こゆ
2024-08-13 22:48:00
2277文字
Public
 

ただの幼馴染

「○○のそういうとこ嫌い」
っていうお題の話

※付き合ってないペンシャチのペンギンがシャチの彼女にちょっかい出す話(n回目)
※それぞれ女との絡み匂わせあり。彼女とかセフレとかいる回想あり。モブ女も夢女も出てきません終始ペンシャチです。
※貞操観念なし
※現パロ・大学生
※こちらは二次創作のフィクションです。公共の場所でセックスを容認する意図はありません

性愛感情ありなしはふわっとおまかせですが世界で一番互いが好きな共依存と独占欲がまざってるペンシャチです(付き合ってない)
この話何回目〰︎?って話ですがまだまだ書きます







ガチャガチャバタバタとうるさくシャチが勝手に部屋に入ってくる音が響く。家主から鍵を渡されているので、珍しいことでもないが、ドカドカと響く足音がシャチの感情を物語っている。

この部屋の主のペンギンはソファにくつろぎ、怒り心頭といった様子のシャチを見上げた。

「おかえり、シャチ」
「ペンギン!また俺のカノジョに手ぇ出しただろ!」
……あ゛?」

開口一番、シャチの口から出て来た「カノジョ」の言葉にペンギンの機嫌は一気に急降下した。
しばしの沈黙。
ペンギンが「あぁ、昨日のアレか」と思い至る。ついでにむりやり参加させられた飲み会の様相を思い出して顔を思いっきり歪めた。

「言っとくけど俺は手ぇ出された側だ。どこがいいんだよあんなの。化粧で底上げしまくった顔に頭痛がするようなキンキンする声、おまけに俺がお前の幼馴染だってわかったうえでシナってきたぞ。よくある定型テイクアウト専用バカ女。最初学食で紹介されたときから相当なクソビッチだなとは思ったけど、ヤリたいだけだろあんなの。どうせ俺とかシャチとヤったっていう経験値で悦ってるタイプだ。しかもトイレだっつーのに声はでけぇし、鳴き声は下品だし。これはシャチがカワイソーだなって思って切ってやったんだよ」 

ペンギンは澱みなく、淡々と言い切り、最後に当たり前のように恩を着せてくる。よくもそんなに一息で悪口が出てくるなとシャチは関心さえした。良かったな、とでも言いたげな顔。思わず「ありがとう」の言葉が出そうになったのを、ぐっと堪える。
一瞬ひるんだことで生まれた間。
ペンギンがこれでおしまいにしようとしてる気配を感じとり、シャチはひとこと言わねばと一歩踏み込む。

「もう……!だからって、それは俺の問題でこっちでするから!いま、ペンギンのせいで学校で俺がビッチに捨てられたみたいな流れなんだけど!?」
「ははっ、ほっとけよそんなの」
「ほら!!」

シャチがペンギンの前にずいっと出したスマホの画面。

『好きな人ができたので別れて欲しい』

スマホに表示された媚のかけらもない無機質な通知。
シャチが彼女に別れを切り出されたのは一時間前。スマホの画面に表示されたよく見るお別れの文面。
別にとりたてて未練があるわけではないが、昨日までやれ学食で待ち合わせしようだの、友達の誕生日会についてきて欲しいだの、学内でやたらベタベタとしてきて、ちょっと度がすぎる程だった。
こちらへの好意が見え過ぎるほどで。
こうやってペンギンの部屋に入り浸ることで彼女からの誘いを断ることすら、彼女はひどく嫌がっていた。
そこが少し煩わしいなと思っていたのも事実だ。
しかし、シャチは彼女の前でそんな態度はおくびにも出していなかった筈だ。

シャチは自分が振られる羽目になった理由の検討はついていた。
『好きな人が出来たので別れて欲しい』の文言のメッセージには心当たりがあり過ぎた。
そして、ペンギンの部屋に乗り込んできたのである。

「ははっ、好きな人だってウケる」

不愉快そうにペンギンが笑った。
過去にも、シャチが付き合っていた彼女、セフレ、良い感じの女友達、それらがペンギンに流れていったことはあった。決して初めてではない。
というか、前回も前々回のときもそうだ。
そのせいでもっぱらシャチの交際は長く続いた試しがない。そのくせにペンギンは一度寝たらすぐに飽きるのか、やっぱ別れるわ、とすぐに別れてしまう。別れてしまえばどんなにしつこく食い下がってこられても二度とその女とは会わない。
女達が焦ってシャチに連絡してきたところで時すでに遅し。シャチがその相手にまだ未練があったとしても、ペンギンのお下がりとなってしまった女には戻るわけがない。

「いいじゃんクソビッチだってわかったし。クソビッチはシャチとも俺ともヤれたし。シャチはクソビッチとサヨナラできたし、俺はシャチとの時間が取り返せたし。あれ、誰も損してなくね?」
「損得の問題じゃねーよ!なんなんだよお前、変な女とすぐにヤるなよ!」
シャチはプリプリ文句を言いながらペンギンの側に寄ってこない。いつもは帰宅したらすぐにペンギンの隣にベッタリくっついているのに、今日はまだギリギリ触れない距離にいる。
ペンギンはそれが面白くない。
シャチが近くに来ない。
ソファには渋々座ったものの、シャチはむうっとむくれてそっぽを向いている。
しかたねーな、とペンギンは重い腰を上げてキッチンへ向かう。
「シャチ」
手にはプリンとスプーン。隣にピッタリとくっついて座り直す。シャチの前に、いそいそとプリンの蓋を開けて差し出す。
……あんだよこっち来んな……ンぐっ」
ペンギン手に持っていたスプーンでプリンを一口分すくい、シャチの口に突っ込んだ。突然口にスプーンを突っ込まれたシャチは、そのプリンが自分の好きな店の数量限定の味だと気づく。
そして、ペンギンはシャチの口でプリンが溶けたのを見届けると、シャチの口から抜いたスプーンをペロリと舐めた。
「はぁ、もう……そんなので誤魔化せると思うなよ。ほんと、ペンギンのそういうとこ嫌い……
シャチのその言葉にペンギンは満足気に頷き、シャチの腕を引っ張り優しく唇を重ねる。

「俺はこんなにシャチのこと好きなのになァ」
「うざっ、もう、……もう!」

シャチの返事にペンギンは涼しげに笑った。
ペンギンが何故か嬉しそうに笑うので、シャチはまぁいっかっと、プリンの続きを催促するように「あ」と、口を開く。