなく、笑っていた藤丸はびしり、と固まる。
「戦いの中で感情が筒抜けなんてのは、自殺行為だ。レイシフトを全くしないというなら問題ないかもしれないが、今は特異点が発生しているだろう?」
「うっ!そうだよ、ね
……
」
怒りを露わに、それでも意見は冷静に。
ただ、その意見で素直に納得したのは藤丸とマシュの二人だけで、シオンたちは顔を見合わせてから、何処か芝居掛かった声で「テスカトリポカ神がそういうなら、がんばろう藤丸くん」とダ・ヴィンチはにっこりと笑った。
テスカトリポカはテスカトリポカで盛大に舌打ちをするとオレは不参加だと言わんばかりに、文字通り煙のように消えてしまった。
先ほどの怒りのキャンディを大量に残して。
「あーあ、拗らせてますねぇ」
困ったように両手を上げるシオンは言葉とは裏腹に楽しげで、藤丸たちはまた首を傾げるのだった。
ところ変わって、テスカトリポカの黒い煙はマスターたちの居住区へと現れると、すぐに人の形を作る。ここはクリプターたちのサーヴァントしかほぼ出入りしないためか、落ちている飴の数は食堂などに比べたら圧倒的に少ない。
それでも、赤、青、黒の宝石のようにカッティングされた指先ほどの大きさのキャンディがここ、デイビットの部屋の前に大量に落ちている。
忌々しいとばかりに、ばりん、と音を立てながらその飴を踏み潰すとテスカトリポカは扉を開けた。
と、同時にびしりと固まった。
下着に黒いシャツを羽織っただけのデイビットは、しっかりと筋肉が付き、芸術品のように滑らかなその素肌を惜しげもなく晒していたからだ。しかも、昨夜の
情事
魔力供給
の跡を隠そうともしない。
デイビットは、先ほど話題になった特異点の情報をタブレット端末で閲覧しているらしく、こちらには見向きもしない。
「おいおい、デイビット。服を着てからにしろ」
「
……
あぁ、帰ったのか」
おかえり、テスカトリポカ。と律儀に挨拶をするくせに、デイビットは全くテスカトリポカの意見を聞き入れることはない。忙しなく動く瞳と指先は止まる気配がない。
ぽろぽろ、とテスカトリポカから黒いキャンディが零れ落ちる。
よく見れば、デイビットが腰掛けている昨夜のままの乱れたベッドにも同じものが散らばっている。
ブラックダイヤモンドのように美しく隙のないカッティングを施されたハート型のキャンディが、テスカトリポカからぽろぽろ落ちている。
他のサーヴァントとの違いとして、テスカトリポカのキャンディはその時々でどの側面が強く出ているかによって色が変わる。個体差ってやつだ。まぁ、それくらいはどうって事ないのだ、この神にとっては。
ちなみに先ほど藤丸たちと対峙していた時は『赤』の側面が強く少し『黒』が混じっていた。
今のキャンディの色は黒。つまり、今は黒のテスカトリポカがデイビットの目の前にいるというワケ。
しかし、この形が大きな問題だった。まぁ、丸や四角、先ほどのようなナイフのように鋭いものならなんの問題もない。
ただ、ベッドやデイビットの周りに散らばるキャンディの形はハートだった。
ハートなんてあからさまな形のせいで、隠していた
デイビット
相棒
への愛情は恐らく筒抜けだろう。
零れ落ちる感情をなんとか隠そうとするテスカトリポカは、心底嫌そうに舌打ちをする。
煙草を咥えてどっかりとソファーに座り込んで、指をトントンさせながら、気を紛らわそうとしているもうまくいかずにまた飴がこぼれた。
苛立つテスカトリポカを気にもせず、一通り情報に目を通し終えたのだろう、デイビットは相変わらずの格好でこちらに近づいてくる。
「
……
テスカトリポカ」
「どうした?」
「オマエはほとんど黒いキャンディしか出さないようだが、カルデアの解析したデータに黒の報告はない」
「黙秘した。プライバシーの侵害だろ」
「色はオマエの側面と関係あるのだろうが、形が毎回違う。つまり形が感情を表している」
そう仮定した、デイビットはこちらの瞳を覗き込んで、隣に腰掛けた。肌が触れるほど近く。
「っ
……
!!」
ぱららら、とソファーに落ちる黒い飴。もちろん形はハート型。デイビットはその飴を一粒拾い、テスカトリポカの目の前にかざした。
「ハート型、これは
……
」
「
……
勘弁しろ、デイビット」
公平な神に在るまじき感情を知られた。ただ、それだけでテスカトリポカは目を泳がせた。
その様子に何を思ったか、デイビットは小さな溜息を吐いた。
「
………
やはり、オレの心臓が欲しいのか」
「
…………………………
は?」
「テスカトリポカ、全てが終わったら心臓と言わず魂も何もかもおまえに捧げよう」
ただ、まだその時では無いから申し訳ないが待っていて欲しい、こちらを見据えて真摯に告げるデイビットに、テスカトリポカは拍子抜けする。
同時にこんな分かりやすい愛情を素直に受け取らないことに理不尽にも腹の底がムカムカして来てしまって、眉間に盛大にシワを寄せる。子どもか。
ぱらぱら、と落ちたキャンディは先ほど管制室でばら撒いたものよりは鋭角的では無いが、怒りを表す形であることには変わりない。
それを拾いあげると、デイビットは困ったように眉を下げた。
「違う、のか?」
「はぁ。
……
オマエの鋭い観察眼も、今回は役に立たないようだな」
わざわざ教えてやる必要は無い。だが、少しくらいは意識してもいいとテスカトリポカ思うワケ。
今も、昨夜セックスした時に付けた鬱血痕や噛み跡を気にもせずに、無防備にこちらに近づいてくる。魔力供給と言いくるめているテスカトリポカも悪いかも知れないが『男の欲』に鈍感すぎるんじゃないのか?相棒は。
「おまえの感情を汲み取れないのはオレのマスターとしての力量不足か」
「そうじゃない」
マスターとしての経験はこの感情には一切関係ない。強いて言うなら人生経験だろうが、この男は必要無いと切り捨てられるだろうもの。テスカトリポカとて
今は
・・
不要だと言って後回しにするもののはずなのに、この理不尽な苛立ちは何だ?
「分かった。言いたく無いならそれでいい」
「
……
あぁ、悪いな」
自身に生まれた初めての感情の整理に忙しく、深い紫の瞳にゆらりと揺らいだ感情を見逃してしまった。
テスカトリポカはこの時の自分を心底許せないと後悔することになる。
to be continued?
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