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喩鶴結雨
2024-08-05 00:37:52
2001文字
Public
TRPG / 探索者
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ロスがマリアの墓参りに行く話
カタシロのネタバレあり
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墓地の前にある商店で仏花を購入する。
マリアちゃん
彼女
はどんな色が好きだっただろうか。
思い出せないんじゃない。
彼女はどんな色だって好きだと言っていたから。
でも、特別好きな色があると言っていたような気がするのに、それがちっとも思い出せなかった。
(君のことはなんだって忘れたくはないのに
…
)
忘れたくないのに、当たり前にあった日常の記憶が少しずつ崩れていく感覚があった。
どんな風に笑っていたのか、その顔さえも、写真を見なければ霞んでしまいそうだった。
「じゃあ、ハル、暫く経ったら声かけにくっから。
長く居てえのはわかるけど、そんなんであっちに行っても
マリア
あの人
は喜ばねえし、呆れちまうぞ」
「
…
わかってる」
いつだったか、彼女が『ハルバスタさんには生きてほしいんです』と言っていた。
だから生きているのもあるが、彼が言うように、後を追って死んでも彼女が喜ぶどころか悲しむだけなのはわかっている。
あの子はそういう子だったから。
「
…
マリアちゃん、来たよ」
墓に水をかけて、添えられている花を取り替える。
比較的新しくも萎れ始めているそれは、多分彼女の母親が置いたものだろう。
「暑いから、なかなか来れなくて、ごめんね。
今日は、古川君に送って来てもらったんだ。
ねえ、覚えてる?
こんな暑い日に、君と一緒にアイスを食べてさ。
冷たいものを食べると、頭がキーンと痛くなるよねって
…
そんな話をしてた
…
よね
…
。
…
ごめんね」
返事なんてあるわけがない。
それでもなんとなく、君の笑い声が聞こえる気がして間を開けながら話す。
「
…
君のことが好きだ
…
。
…
どうして
…
生きてるうちに伝えられなかったんだろう
…
」
涙が溢れてくる。
ずっと触れられなかったあの少女に触れたい。
そうしたら、生きていることを感じられて、安心出来る気がするのに。
それでも彼女の生前触れられなかったのは、触れたら穢してしまう気がしたから。
「会いたい
…
会いたいよ
…
マリアちゃん
…
」
僕のか細く小さな声は、土に染み込む涙と共に、風に攫われて消えていった。
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