三毛田
2024-08-12 09:36:39
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17 07. お姫様の手を取り、キスを乗せて

17日目 あなたは俺のお姫様

「はぁ……いいなぁ。ああいうの、憧れちゃう」
 観ていた映画が終わると、両手を胸の前で組んで、ほうっとため息をつきながら告げるなの。
「これ?」
 丹恒の手をすくい上げるように取り、そっと指先に唇を落とす。
「そう、それ! いつかウチにも王子様が現れないかな」
「三月、さすがに夢を見すぎだ。そういう相手は、己で探すのが一番だろう」
「もう。丹恒ってば夢がないな!」
 ぷんふこ。という効果音が聞こえそうな怒り方をする。
 そして、丹恒は俺がキスをした箇所をウェットティッシュで拭いて。
 地味にショックなんですけど。
 俺の唇、そんなに汚い?!
「穹、擦ると汚れが広がる」
 手の甲で口を拭っていると呆れた声で、新しいウェットティッシュを使って俺の口を拭いてくる。
 どうやら、本当に汚れていたらしい。
「丹恒、ごめん」
「チップスの塩とケーキのチョコだな」
「うう……面目ない」
「そういうやり取り見てると、穹は子どもみたいだし、丹恒はお兄ちゃんみたいだよね」
 そしてウチはお姉ちゃん! と胸を張る姿に、丹恒と視線を合わせてそれないと首を横に振る。
「なのは、手のかかる妹でしょ」
「妹扱いが嫌なのであれば、逆に手のかかる姉というところか」
「二人ともひどーい!!」
 姫子に言いつけてやる! と、シアタールームを飛び出していって。
 二人きりになったので、丹恒の頰に手を伸ばすと彼は察してくれて目を瞑り。
 そっと触れるだけの口づけを交わす。
「ずっと俺の手を触っていたのに、それじゃ満足できなかったのか」
「出来ないに決まってるでしょ。隣にいるのに、なのがいたからこっそり手に触れることしかできなかったんだもん」
……俺も、スキンシップが少なくて少しだけ寂しかった」
 頬に触れている俺の手にそっと手を重ね。それから、頬ずりする。
「みんなが寝てから、シよう」
「考えておく」
 丹恒のこの〝考えておく〟は、基本的に了承の意だ。
 まあ、つまり。ベッドをそれ用にカスタムしなくてはいけない。
 その言葉を飲み込み、名残惜しいが丹恒から手を離して二人で後片付け。コップやお皿はなのに洗ってもらうか。
 ラウンジに行くと、姫子の膝に泣きついて頭を撫でてもらっているなのがいた。
 姫子はちょっと困ったような表情を浮かべていて。でも、後は好きにしていいというように頷く。
「なの、洗い物よろしく」
「俺と穹は、映画の感想を話し合うからな」
 丹恒の腰に腕を回して、ラウンジを後にする。
「穹、今日は二人で用意しよう」