molotov
2024-08-14 10:08:04
2914文字
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I'm lovin you

M/s
出会編、ほぼMの独白。



彼との出会いは、突然でもなければドラマチックなものでもなかった。
組織が統合されるにあたり単独で動ける部下を探していた時だった。
偵察ができて、長距離狙撃も長けている彼は情報収集に特化してる僕の仕事にとても重宝すると確信していた。
だから来歴を見てからすぐに会いに行ったんだ。

喫煙所の角でタバコを吸っている彼に、火を借りる。
隙のない佇まいに、無駄のない所作。負傷して一時的に前線から退いていたと聞いていたが既に復帰済みのためブランクもないようだ。
「君がscout?率直にいうと君を引き抜きたいんだけど、どうかな?」
すると、彼は
「興味ない。アンタ戦いが好きじゃないだろ」
そう言って初対面のボクを鼻で笑って、それ以降は何も聞き入れてもらえなかった。

参ったな、断れることは想定していなかった。
それに、戦闘面において自分が優れていることを自負していたが、そんなことを言われたのは初めてだった。
何故だかボクが戦いを好きではないことを一瞬にして見透かされてしまったのだ。
ボクは是非とも彼を自身の部下にしたくなった。

これを知るのはしばらく後の話になるのだが、どうも彼はこと戦闘に関しては異常なまでに執着している。
戦うことを好んで、戦地に身を置いては、戦闘の中に生を見出している。
そして彼が他者を認識できるのも戦いの中での方が遥かに効率が良かった。
頻繁に掃除屋のスケルトン君、かくれんぼが上手なスケルトン君たちと模擬戦をしているのを見るが、彼らとはそれなりに交流しているように思う。
ぶっちゃけ妬けるね。
前に一度ボクも混ぜてもらおうとしたけどscoutには断られたし。
だから、戦闘面で関わりがない僕が彼に認識してもらうまではかなり時間を要したんだ。

仕事は引き継ぎやら配属などの書類仕事が山積みで大変だったけど、出来るだけ毎日彼と顔を合わせるようにした。
彼は基本的に喫煙所にいたり、歩哨に配備されたりしていたので特段苦ではなかった。何よりボクは他者の行動パターンを把握するのが得意なので、彼が定期的に飲みに行くパブを見つけるのもそう時間はかからなかった。
最初は声をかけてもこちらをチラリと見て、ほぼスルーだったからその頃彼にとってボクは本当に興味がなかったんだろうな
しばらくはそんな状態だったが、ある日ボクが彼への気持ちに気づく事件が起きた。

その日も仕事が山積みで、更にはトラブル続きだった。彼の行きつけのパブに向かうのがいつもより遅くなってしまった。
彼はカウンター席にいる事が多いのだが、その日は店内のどこにも見当たらなかった。
彼の行動パターンを把握しているつもりではいたが、まあこんな日もあるか、と納得して帰ろうとしたが店の一角の扉から彼の声が聞こえたんだ。

っぅ」
本当に小さい声だったから聞き逃してもおかしくなかったが、確かに彼の声だった。
不審に思って少し開いた扉を覗く。
彼だ
「はぁ、はあっ」
しかも背後から男に組み敷かれている。
なぜ?どうして?
頭にたくさんの疑問符が浮かび、ソウルが締め付けられるように感じた。
そして気づくと、既にボクの手は扉のドアノブに掛かっていた。
ガチャ
先ほどまで情事に夢中になっていたであろう男は冷水を浴びせられたような顔でこちらを向く。
「おいおい、今はお楽しみ中なんだ、アンタもここにくるなら分かるだろ?」
scoutへ視線をチラと移すが、机に突っ伏しており状況が伺えない。
彼がすんなりと他者に身体を好き勝手させてるとは到底思えないいや、思いたくなかった。
「お楽しみ?それは彼もかい?」
「は?こっちはコイツに誘われたんだぞ」
そんなわけがない。
「命までは取ろうと思わないけど、引いてくれると助かるんだが」
「おい、人の話を聞けよ!」
「2度は言わせないでくれ」
狼狽えてる男を壁に追い込み、圧をかける。
「くそ!なんなんだよ!」
ボクの様子に慌てたように男が部屋を後にした。
さて、彼は大丈夫だろうか
カチッシュボ
当の本人はといえば、ちょっとした修羅場だったにも関わらず悠長なことにタバコを吸い始めている。
認めたくないが、どうやらボクは盛大に勘違いしたらしい。
scout?もしかして、本当に合意だったのか?」
……だったらなんだ」
彼は深く吸った煙を吐き出し、気だるそうに乱れた制服を整え始める。
「ボクはてっきり……いや、まさか君が誰かと身体の関係を持っているなんて」
「アンタに関係ないだろ」
彼にしては珍しく、被せ気味に返された。
そう、確かに関係ない、それは彼が正しい。
今までは
でも、ボクは気づいてしまったんだ。
「そんなこと言わないでくれ
机に突っ伏して小さく肩を振るわせていた彼を頭の中で反芻させる。
君をそうさせてる相手はどうしてボクじゃないんだ。
ただの仕事相手であればこんな事思わないだろう。
あぁ、ボクは彼のことを
「ボクは、君のことが気になって仕方ないんだ
「はは、趣味が悪いな」
自潮気味に笑う彼の口端から八重歯が見える。
部屋から出て行こうとする彼の腕を引くと、思ったよりも簡単にこちらに引き寄せることができた。
「待ってくれ、scout」
「はぁ勘弁してくれ」
表情はフードで隠れていて、彼特有の抑揚のない喋りが一層冷たく感じる。
とん
scoutを壁と腕の間に閉じ込め、顎を持ち上げる。
成すがままで抵抗がないが、他の男にもこうだったのだろうか。そう思うだけでソウルがキュウと締め付けられる感覚がした。
「scout」
コツン
何度か触れるだけのキスをし、口に舌を割り入れ、深いキスをする。
scoutが好んで吸っているタバコの味だ
癖のあるタバコを吸っているなと思っていたが、こんな味だったのか。
彼の顎を押さえる手はそのまま、もう片方の腕で彼の背骨を服の上から撫でる。
腰椎に腕を回し、身体ごとこちらに引き寄せる。
「ん
上顎を撫でたり、舌を絡めたりしてからの口内を堪能
していると、くんっと服の襟が引っ張られる。
ここに来て初めての反応だ、と思ったのも束の間。
がぶ
「っん゛!?」
急な痛みに思わず口を離す。
「しつこい」
べぇっと舌を出してこちらを挑発するかのような彼。
するり、と彼はボクの横をすり抜けていく。
ドアの開閉音が部屋に響き、scoutが出て行った事を知らせるがボクはその場を動けないでいた。

あんなの、初めてだ

彼は今までお付き合いしてきたどの淑女達よりもボクのソウルを高鳴らせた。
彼は他者を寄せ付けない雰囲気こそあったが、こちらからリアクションすれば拒絶はしなかった。
先ほどのキスもそうだ
彼はどこまでボクが好意を注ぐことを許してくれるだろうか。一度考え始めてしまったら、ボクの頭は彼でいっぱいになってしまった。
もっと彼の様々な面を見たいし、色々なところに触れたい。
あぁ、その為にはまず配属申請を通さねば

そして彼に噛まれた舌は、まだビリビリと熱を持っていて甘い