太宰のことが好きなのだと、唐突に自覚した。認めてしまえば何故今まで気づかなかったのかと不思議なくらいにあれやこれやの様々な感情に説明がつく。
好きだと認めても、それを太宰に伝えようだとか、付き合いたいだとか、そういう感情は不思議なくらいに湧いてこなかった。俺たちはセックスもする相棒で、既に誰よりも近い存在だった。それ以上の何かを望むつもりはなかった。
何度も繰り返した寝台の上でのイケナイ遊び。太宰に誘われて手を出したのはちょっとした好奇心だったけど、こうなって考えてみれば完全に役得だった。俺は太辛の肌の滑らかさも、体内の熱さも、気持ち良さそうな火照った顔も、本人よりもよく知っている。
しかしキスをした途端に「ストップ」と声が掛かった。不服ながらも肌を撫でる手を止め、視線だけで理由を尋ねる。すると、居心地悪そうに目を逸らされた。
「あのさ、もう少し抑えてほしいんだけど」
「何を?」
「その、『僕のこと大好きです」みたいなの」
「……は?」
予想外の言葉にあんぐりと口を開けた。
確かに好きだと自覚した。それを隠そうなどとは思っていなかった。特段隠すべきものだと思っていなかったし、太宰相手に隠し事など無駄だと思っていた。だからといってそれを大っぴらにしようという気もなかったが。
「抑えるって、どうやって?」
「どうって、今まで通りでいいんだよ。どうしたの、急に」
「どうって……」
心当たりなんて、ひとつしかない。まさかこんな形で伝えることになるとは思っていなかったが、ひた隠しにするものでもない。
「しょうがねえだろ。手前のこと好きだって気づいちまったんだから」
途端、太宰が「嘘でしょ……」と絶望的な声を上げた。
「なんだよ」
「いやだって、まさか。あれで今まで気づいてなかったとは思わないじゃないか!」
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