三毛田
2024-08-13 11:57:24
1062文字
Public 1000字
 

18 08. 空回りな情熱の行方

18日目 着地点はハッピーエンド

「丹恒が好き!」
「それは、あの黒髪の青年のことか」
「そうです! うう……すごい好きなのに、全然伝わらない……
 バー・ナイトメア。シヴォーンにカクテルを提供してもらい、調査をしていたレイシオを捕まえて話を聞いてもらう。
「店主、スモール、氷少なめ。スイート、まろやか、さっぱりで頼む」
「任せて。穹は?」
「精製浮羊乳多めで、それ以外はお任せ」
「わかった。ちょっと待ってて」
 俺に教えてくれたように、でも、俺より手早く作り上げて目の前に提供してくれる。
「シヴォーン、ちょっとうるさくなるけど大丈夫?」
「あたしが移動して他のお客に提供するから、好きなだけ話せばいいよ。お代わりが欲しくなったら、いつでも言って」
「ありがとう……
 べしょべしょになりながら、作ってもらったドリンクを飲む。
 レイシオも一口飲んで、満足そうに頷く。
「君は、僕が思う以上に人脈が広いな」
「そう?」
「ああ。いいことだ」
「レイシオに褒められた?」
「そうだな」
「そっかぁ。ありがとう」
「どういたしまして」
 レイシオにしては、優しい視線を向けてくれる。
「君があの青年が好きであるということは、わかった。それで、どうしたいんだ」
「俺の好きを受け止めて欲しい」
「恋仲になりたいということか」
「それは最終目標。丹恒に、もっと自信を持ってもらいたいんだよ。俺の好きが一番強いだろうから、それを受け入れられるようになれば他の人からの好意も受け入れられるようになるかもって」
「ふむ。君の主張はわかった」
「でもねぇ、駄目なんだよ……
「こら。一気に煽るな。カクテルの度数は見た目より高いんだぞ」
 メガサイズの半分くらいを一気に飲み、呆れた顔のレイシオに止められた。
「俺が悪いんかな。どれだけ好きでも、空回ってる気がする」
「だ、そうだ」
「ふえ?」
 視線が動いたのでそっちを見ると、顔を真っ赤にした丹恒。
 レイシオを見るも、素知らぬ顔で残りを飲んでいる。
「穹、帰るぞ」
「たんこぉ、大好きぃ」
……俺も好きだ。だから、ほら」
「シヴォーン、お代置いとくね~」
「気をつけて帰りなよ」
 お金を置いて丹恒に手を引かれ、シヴォーンに手を振ってバーを後にする。
「きちんと両想いじゃない」
「知らぬは本人ばかりというやつだな。店主、お代わりを」
「次のオーダーは?」
 という会話が、遠くで聞こえていたような気がした。
「本当に俺が好き?」
「ああ、好きだ」
「嬉しいなぁ……泣きそう」
「泣くな。酔ってるな」