三毛田
2024-08-03 21:57:57
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08. からかってみたい

8日目 揶揄った代償は大きかった

「んむぐ」
「次はないからな」
「ひゃい」
 よし。と呟いて、丹恒は俺の顔から手を離す。口を思い切り掴まれていたので、地味に痛い。
 満足そうに頷いて、それから俺の鼻をつまむ。
 驚いた俺を見て、楽しそうに笑っている。超可愛い。
 羅浮に用があって、二人で向かった時に人ごみの中でぶつかられてふらついた丹恒を俺がふらつくことなく支えたら、ちょっと驚いた眼を向けてきたので
『っと。丹恒、大丈夫? ん? 俺に惚れちゃった?』
 って、揶揄ったら顔を掴まれたのだ。
 丹恒って、列車の護衛だから力が強いじゃん? つよつよじゃん?
 骨がみしみし音を立てていた気がする。
 丹恒の腰、細すぎるなあ。
「穹」
「ごめんなさーい」
 腰に視線を向けていたら、それに気づいたようで鋭く名前を呼ばれる。
 適当に謝ったら、ため息をつかれた。
……既に惚れているのに、今更惚れるも何もないだろう」
「ん? 何か言った?」
「いや。もう、他に買うものはないか?」
「食べ歩きのご飯」
「お前は食べ歩きすると、ぽろぽろ零すだろう」
 またため息をつかれた。そんなに零した覚えはないんだけどなあ。
「きちんと腰を落ち着けた方がいい。すぐに駄目になる食材ばかりではないんだ。お前の好きなものを食べてから、ゆっくり帰ろう」
「デートってことでいい?」
……ああ」
 頷きつつそっぽを向く。耳の先だけ真っ赤だ。え~? 可愛すぎない?
 羅浮だから嫌かなあって思ってたけど、なんだかんだついてきてくれるし、意外と俺のこと好いてくれてるし。
 ちょっとだけ照れた様子で、それを悟らせまいとしてるのに表情以外で現れてる。これ以上惚れさせないで欲しいんだけどなぁ。
「穹?」
「ううん。じゃあ、行こうか」
 手を差し出すと、恐る恐る手を握ってきて。
 胸を撃ち抜かれました。よろめかないように踏ん張るのに精いっぱいです。
「丹恒が可愛すぎて過ぎすぎて胸が痛い」
「お前、それ以外に言うことは出来ないのか」
 はあ。と、大きなため息。
「だって、だってぇ」
「お前が俺を好きすぎるというのはよくわかった」
「ようやくわかってくれた!?」
「っ」
 ぱあっと笑顔を向けると、一瞬驚きをあらわにして。それから、ほんのりと頬を染めてそっぽを向く。
「丹恒、好き」
「知っている」
「何回でも言うよ。だって、今の丹恒に必要な言葉だから」
 俺の熱が少しずつでいいから伝わるように、ちょっとだけ強く握って。
 そうすると、優しく握り返してくれた。
「めっちゃ好き」
「ふっ。大げさだな」