ユナユナ
2024-08-06 22:32:07
777文字
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記憶喪失赤黛 導入編

ここから始まる記憶喪失4パターンの赤黛書きたいねって話

 ふ、と目を覚ます。
 ゆっくりと瞼を持ち上げると、目の前が白一色に染まった。
 その眩しさに何度か瞬きを繰り返し、先程よりも明瞭になった視界で周囲の様子を探る。
 真っ先に目に映ったのは、白い天井と、そこから吊り下げられたクリーム色のカーテンだった。どちらも窓から差し込む陽の光をたっぷりと纏っているせいで、起き抜けに見るにはいささか刺激が強い。
 ピ、ピ、と規則正しい電子音が枕元から聞こえ、吸い込んだ空気は心做しか消毒の匂いがする。
 視線を少し右にずらせば、点滴から伸びた管が自分に向かっているのが見えた。ここまでくれば答えはひとつしかない。
 ここは病院だ、とぼやけた意識なかで思う。
 だが、自分がここにいる理由が思い出せない。
 次いで、ここにいる理由どころか、自分が何者なのかさえ思い出せないことに彼は気付いた。
 困惑したまま、誰かを呼ぼうとナースコールを探す。自分の名前すらわからないのに、こういうことは覚えているのだな、と妙におかしくなった。
 思いのほか自由に動く己の体に、意識を失っていたのはそう長くはなかったのだろうな、とあたりをつける。
 枕の横に置かれていたナースコールを発見して、無感動にボタンを押す。
 少しの間を置いて、バタバタと何人かの人間が病室に押し掛けてきた。格好を見るに、看護師と担当医だろうか。
 医師はこちらに駆け寄ると、気分はどうかと尋ねてきた。普通です、と返すと、医師はそのまま流れるように脈拍や瞳孔などを確認され、異常はないようだとようやくほっとした顔を見せた。
……あの」
「どうしました?」
 小さく声を掛けると、看護師がにこやかに尋ねてくる。そんな彼らの様子に少し申し訳ない気持ちになりながら、それでもこの大きすぎる欠落を埋めるためにゆっくりと口を開いた。
「オレは、誰なんですか?」