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鬼躯(おにく)
2024-08-08 18:34:30
1169文字
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飼い犬に手を咬まれる
設定:使用人(※パロディボイスとは無関係)
時空:パラレル
主要登場人物:🦖🍱・👻🔪
要注意描写:監禁 / 犯罪
ジャンル:シリアス
あらすじ:あらゆるベテラン教育係から匙を投げられたスーパールーキー問題児の新米使用人🦖🍱を最終的に最古参執事👻🔪が直接指導する羽目になり、なんだかんだ言いつつ親睦を深めていく
長年この屋敷のほとんどを取り仕切っていた執事が、忽然と姿を消してもうじき一週間が経過しようとしていた。
職務に忠実で統制の取れた使用人の間にも、さすがに動揺と困惑が広がっているのが目に見える。
特に直属の部下であり、突然指南役を失った一番新入りの使用人の動向が気になった。
「大丈夫か?」
堪らず声を掛けると彼は瞠目し、健気にも微笑みを浮かべた。
「お心遣い痛み入ります、御主人様」
使用人として完璧な所作で一礼したその振る舞いは、行方を眩ました優秀な彼の指導の賜物で。
より一層喪失感に苛まれ、今はただ無事を祈るしかなかった。
「みんな心配してたよロウきゅん」
「てめぇ
……
」
「ごめんって。ごはんの時間だよ」
へらりと悪びれない笑顔に油断した。
コイツには平素より散々しょうもないイタズラを仕掛けられていたから、怪しげな軽食にもまたなんかのお遊びだろうと高を括って乗ってやったらこの仕打ち。
どれだけ用意周到なのかと歯噛みする。
いや、得体の知れないコイツ相手にわずかでも気を許していた己が悪い。
まんまと眠らされて動きを封じられた自身の浅はかさを呪った。
「よ~し全部食べたねぇ~えらいえらい」
「なあ知ってっかウェン、人間は基本一日に三回食事するんだぞ」
「人間って二日絶食しても死なないんだって。
だからロウきゅんはここから逃げようと無理して動かないで、何も考えないで、なるべく大人しく眠ってて。
そしたら毎日ちゃんとごはんあげるからね」
「
…
ロウきゅんって呼ぶな」
「最初の三日間で大抵の人間は抵抗できないくらい衰弱するのに、まだ隙あらば脱出しようとする意志が残ってるなんてロウきゅんは相当元気だね。
困っちゃうなぁ。
でもね、痛いのは暴れるからで、お腹空いて苦しいのは頭を働かせるからで、ロウきゅんが一生懸命頑張るからその反動が全部自分に返ってくるの。
頑張る必要ないのに、むしろ頑張らなきゃ良いのに、どうしてそんなことするのかなぁ」
「
……
人を堕落させる悪魔みてぇな物言いだな」
「いいよ、お喋りしよっか。
いつも通りロウきゅんが眠くなるまで」
その人との邂逅は、遠目からの写真の中。
標的の傍らに立つ作り物みたいに美しい人。
『おまえの任務はターゲットから忠犬を引き離すこと』
『手段は問わない。とにかく作戦実行中、ターゲットの周辺から排除しろ』
『抵抗するようなら殺しても構わん』
「それだけはしたくなかったんだよなぁ
……
」
再び眠りに就いた忠犬の綺麗な顔を見つめる。
厳しいけれどそれ以上に優しくて、少し抜けてる彼。
もしもの時には主人を庇って死ぬことも厭わないだろうと思うと、他の誰を欺いてでも阻止したかった。
その結果、今後一生恨まれることになろうとも。
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